マイナス金利付き量的・質的金融緩和が導入されて以降、円金利は大幅に低下している。日本銀行の「貸出先別貸出金」を見ると、不動産セクターに対する銀行の新規貸出額は、今年9月までの1年間で前年比約10%増えた。歴史的な低金利が長期化する中で資金調達環境の安定が続いている。
この金融緩和の効果としては、国内の不動産価格の回復基調の継続につながったことが挙げられる。国土交通省が発表する「土地価格ルックレポート」でもそれは明らか。2016年第2四半期調査によれば、100の地価動向調査地区のうち88地区で物件価格の上昇が確認できた。
ただ、格付け会社のムーディーズ・ジャパンでは、「これまでの約4年間、土地価格上昇傾向と不動産利回りの低下トレンドが続いており、さらなる価格の上昇は限定的と考える。横ばい圏で推移する可能性がある」と指摘している。特に大都市で好立地の商業用不動産に関しては、投資妙味のある物件の購入が難しくなってきたという。
健美家編集部