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民泊制度の比較と融資の可能性

岡元公夫さん_画像 第102話

前回の続きです。下記の表は前回のままです。



◎フロント設置

アパート業と宿泊業との大きな違いとして、フロントの有無と答える人は多いと思います。そのフロント( =帳場 )の設置ですが、旅館業法では簡易宿所での設置義務が規定されていません。

しかし、厚生労働省の「 旅館業における衛生等管理要領 」という通知において簡易宿所でもフロントの設置を求め、各自治体がフロント設置を必要とする条例を制定したり、制定されていなくても設置するように開業時に指導することにより、設置が原則とされてきました。

それが平成28年に衛生等管理要領が改正され、宿泊人数10人未満の小規模の簡易宿所は、フロントがない場合でもそれに代わる何らかの体制を整えていればよい、とされました。

実施には各自治体の条例改正が必要ですが、今のところ、各自治体の条例改正の動きは少ないようです。ですが、旅館業法が改正されたら、それに伴って緩和される自治体が多く出そうです。

◎居室の床面積

特区民泊での一居室の床面積は、寝室のほか、台所・浴室・トイレを含めて25u以上であることが必要です。旅館業法の合計床面積にはクローゼットは含みませんが、特区民泊の床面積にはクローゼットも含みます。

一方、簡易宿所の1客室の構造部分の合計床面積が33u以上であることが必要です( 宿泊者の数が10名未満の場合には1人あたり3.3u以上 )。

また、客室の有効面積については、寝室その他宿泊者の睡眠、休憩等の用に供する部分の床面積を計算することにより算定します。この面積には、クローゼット以外に、机・浴室・トイレ部分も含まれません。

簡易宿所営業の場合、1人当たりの客室有効面積は1.5u以上必要です。

以上が、現在の宿泊事業に関わる制度の比較点です。それぞれ、メリット・デメリットがありますね。現時点では、課題も多くあります。

旅館業法に則った場合は、
●住居専用地域では営業できない
●居住用建物をコンバージョンして活用する場合、容積率オーバーになる可能性がある( 一棟物の場合、廊下や階段などの共用部は、共同住宅の場合は容積率に参入されないが、旅館・ホテルの場合は算入されるため )

特区民泊の場合は、
●特区エリア内でも、自治体によって条例が未施行、または施行されていても最低宿泊日数など使い勝手がよくない
●居室の床面積が25u以上で、営業可能対象物件が限定される

民泊新法の場合は、 ●営業日数が180日以内に制限される。しかも自治体の条例によって180日を更に短縮可能

このように各法制度を見ても、しっくりくるものがありません。しかし、民泊を取り巻く環境は目まぐるしく動いています。

前回の記事執筆の後に、民泊新法は成立しました。今後は、国土交通省・厚生労働省の省令や各自治体の条例に注目です。

旅館業法一部改正( 案 )は審議時間切れで、今通常国会では継続審議となりました。ただし、次の臨時国会では成立するでしょう。

旅館業法及びそれに伴う旅館業法施行令の主な改正点としては、以下のようなものがあります。

・ホテル及び旅館の営業種別の一本化
・客室の最低数の撤廃
・便所の具体的要件や客室の最低床面積の規制の見直し
・違法民泊サービスの広がりを踏まえた無許可営業者等に対する規制の強化
・無許可営業者などに対する罰金の上限額を3万円から100万円とする
・玄関帳場の長さの規定の撤廃、対面コミュニケーションに代替する方策についての検討<

旅館業法及び旅館業法施行令が改正されると、かなり使い勝手がよくなりそうです。私は、旅館業法一部改正( 案 )の成立を待って、それに適合した建物を新築するか、既存建物をコンバージョンするかを検討していきたいと考えています。

■ 宿泊業用途の不動産に融資はつくのか?

ここまでは、民泊を取り巻く法制度について解説しました。次に宿泊業用途の不動産を取得する時に忘れてならない融資についてお伝えします。

大家さんの中には、マンションやアパートなどの住居系不動産と同じ感覚で融資を受けることができると考えている方もいるようですが、それは大きな間違いです。

従来からも、一棟物・区分にかかわらず、店舗や事務所用途の事業系不動産に対する融資は、住居系不動産に対する融資と比較して厳しいものがありました。

私も銀行で事業系不動産に対する融資審査をしたり、銀行を退職してから事業系不動産会社で管理の仕事をしたことがありますが、住居系と事業系は同じ不動産賃貸業でも大きく異なります。

事業系は、その時々の景気やトレンドに賃貸需要が大きく左右されます。また、運営者の巧拙によって売上・利益に大きく差がでます。なので、銀行はプロの事業者の運営スキルを見極めて融資の可否を判断する必要がありました。

さらに皆さんは、宿泊業は構造不況業種だったということをご存知でしょうか。

バブル崩壊の後、温泉地・観光地にあった大型ホテル・旅館は、会社などの団体旅行から家族旅行・個人旅行へのトレンドの変化についていけず、かなりの施設が倒産・閉鎖の憂き目にあいました。

都会のビジネス向けホテルも景気の波や大震災などの自然災害の影響で稼働率が大きく落ち込むことがあります。このように、事業系不動産賃貸業はリスクが高いと金融機関は判断しており、融資審査も厳しい傾向にあります。

メガバンクで宿泊業向け融資をしていた身としては、素人に近い不動産投資家に宿泊施設向け融資をするという発想は以前は想定外でした。

しかし、時代は変わります。金融機関も旧態依然の考え方では、この貸付難の時代を生き残れません。金融庁も金融検査マニュアルを実質的に廃止して、大蔵省時代のように金融機関自身に融資の審査手法を委ねる方針です。

既に民泊に対して積極的に融資していく方針を表明している民間金融機関もあります。今のところ少数派ですが、今後、民泊に対して融資する金融機関は増えていくでしょう。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 岡元公夫さん

岡元さん

岡元公夫さんのブログ

年はアラフォー。
亡き父と2代続けての元メガバンカー。
銀行員時代は、東証一部上場の大手不動産会社から 個人の大家さんまで、融資主体に幅広く担当。 実家は祖父の代からの小規模ながらの大家さん。

■ 経歴

□2004年
実家の跡を継ぎ、東京城北エリアでマンション・アパート・戸建を取得開始。

□2008年2月
不動産賃貸業の修行の為、不動産開発・運営会社に転職し、プロパティマネジメントの責任者となる。

□2009年10月
不動産収入が年間6千万円ほどになり、デッドクロスもクリアできる目途がついたことから、サラリーマンを卒業。

□2011年
東京エステートバンク株式会社(東京房屋®)を設立。国内・台湾・中国の投資家・会社経営者の方にコンサルティングを行っている。

■ 所有物件

□築35年RCマンション
 1LDK×4戸、2K×8戸

□築20年RCマンション
 1R×10戸

□築13年鉄骨マンション
 2LDK×6戸、2DK×6戸

□築5年木造アパート
 1R×5戸、2DK×2戸

□登記上築52年(実態は新築同様)
 木造戸建 2LDK×1戸

□区分所有マンション 2LDK×1戸
  合計 45戸

□駐車場12台
 バイクガレージ26台

H22/9に築古戸建1戸取得
H23/9に築古戸建1戸取得
現在、料理中

■ 保有資格

・宅地建物取引主任者
・ファイナンシャルプランナー
・その他生損保等金融関連諸々

■ 税理士試験科目合格
 (簿・財・相・固)


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