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壁紙のメーカー、品番を数秒で識別!スマホ用アプリ「かべぴた」に熱視線!よく似た白、無地の壁紙も

賃貸経営/商品・サービス ニュース

2024/03/04 配信

かべぴたの判定結果の画面。量産品のもっとも違いが分かりにくい商品を識別してくれる
かべぴたの判定結果の画面。量産品のもっとも違いが分かりにくい商品を識別してくれる

2024年2月に同志社大学×コマツ㈱の産学連携で開発した壁紙AI識別アプリ『かべぴた』が正式にリリースされ、話題を呼んでいる。

しかも、同社が当初想定していたインテリア、建築業界よりも不動産管理会社、不動産オーナーなど不動産業界からの関心が非常に高いという。どんな商品か、可能性も含めて聞いた。

内装業界の非効率解消アプリが不動産業界で人気に

入居者の退去後、壁紙の貼替で悩んだ経験はないだろうか。室内全部を張り替えるほど汚れてはいないが、一部はどうしても貼替ざるを得ない。

だが、以前貼った壁紙のメーカー、品番が分からず、仕方ないので似たようなものでと貼替を依頼したものの、仕上がってみるとどうも違う印象がある……。

不動産オーナー以上に悩んでいたのは内装業界である。

「これと同じ、あるいは似たような壁紙で」と依頼されてメーカー、品番の特定までには慣れた人でも30分~1時間。それ以外の人がやるとなると2~3時間かかることもあると東大阪市にあるコマツ株式会社の小松智代表。

大学と連携、画像の自動選別機能からアプリを開発

「古い壁紙だとすでに廃盤になっていることもありますし、厳密に言うと夏に生産された品と冬のそれは湿度や熱によって微妙に青みがかっていたり、赤みがかっていたりすることもあります。それを判別するためにどうしても時間がかかり、それがインテリア業界の非効率に繋がっていました。

識別できるスタッフのいる都市部ならまだ良いのですが、地方になると識別だけのために片道2時間余をかけて出張、3時間かけて識別となることもあり、さらにコロナ禍ではオンラインでの識別という困難にも直面しました。

その改善のために目をつけたのは画像の自動識別機能。大学等と企業を結ぶ産学連携支援機関に企画を持ち込むなどして連携先を探していました」。

支援機関には断られたものの、その後に相談した同志社大学理工学部インテリジェント情報工学科知的機構研究室(教授:奥田 正浩)とは2021年9月から技術的な可能性の調査がスタート、その1年半後からアプリケーション開発に進むことになり、2023年11月には「かべぴた」β版をリリース。2024年2月には正式にリリースして話題を呼んだ。

この間の研究の難しさについては同志社大学リエゾンオフィスニューズレターに掲載されており、β版にたどり着くまでの苦労がよく分かる。

白、無地の壁紙を撮影するだけで識別、コスト削減に

2023年12月時点で識別できるのはここにある壁紙。今後の展開が楽しみである
2023年12月時点で識別できるのはここにある壁紙。今後の展開が楽しみである

現在は国内主要6メーカー(サンゲツ、リリカラ、東リ、トキワ、ルノン、シンコール)の汎用品である白、無地の壁紙の新旧品番をあわせておよそ2000種類(現行約600品番)がデータ化されており、アプリを入れて壁紙を撮影すればどのメーカーの、どの品番かを識別できるようになっている。

「内装材のうち、もっと識別が難しいのが汎用品の白の壁紙。量産クロスと言い換えても良いでしょう。まったく同じように見えて見分けがつかないものの、大きな面積に貼ると違いが分かるという品です。

「かべぴた」で識別ができるようになれば1室全部を張り替えるのではなく、必要な部分だけの貼替で済むようになり、たとえば、これまで一部屋で10万円でかかっていたものが、一部3万円だけで済むようになるなどコスト削減に繋がります。

