シナガワグースの
解体工事がスタート
京浜急行電鉄はJR品川駅高輪口の前にあるシナガワグースについて、2021年11月から解体工事をスタートした。
シナガワグースはもともと2010年まで「ホテルパシフィック東京」として営業しており、その後京急が「京急EXイン」として営業していた。
京急EXインは2021年3月に営業終了しており、周辺店舗も閉店したことで、新たな施設の建設に向けて解体工事が始まった格好だ。
シナガワグースの解体後には延床面積20万㎡を超える複合施設が建設される。新たな複合施設の完成予定は2030年までとなっている。
※引用:京浜急行電鉄
この再開発には京急に加えてトヨタ自動車が共同事業者として名を連ねており、施設の完成後にはその一部をトヨタ自動車がオフィスとして活用することで合意している。
シナガワグースは「品川駅西口地区 地区計画区域」の一角にあたるが、2021年11月時点では、シナガワグース以外では工事などが進んでいる様子は見受けられない。
※引用:京浜急行電鉄
また、東京都の担当者に問い合わせたところ、当該地区計画については、2021年11月の時点で他に具体的な相談などはまだ来ていないとのことだった。
西口地区計画については、今後の具体的な進展が待たれるところだ。
北口駅ビルの建設が
新たに決定
その一方で、品川駅を取り巻く開発事業は他にも複数持ちあがっている。
以前にも取り上げたことのある「国道15号・品川駅西口駅前広場整備事業」や「京急第10ビル解体・京急線ホームの地上化」などが代表的だ。
駅前広場整備事業については、品川駅高輪口の眼前にある国道15号の上に立体の駅前広場を作るというものだ。
バスタ新宿のような高速バスと路線バスとの複合ターミナルに加えて自動運転自動車の乗降場を作るなど、国交省はかなり未来的な青写真を描いている。
そのほか、京急第10ビルの解体については、現在は2階にある品川駅の京急線ホームをJRと同じ1階へ移動するために京急が進めているものだ。
京急線ホームの移動が完了すると、品川駅構内での動線が整理されることになり、利便性の向上が期待される。
そして、2021年9月には、品川駅北口の改良工事について、JR東日本は大林組を代表とする共同企業体のJV事業とすることを決めた。
なお、北口には新たに駅ビルを建設することも決まっている。こちらは地上10階・地下1階の規模で駅直結となり、中には駅の施設やオフィスに加えて店舗が入ることとなった。
※引用:JR東日本
北口の駅ビルは2031年11月下旬に竣工する予定。北口では駅前広場も整備される予定で、こちらは面積約8,800㎡とかなり広くなる見通しだ。
品川駅では2027年にリニア中央新幹線が開業予定となっているほか、東京都は羽田空港の国際線拡充を推し進めている。
さらには東京メトロ南北線を品川まで延伸する計画もあり、品川駅周辺エリアの存在感は今後ますます大きくなっていく見通しだ。
現状の品川駅周辺開発事業は、JR・京急およびトヨタ・東京国道事務所・URとプロジェクトごとに事業主体が異なっている。
もし品川プリンスホテルも建替え再開発などの運びになると、ここに西武グループも加わることになり、全部の足並みがそろうのかは懸念点とも言えるところだが、今後の推移に注目したい。
取材・文:
(はたそうへい)