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倒産件数が急増、不動産競売件数の減少はなぜ? 引き続き2024年も低迷が続く

収益物件購入・売却/競売 ニュース

2023/12/28 配信

賃貸ホームステージング前

「不動産競売市場は2024年に賑わいを見せるのではないか」

最近の企業倒産の増加を見て、そんな観測が流れてもおかしくはない。コロナ明けにより、経済活動が回復した一方で、コロナ禍の手厚い政府支援が切れて、実質無利子・無担保のいわゆるゼロゼロ融資の返済が本格化していることで倒産が増えるためだ。実際、帝国データバンクの調査によると、今年11月の倒産件数は773件となり、前年同月比で35.6%増加し、19カ月連続で前年同月を上回っている。不況型倒産が632件と19カ月連続で前年同月を上回った。

想定できていたゼロゼロ融資の結末

1~11月までの累計倒産件数は7691件となり、7500件超えは2019年以来4年ぶりという。今年12月を残す中で、全業種とも2022年通期の倒産件数を上回っている。地域別に見ても、35都道府県が2022年通気の件数を超えている。

業種別では、サービス業や小売業、建設業の増加が顕著だ。小売業の中でも飲食店は、1~11月までの累計で703件となり、過去最多の2020年通期(780件)の水準に迫っている。新型コロナウイルス感染拡大の直撃を受けた業態だっただけにゼロゼロ融資に頼る数が多かった。

不動産競売事業などに詳しい法律家からは、「ゼロゼロ融資の本当の目的は、延命措置ではなく、他の業態への転換やビジネスモデルの転換などを促す意味合いもあったと思うのだが、ほとんどの飲食店はそこら辺りの企業努力が見られず延命のみに資金を使った印象が強い。良識のある識者たちは融資当初から税金を無駄に使う結果になると想定していた」との声があがる。

差し押さえ件数の先行指標は低水準

ただ、不動産競売流通協会の想定では、2023年の競売件数は全国で約1万5000件と見込んでおり、前年と同水準とみている。1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の競売件数は上期で3000件ほどだ。今年を見る限り、倒産件数の増加とともに競売件数が増加するという流れにはまだなっていない。

競売件数の先行指標となる差し押さえ件数を表す配当要求終期の公告件数を見る必要があるが、足元では増えていない。東京地裁本庁の公告件数を見てみると、2023年上期は480件で前年上期(532件)を下回っており、下半期は一般公開している7~10月分までに278件あり、上期分と合わせると758件になる。残り11月と12月が両月とも7月以降10月までの最高件数だった8月の89件と同じだとしてカウントしても936件となり、2022年通年の差し押さえ件数1000件を下回る水準になっている。

差し押さえられた物件が実際に不動産競売にかけられるまでのタイムラグがある。現状の不動産市場を見ると、競売にかけられる前に任意売却など一般市場で買い手が付く可能性が高い。不良債権化したとしても融資の残高よりも高い金額で売却できてしまうからだ。一般的に公告件数から3割ほどが競売マーケットに出てこないで消えていく。

任売、競売でプロの不動産事業者が買い取る

競売不動産はマンションや戸建て住宅、土地など多種多様だが、その中でもマンションが人気だ。公告件数から消えていく物件のほとんどがプロである不動産事業者が買い上げてリノベーションを行ってから再販されている。買い取り再販事業者は、競売市場でも売却基準価格よりも数倍の額で落としていく。東京23区だけでなく、その周辺の横浜市、さいたま市、市川市など東京都心にアクセスしやすい場所の物件も含めて強気の姿勢を保っており、応札本数が二桁に乗る物件では、売却基準価格2000万円台を1億円台で競落するケースも見られる。

今年の春からゼロゼロ融資の返済が始まり、夏ごろから本格化したことを踏まえたとしても、プロの不動産事業者が競売前に買い上げていく可能性が考えられる。不動産競売件数が増えるかどうかは、不動産市場の状況に左右される。2024年の不動産競売市場は低迷が続きそうだ。

健美家編集部(協力:若松信利(わかまつのぶとし))

■ 主な経歴

学生時代から不動産に興味を持ち個人的に不動産関連の記事を多数執筆。大学卒業後、不動産関係情報誌に20年以上勤務。現在は都内のIT会社に勤め、副業でいくつか投資関連の記事を担当・執筆する40代サラリーマン。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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