自然と都市機能の調和がとれたエリア
駅直結の複合タワーの開発に着手
神奈川県の中央南部に位置する藤沢市。横浜市や鎌倉市、茅ヶ崎市などに囲まれ、南は相模湾に面し地形は平たん。東京から約50㎞と近く電車で約50分、横浜までなら約20分でアクセスできる。いわゆる「湘南エリア」の最東端だ。
江の島・片瀬・鵠沼・辻堂海岸を有し観光として人気で、サーフィンやマリンスポーツ愛好家からの人気も高い。東京・横浜のベッドタウンでもあり、市内にはJR、小田急・相鉄・江ノ電といった私鉄、横浜知市営地下鉄、湘南モノレールなど、複数の鉄道が乗り入れ、交通の利便性も申し分ない。直近の人口は約44万人と、10年前に比べて2万人も増えている。
人口増に伴い住宅の整備も進められていて、今年5月にはJR辻堂駅南口で商業施設と分譲マンションが一体になった複合タワー「(仮称)辻堂第二計画」の開発事業が始まった。
計画地は、JR辻堂駅南口から徒歩2分の場所。地上29階地下2階建て総戸数200戸(1R~4LDK)の分譲マンションを整備する。高さ98.90mは湘南エリア(藤沢市、茅ケ崎市、鎌倉市、逗子市)の建築物で最高層となる。
高層棟の1~3階部分および低層棟は商業フロアにして、地域の商店街との連続性を維持。生活便利施設も設置し、辻堂駅南口エリアにおける人の往来を増やす狙いだ。南口にこれまでなかった駅前広場を設け、人々が滞留する空間による賑わいを創出、開放的で明るいまちを演出する。
辻堂駅東開設フロアに直結するペデストリアンデッキも設置し、新たに歩行者動線を作り出し辻堂駅南口の回遊性も向上。2025年12月の竣工を目指す。
同事業は、駅前にタワマンを整備するとともに、既存の周辺施設とのつながりも意識。駅前に利便性の高い複合施設を作るだけではなく、商店街などともつながることで、まち全体を活性化させるのも狙いだろう。
JR辻堂駅は東海道本線の駅で、東京駅発着系統と、新宿駅経由で高崎線に直通する湘南新宿ライン、東京駅・上野駅経由で宇都宮線・高崎線に直通する上野東京ラインが停車。2021年3月のダイヤ改正からは、全席指定席の特急「湘南」の一部列車も停車するようになった。
駅の1日平均乗車数は4万人台で推移していたが、2011年に5万人を突破、コロナ禍前の2019年には6万人に迫ろうとしていた。
駅周辺には「湘南ライフタウン」や「湘南C-X」などの住宅地、商業。行政施設や商店街も広がっている。交通アクセス住環境は快適で、今回の再開発も注目されるに違いない。
冒頭でも触れたが、湘南ブランドの人気は根強く、転居・移住者は後を絶たない。住宅需要は旺盛で、今年6月には藤沢駅南口で過去最大規模の再開発事業が始まった。
ここでは既存の商業ビル3棟を一体化し、地上17階地下2階建ての再開発ビルを新たに建設。地上1~6かいが店舗、7~10階がオフィス、12~17階は多目的ホール付きホテルが入る。こうした駅直結の商業・業務・宿泊系ビルと駅前広場の一部を2029年までに整備するという。
それだけではない。さらに視野を広げると、JR大船駅と藤沢駅の間には2032年の開業を目指し、「村岡新駅(仮称)」の設置検討も進められている。実現すると藤沢市の村岡地区と鎌倉市の深沢地区では大規模な再開発がいくつも行われるだろう。
非常に高い成長のポテンシャルを秘めている、神奈川の湘南エリア。それは住宅価格や賃料にも如実に表れていて、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の「住まいインデックス」によると、JR辻堂駅周辺にある賃貸マンションの賃料は直近3年間で10.28%上昇している。
これは、神奈川県の変動5.37%に比べてやや高い。中古マンションや中古一戸建ての価格も上昇していて、いかにこの地域が人気なのかわかるというもの。その傾向は、今後も続くだろう。
いずれにしても湘南エリアはファミリー世帯だけではなく、自然を好む単身者世帯からも支持されている。誰もが住みやすいまちとして、今後も発展していくのではないであろうか。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))