久喜駅は北埼玉における交通の要所となっている。
新たな大型物流施設が
オープン予定
大和ハウス工業は、2021年7月15日から埼玉県の久喜駅東側で大型物流施設の建設に着手したと発表した。
建設される物流施設の特徴は、規模がとても大きいことと、複数のテナントが入居できる「マルチテナント型物流施設」であることだ。

延床面積は161,955.96uで、東京ドーム約3.5個分の広さとなっている。
また、最大で24のテナントが入居可能となっており、賃貸区画には各社がオフィスを設置可能だ。
そのほか、輸送車が出入りする貨物スペースだけではなく、従業員用の駐車場・駐輪場もそれぞれ300台分以上のスペースが用意される。
さらに、テナントに入る企業の従業員が働きやすくなるよう、従業員専用のカフェや保育施設も併設される予定だ。

建設工事は2021年7月中旬に着工しており、2022年11月に竣工・テナントの入居が開始される見込みとなっている。
建設される物流施設は大和ハウス工業が展開する物流施設の「DPLシリーズ」となる。
大和ハウス工業は、2020年度末までにDPLシリーズの物流施設を39箇所完成させてきた。
コロナを契機としたEC業界の拡大により、2021年度には32箇所の施設を新たに建設する予定。
なお、DPLシリーズの施設は、一部を大和ハウスリート投資法人が運用しており、同法人が運営している分については稼働率100%となっている。
テナントにはヤマト運輸・ユニクロ・ニトリといった1部上場の有名企業も入っている状況だ。
久喜の施設にも大企業が入れば、周辺エリアでの雇用喚起が期待される。
久喜は北埼玉における
交通の要衝
久喜は大型物流施設の建設地になるだけあって、北埼玉における交通の要衝だ。
久喜駅にはJRの他に東武鉄道が乗り入れており、東京スカイツリーラインの始発駅となっている。
自動車交通についても、久喜インターチェンジから東北自動車道を利用できるほか、隣の幸手市からは圏央自動車道を利用可能だ。
圏央自動車道は、東の方へ進めば成田空港の方まで移動できる。
久喜市内の人口や
住宅市場について
統計を見てみると、埼玉県の統計では2021年8月時点における久喜市の人口は約15万人だ。
東京都内のエリアと比較すると、久喜市の人口は吉祥寺などが含まれる武蔵野市よりも少し多い。
一方で、武蔵野市との比較では世帯数が約6,700少なく、久喜市の世帯当たり人口は約2.4人となる。
久喜市に住んでいるのは、DINKSもしくは1人子持ちの世帯などが多いと予測される。
なお、久喜市内で人口が多いのは、久喜駅東側の久喜東・野久喜・青葉などのエリアだ。
特に、久喜東には1丁目〜6丁目の合計で約8,800人の人口がいて、市内人口の約6%が久喜東に集まっている計算となる。
そのほか、JR東鷲宮駅周辺にも1万人弱の人口が集まっているが、これは東鷲宮ニュータウンという団地があるためと考えられる。
民間住宅への投資を考えるのであれば、団地のない久喜東などの方が妥当と言えるだろう。
なお、スーモやホームズといった賃貸住宅のサイトで久喜市内の入居者募集物件を検索すると、2021年9月時点では、築20年以上経過した物件が検索結果の半数以上を占めている。
久喜市内の賃貸住宅には築古物件が多い印象だ。また、例えばホームズでは、入居者募集中の物件はアパートが圧倒的に多い。
つまり、駅近エリアでDINKS世帯をターゲットとしながら、築浅マンションなどに投資した場合は、激しい競争を避けて入居者を確保することも可能と考えられる。
大型物中施設の新規オープンには、周辺での雇用喚起も期待できるため、久喜駅の周辺でエリアを絞って物件を探してみるのも1つの方法ではないだろうか。
取材・文:秦 創平