1965年に開園した都市公園が
フィットネス機能を備えた施設に進化
2015年から始まった大規模再開発計画「天神ビッグバン」により、更新期を迎えたビルの建て替えが積極的に進められている福岡市。続々と新たな施設が生まれまちは活気づいている。
そして、これと対をなすかのように進行中なのが、2019年から始まった「博多コネクティッド」だ。博多駅の活力とにぎわいを周辺へとつなげるのが目的で、天神エリアと同じく民間ビルの建て替えや博多駅前歩行者デッキの延伸、同駅筑紫口駅前広場のリニューアル、地下鉄七隈線の延伸区間の開業、はかた駅前通りの再整備など、都市機能のアップデートが行われている。
こうしたなか、新たに本格始動するのが、博多駅前にある「明治公園」の整備事業。今年8月14日に、東京建物(東京都)を代表企業とし、梓設計(東京都)、福岡市地盤の旭工務店、木下緑化建設、ランドスケープむらの4社を構成員とするコンソーシアムが、福岡市より「明治公園整備・管理運営事業」の優先交渉権者に選定された。
明治公園は、博多駅地区土地区画整理事業により、1965年に開園した都市公園。2008年からは博多駅周辺地区における浸水対策工事や地下送電管路推進工事、博多駅前広場地下駐車場建設工事により占有が継続されていたが、2011年より公園の再整備に着手し、2015年に一部区域の供用が始まっていた。ただし、その後も地下鉄七隈線延伸工事における占有が継続され、全面整備はいまだ完了していない。
こうした状況ではあるものの、明治公園は「博多コネクティッド」に連動するエリアにあり、昨年9月から始まった、現役世代を中心とした運動不足を解消するため、自然と楽しく身体を動かしたくなる仕組みや仕掛けがあるまちづくりに取り組む「Fitness Cityプロジェクト」が進められる博多駅前に位置することから、今回の事業地に選定されることに。
福岡市管理の公園としては初めて都市公園法に基づく公募設置管理制度(Park-PFI:都市公園において売店等の公園利用者の利便性の向上に資する公園施設の設置と、設置した施設から得られる収益を活用して、その周辺の園路、広場等の公園施設の整備等を一体的に行う民間事業者を公募により選定する制度)を活用し、公園整備と20年間にわたる管理事業を行う。
本事業で目指すのは、「The Gateway Park“HAKATA MEIJI”」事業をコンセプトに、博多のおもてなしの心・都市のランドマーク・新たなライフスタイルの“Gateway”となり、次代に受け継ぐべき未来志向の公園の実現。
事業コンセプトの実現に向けて地域の声や想いに耳を傾けながら、新たな価値観「インクルーシブ」「脱炭素」「ウェルビーイング」を形にした公園になることを目指す。主な特徴は以下の通りだ。
・公園利用者に新たな体験価値を生む「5つの広場」と「立体回廊」を整備
・博多のランドマークとなるデザインの採用積極的な緑化によるグリーンオアシスの創出
・「博多コネクティッド」「Fitness Cityプロジェクト」「都心の森1万本プロジェクト」など福岡市の施策と連動した施設整備と管理運営
公園内には飲食店や売店なども設置。誰もが利用しやすい施設設計や、立体的かつ複合的な魅力あふれるデザインにより、周辺施設と一体となったにぎわいの連続性を生む。上りたくなる屋外階段、居心地の良いテラス、行ってみたくなる屋上広場などの工夫により、従来の公園とは違った場所にする方針だ。
気になる今度だが、2024年度に工事に着工し、2025年春から順次供用を始める予定だ。個性的な外観で、単なる癒しの場ではなく、思わず歩きたくなるような作り。
まさに、次世代の公園像を具現化したような場所になるに違いない。付加価値の高いエリアが新たに誕生することで、近隣住民やビジネスパーソンだけではなく、観光名所としても認知されるだろう。こういった取り組みにより、博多駅前はより多くの人でにぎわうエリアになっていくのではないだろうか。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))