日本橋川を挟んだ約3.6ヘクタールが対象エリア
2024年初頭時点では、東京の日本橋周辺で大規模な再開発が複数進んでいるが、そのうちの1つが日本橋一丁目東地区の再開発だ。
再開発の対象地は、日本橋の東に位置する日本橋川周辺で、約3.6ヘクタールに及ぶ面積を持つエリアだ。
※引用:東京都都市整備局
再開発対象エリアに建っているのは主にオフィスビルだが、複数ある建物の中でも、日本橋郵便局がひときわ目を引く。
また、日本橋郵便局の北隣に建っている日本橋ダイヤビルディングの緑地も対象エリアに入っている(ビルそのものは再開発対象ではない)。
2024年5月には日本橋郵便局の郵便物流機能が移転する予定であり、年始の風物詩となっていた年賀状の配達出発式は、今年が最後となった。
再開発によって解決を目指す課題は主に3つある。
- 旧耐震基準の建物を建て替えること
- 日本橋川の水景を活かした街づくりを進めること
- 国際競争力の向上に資する都市機能の導入
1点目については、表通りである昭和通りから見るとあまり感じないが、裏路地に入ると思いのほか古くなっている建物は多い。
2点目については、郵便局から見て川を挟んで反対側のエリアには背の高い建物が多く建っており、北側から川を望むことはできないようになっている。
歩行者や滞在者が水辺の潤いを感じられるような街づくりをしたいというのも、再開発による狙いの1つだ。
3点目については、日本橋は都内でも一等地と言えるオフィス街であり、ハイクラスの外国人ワーカーが集まる場所だが、外国人にとっても魅力のあるエリアにしたいという狙いがある。
2つの街区に大型のオフィスと住宅を整備
東京都都市整備局が公表している資料を見ると、再開発はA~Eの5街区に分けて行われることがわかる。
A街区とB街区は郵便局側のエリアであり、C~Eの街区は川の北側に連なるエリアだ。
※引用:内閣府
C~E街区の主要用途は公共・公益等施設となっており、緑地や眺望広場などが設けられる。
※引用:内閣府
A街区とB街区にはそれぞれ高さ200mを超える高層ビルが建つ予定。
※引用:内閣府
A街区の延床面積は約274,000㎡で、建物の予定用途はオフィス・店舗・集会施設・駐車場等となっている。
建物の断面図を見ると、A街区の建物は大半のフロアがオフィスになることが分かる。店舗や集会施設などは、建物の低層部に設けられるようだ。
B街区の延床面積は約120,000㎡で、建物の予定用途は住宅・店舗・サービスアパートメント・生活支援施設・駐車場等となっている。
なお、B街区の延床面積はA街区の半分以下だが、建物の高さはほぼ同程度であり、B街区の方が建築面積が小さいということだ。
B街区の建物は大半のフロアが住宅になる予定で、サービスアパートメントには外国人が入居することが想定されている。
今後のスケジュールとしては、2026年度に建築工事着工、2038年度に建物が完成する予定。
建物の完成予定はだいぶ先だが、再開発によって日本橋を象徴するエリアの1つとなることを期待したい。
取材・文:
(はたそうへい)