また、剥がした壁紙は産業廃棄物としてコストをかけて廃棄することになります。無駄でもあり、環境に対しても良いことではありません。特に今後のことを考えると、廃棄を減らせる点には大きな意味があると思います」。

撮影時は手や顔の影が入らないように注意が必要

ただし、使い方には注意が必要。

便利なアプリだが、使い方に注意して役立てていただきたい
便利なアプリだが、使い方に注意して役立てていただきたい

「壁の写真を撮っただけで判定できますが、手や顔の影が入るなどするとそれを横柄や縦柄ではないかと判別してしまいます。非常に繊細な識別ができるアプリですから、壁以外のものが入らないように注意して撮影、使っていただければと思います。

それから、現時点では量産品の白っぽい無地質な壁紙しか識別できません。よく、カフェやレストランですてきな壁紙を見たので、それがどこの品かを調べようとして使ったけれど、出てこなかったという声がありますが、そもそも、そうした意匠のある壁紙は対象外です」。

ただ、一番識別が難しい量産品壁紙の白が識別できるなら、それ以外もと期待の声が寄せられるのは当然だろう。

あらゆる材料の識別に大きな期待

「壁紙だけでなく、床材の識別ができるようにしてほしい、外装材ではできないだろうかその他、さまざまな意見をお寄せいただいています。今後については壁紙でいくのか、それとも先に床材にするかなど、おおいに悩むところです。

どちらを作るにしても品数が非常に多いため、データ化をどうするか、通信、サーバーの容量などといった問題があります。今回、現行品600品番を識別するために10万枚以上をデータ化しました。それでノウハウが蓄積できたので、今回よりは枚数は少なくて済むようになるかもしれませんが、それでも膨大な量ですから、よく考えてスタートしないとサーバーがダウンするなどのさまざまなトラブルの可能性もあります。

また、現在は無料でお使いいただけますが、これだけの作業量を無償で提供し続けるのは難しいかもしれません」。

新古品、廃盤品が流通する未来

1部屋全体の張り替えとなると予算の都合で中止する選択もありえたところが、一面、一部だけの比較的安価な貼替で済むようになれば不動産オーナーとしてはありがたい話。

1回で使う壁紙の量、予算は減るが、その分の費用で複数の部屋で複数回張り替えができると考えれば総量としての壁紙の使用量はそれほど変わらず、壁紙メーカーも損はしないだろう。

今後、意匠性の高い壁紙にも識別対象が広がれば、一般の人がカフェのすてきな壁紙にインスパイアされ、我が家にも同じものをという動きが出てくれば業界に新しいニーズが生まれてくることになる。DIYで我が家を改装しようとしている人にも強い味方になるだろう。

もうひとつ、メーカー、品番が分かるなら廃盤品、新古品を使おうという流れが生まれてくることも考えられる。改修時に多くの人は新品を使うが、それは新品だからそれを使っているのではなく、それしかないから。改修の目的は部屋をきれいにすることであり、新品を使うことではない。

だとしたら、識別できた商品があり、それが廃盤品、型落ち品、新古品でも使える状態ならそれを使うことでコストを削減、廃棄する品を減らすという考えも出てくる。同社ではそれに対応して、同社に在庫のあるデッドストック品を購入できる仕組みを構築しようと検討している。

既存の部屋に合致する材を簡単に選ぶことができ、かつそれが購入できるとなれば無駄はさらに省けるようになる。環境にも優しく、不動産所有者の懐にも優しい仕組みのこれからに期待したいところ。

また、アプリについてもより使いやすくなるよう、使ってみての感想を寄せていただきたいと小松代表。より良いアプリにしていくことは内装業界のみならず、不動産業界にも環境にもプラスになるはずだ。

健美家編集部(協力:中川寛子(なかがわひろこ))

中川寛子

株式会社東京情報堂

■ 主な経歴

住まいと街の解説者。40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくり、地方創生その他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

■ 主な著書

  • 「ど素人が始める不動産投資の本」(翔泳社)
  • 「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)
  • 「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)
  • 「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版)など。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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