市内の民有林から得られる間伐材を活用
泉佐野市は大阪府の南部に位置する自治体。一部が金剛生駒紀泉国定公園に指定された和泉山脈を擁するなど、自然環境に恵まれたまちだ。商業・工業・農業・漁業がそれぞれバランスよく発展している一方で、関西国際空港の開発などに伴う人口増加とともに、商業・サービス業も盛んになっている。

農業は玉ねぎや水ナスの産地として有名で、水なすは地域ブランド「泉州水なす」として人気。繊維産産業も有名で、国内タオル生産量の50%近くを占める。
交通面では先述の関西国際空港、鉄道はJR西日本や南海電鉄が乗り入れ、阪神高速道路や阪和自動車道なども通るなど、交通アクセスにもすぐれたまちだ。
そんな同市は今年7月に、カーボンニュートラルの実現と未利用木材の利用促進を目的に、地産地消の再生可能エネルギー「木質バイオマス発電プロジェクト」を立ち上げた。
2025年に市内に木質バイオマス発電所を開設のうえ、市内の民有林から得られる間伐材約100トンを活用し、年間5万7000kwhの発電を目指す。これによるCO2削減効果は約20万トンとされる。

画像出典:泉佐野市
木質バイオマス発電は、大気中のCO2濃度の上昇を抑制するものとして注目を集めている再生可能エネルギーだ。泉佐野市には森林整備で間伐された木材のうち、未利用のまま山林に残置されている間伐材などが年間100トン以上あり、この未利用木材を有効活用する。
近年は地球温暖化を起因とする気候変動により、大型台風や集中豪雨といった異常気象が頻発し、多くの災害を引き起こしている。
こうした事態を受け、同市は2050年温室効果ガスの実質排出ゼロ(ゼロカーボンシティ)を目指すことを宣言しており、目標達成に向け今回のプロジェクトに取り組む考えだ。
泉佐野市は2023年3月に「泉佐野市再生可能エネルギー導入計画」を策定。ここでは、大阪府内では日本平均と比較して地球温暖化による気温の上昇幅が大きく、市内でも台風による被害が拡大していると指摘。大阪府内でも27自治体がゼロカーボンシティを表明しており、一部の自治体ではCO2削減の数値目標を定めている。
泉佐野市は2030年に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指しつつ、さらに50%の高みに挑戦し続けることを表明。また、再生可能エネルギーの導入目標を、最終目標として2050年に約89万MWh/年、中間目標として2030年に約10万MWh/年としている。
具体的な施策として、ため池、農地、屋根などへの太陽光発電設備の導入推進、公共施設駐車場への太陽光発電カーポートの設置、食品廃棄物を活用した消化ガス発電設備の導入検討を掲げており、今回の木質バイオマス発電もその1つだ。
「企業版ふるさと納税」で資金を調達
同プロジェクトでは「企業版ふるさと納税」を活用しているのも特徴だ。これは、地方創生につながる地方公共団体の事業に対して企業が寄附をした場合、その寄附額の最大約9割が税軽減される仕組みだ。
これにより企業の実質負担は約1割まで圧縮され、かつ環境問題への取り組みをアピールできる。寄附額は1回あたり10万円以上が対象だ。今回のプロジェクトの事業費は2年間で1億円超とされており、その多くを企業版ふるさと納税でまかなうことを想定している。
近年は電力自由化やカーボンニュートラルの実現を背景に、電力の地産地消への取り組みが各地で進められている。
泉佐野市は近隣エリアにある太陽光発電施設から電力を購入し、公共施設などに供給するため、民間の新電力会社と共同で大阪府内発の自治体PPS(新電力会社)を設立し、2016年4月以降は一般家庭や企業への電力小売販売を開始。
群馬県中之条町は東日本大震災を機に電力の地産地消に着手し、特定規模電気事業者として一般財団法人を設立し、公共施設の電力をまかなうとともに小売り事業も始めている。
鳥取県鳥取市や福岡県北九州市など他の自治体でも事例があり、自治体が主導する再生可能エネルギーの活用はそこかしこで見られる。
気候変動などを目の当たりにし、環境意識の高い地域住民も増えている。自分たちが暮らすまちが再生可能エネルギーの活用に積極的だと知ることで、愛着が増す可能性ある。
今はそうでもないかもしれないが、近い将来、自治体のエネルギー政策が住まい選びに影響する、そんな日がやってくるかもしれない。
健美家編集部(協力:(おしょうだにしげはる))







