どうも。古い家好きのらいおんです。
空き家問題が取り上げられるようになり、それらを活用して収益を得ながら社会問題解決にも繋がるということで、大ブームとなった築古空き家投資。
その流れで費用を抑えやすい手法としてDIYがブームとなり、DIYヤーたちの楽しそうな活動報告や悲しいエピソードなどを、ネットでよく見るようになりました。
そこでちょいちょい目にするのが今回のテーマでもあるベニヤ、合板、コンパネがごっちゃになって、どう使い分ければ良いのかわからないという問題。
そこで今回は、建築現場で使われる木の板「ベニヤ」「合板」「コンパネ」について、それぞれの違いや用途を解説します。
「名称が色々ありすぎてわからない!」という方にも、お役に立てるんじゃないかと思っております。
■「ベニヤ」「合板」「コンパネ」の違いを知る
実は、「ベニヤ」「合板」「コンパネ」の呼び方は、業界や職人さんによってバラバラなんです。
独特な呼び方をしたり、「コンパネ」のことを「ベニヤ」と言ったりします。
ここでは、まず呼び方を統一した上で、それぞれの用途やメリット・デメリットなどを解説していきます。
1.「ベニヤ」と「合板」の違い
「ベニヤ」とは、厳密に言うと「1枚の板」のことを指します。
一方、「合板」は「ベニヤ合板」の略。
でも「ベニヤ板」と「ベニヤ合板」は、厳密にいうと少し違います。
どちらもホームセンターやネットでよく売られていますが、「合板」はベニヤ板を重ね合わせて圧着したものなんですな。
重なっているか、重なってないか。
つまり、「単層の板」がベニヤで、「複層の板」が合板です。
リフォームの現場で使われるのは、ほとんどがこの「ベニヤ合板」と言われるもの。
ただ、現場では「木の板=ベニヤ」とまとめて呼ぶところが多いので、混同しやすいですね。
2.「合板」を使う理由
薄い板を重ね合わせた「合板」を使う理由は、1枚の板よりも強度が上がるからです。
木の板1枚の場合、木の繊維には方向があるので、一定程度の衝撃を与えただけで割れやすくなります(空手の板割りをイメージ)。
「合板」は、木の板を重ね合わせるときに繊維の方向をクロスさせています。重ね合わせることで繊維の方向が複雑になるため、簡単な衝撃では割れにくくなるという仕組みです。
「合板」は木の繊維を交互にクロスさせることで強度を増している
これは豆知識ですが、繊維の方向を全て同じにして重ね合わせた合板を「曲げベニヤ」、別名「こんにゃくベニヤ」といいます。
この合板は名前の通り「曲げられる」という特徴があるので、アーチ状の壁やカーブのある特殊なデザインの壁を作る際に便利です。
3.「合板」の種類と用途
リフォームや建築の現場でよく使われる、いわゆる「ベニヤ」という言葉ですが、基本的には「ベニヤ合板」、つまり「合板」のことを指していると思ってください。
また、「合板」にはいろいろな種類があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるので、それが混乱の原因となってしまっています。
そこで、ここではリフォームなどの現場でよく使われる以下の3つの「合板」について解説します。
・構造用合板―構造用ラワンベニヤ
・構造用合板―構造用針葉樹合板
まずは、「コンパネ」と「構造用合板」の違いを見ていきましょう。
4.「コンパネ」と「構造用合板」の違いとは?
「コンパネ」と「構造用合板」について説明します。
「コンパネ」とは、「コンクリートパネル」の略。
コンクリートを流し込むための型枠として使われる木の板のことです。
つまり、「コンパネ」は基本的に住宅の構造部分に使う建材ではありません。コンクリートの板を作るために使われるので、耐水性に優れていたり、非常に丈夫だったりする点がメリットです。
また、価格も安いため、工場や倉庫、遊戯施設などの構造部分に使われることもあります。
ただし、「コンパネ」には大きなデメリットがあります。
それは、シックハウス症候群の原因となる有害物質「ホルムアルデヒド」の発生を抑えるような仕様になっていないということです。
人が住む家の中で使用することを想定していないため、薄い板を重ねるために使う接着剤が、国の安全基準を満たしていないことがあるのです。
つまり、「コンパネ」は人が暮らす家の壁や床の下地としては使えない建材なんです。
一方、「構造用合板」は、その名の通り家の構造部分に使用することを前提とした建材。構造の中でも重要な壁や床、屋根の下地材として使用されます。
この建材は住宅にも使用できる基準をクリアしており、接着剤にも有害物質を発生しにくいものを使っています。
5.JAS認定「F☆☆☆☆(エフフォースター)」の製品とは?
「コンパネ」が住宅で使えない主な理由は、シックハウス症候群の原因となる有害物質が発生するからです。
シックハウス症候群が社会問題になったのは1990年代後半〜2000年頃。
日本の住宅の性能がどんどん向上して、高気密・高断熱になっていった時代です。副作用として、家の中の空気があまり入れ替わらなくなってしまいました。
すると、それまでの「構造用合板」で使われていた接着剤に含まれる「ホルムアルデヒド」などの化学物質が原因で、具合が悪くなってしまう人がたくさん出てしまったのです。そこで、2003年に建築基準法が一部改正されて、以下のようなルールが設けられました。
・住宅に使う建材は一定基準を満たす「F☆☆☆☆(エフフォースター)」以上の製品を使用すること
「人体に有害な化学物質」の基準を設けているのがJASです。
建材に限らず、食品などにも使われるJASマーク(※)というものがあり、「JASマーク」が付いている商品は品質が表示されています。
建材の場合、星の数で「有害物質の発生しにくさ」が表示されます。
住宅にも使用可能な「構造用合板」には「F☆☆☆☆(エフフォースター)」と表示されていて、☆が4つ付いています。
対して、住宅に使うのに適していない「コンパネ」は、☆が1〜3つになっています。
(※日本農林規格などに関する法律(JAS法)に基づくJAS制度。JASを満たすことを称するJASマークを、食品・農林水産品や事業者の広告に表示できる制度)
6.サイズの違い
「コンパネ」を住宅の構造材として使わない方が良い理由がもう1つあります。それは「サイズ」です。
「コンパネ」と「構造用合板」は微妙に「サイズ」が異なるので、その違いを見ていきましょう。
「構造用合板」の中でもよく使われるものとして、通称して「サブロク板」と呼ばれる板があります。
これは「3尺×6尺という寸法の板」という意味。
他にも「3尺×8尺」の「サンパチ板」と呼ばれる板もあります。
1尺=303mmなので、サブロク板=横909mm × 縦1820mm。
これが、構造用合板の基本的なサイズです。
一方、コンパネのサイズは、横900mm × 縦1800mm。
1枚あたり、横幅が9mm、縦幅が20mmの差があることになります。(コンパネの方が短い)
これらの違いは、木造住宅の構造や下地のピッチ(建材同士の間隔)に影響を与えてしまいます。
木造住宅は寸法を尺でとっていることが多いため、フローリングの下地などに安くて丈夫なコンパネを使用すると、微妙な違いが後々問題になってくるのです。
そのため、家の壁や床の下地として使う建材には「コンパネ」ではなく「構造用合板」を使いましょう。
7.「構造用ラワンベニヤ」と「構造用針葉樹合板」の違い
「構造用合板」には、たくさんの種類がありますが、大きく分けて2つに分類されます。
・構造用針葉樹合板
それぞれのメリットやデメリット、用途について説明します。
「構造用ラワンベニヤ」の「ラワン」とは広葉樹のこと。葉っぱが平たく、木が重くて硬いという特徴があります。
この合板の特徴は、表面が加工されているため、なめらかでツルツルしていることです。
一方、針葉樹は細く尖った葉を持ち、木材は軽くて柔らかいので、合板も比較的扱いやすいというメリットがあります。
「構造用針葉樹合板」は表面がザラザラとしていることが特徴。また、表面に節がいっぱいあって凸凹しています。
「構造用ラワンベニヤ」は表面が加工されているため、その分「構造用針葉樹合板」よりも少し高価になります。
現場では同じ板をたくさん使うので、合計すると価格差が大きくなります。
このような違いがあるため、この2つの合板は使用する用途が異なります。
「構造用ラワンベニヤ」は、床や壁に使うときにはクロスやクッションフロアを貼るときにおすすめ。
表面がツルツルしているので、綺麗に仕上げやすくなります。
一方、「構造用針葉樹合板」は表面がザラザラ、凸凹しているので、クロスやクッションフロアを張ると仕上がりもボコボコになりやすい。
一般的に分厚いフローリングの下地や、壁にクロスを貼る前に石膏ボードを使う場合の下地に使うとコストパフォーマンスがよく、他には防音壁を作る時の防音パネルの下地などにも使用されます。
穴やザラザラを無理やりパテで埋めることもできますが、結構手間がかかります。また、長年経つと割れてきて下地が浮いてきたりするので、やはりクロスやクッションフロアの下地には不向きです。
構造用ラワンベニヤ > 針葉樹合板
壁を作る場合:構造用ラワンベニヤ+クロス < 針葉樹合板+石膏ボード+クロス
床を作る場合:構造用ラワンベニヤ+クッションフロア < 針葉樹合板+フローリング
8.おさらい
さて、ここまで説明した内容を、ざっくりと簡単な図にまとめました。
ベニヤ合板には本当にいろんな種類があるので混乱しやすいですが、まずは大枠をこのように理解していただければ大丈夫だと思います。
9.まとめ:建材は適材適所での使用をおすすめ
ここまで、建築現場やリフォーム現場で使われる「ベニヤ」「合板」「コンパネ」の違いやメリット・デメリット、用途などを解説しました。
「コンパネ」を壁や床の下地に使用したり、「構造用針葉樹合板」をクロスの下地に使ったりすると、後から色々な不具合が出てくる可能性もあります。
それぞれの板の特徴を理解して用途を決めることで、リフォーム後も快適に暮らしていただけるでしょう!