ピーク時は1時間のうち約58分間遮断
開かずの踏切がいよいよ解消される。
2022年3月に東武「竹ノ塚駅」の高架化工事が完了する。竹ノ塚駅を中心として東西に分断する踏切は、典型的な「開かずの踏切」であり、ピーク時は1時間のうち約58分間遮断されていた。
今も竹ノ塚駅の周辺は回遊性が良いとはいえない。交通渋滞も発生しやすく、線路を挟んでの移動では大回りが必要である。
2021年12月現在「竹ノ塚駅」の工事は大詰めといった様子で、完成図にかなり近づいてきた。
開かずの踏切解消は区民の悲願だった。きっかけとなったのは、2005年に発生した東武伊勢崎線竹ノ塚駅踏切死傷事故である。
開かずの踏切の待ち時間を減らすために、あえて手動踏切にしていたため、人為的なミスで4名が列車と接触。2名が死亡し、2名が負傷した。
2005年の踏切事故から着手に7年、解消工事に10年かかっており、住民にとっては待ちに待った高架化である。
「治安が悪いまち」という
レッテルを剥がせるか?
線路の高架化に伴い、まちの顔である駅もリニューアルされ、足立区の北の玄関「竹ノ塚」のイメージアップも期待できそうだ。
「竹ノ塚」は駅周辺に公営住宅が連なるベッドタウンとして発展してきた。治安の悪いまちと見られがちだが、おそらく居酒屋やスナック、パブなどが多いことが原因である。
竹ノ塚は夜のまちとしても有名で、フィリピンパブが集まる「リトルマニラ」というエリアもある。庶民が安く飲んで、安く遊べるまちである反面、歓楽街ではお酒に絡んだ事件がつきものだ。
昔の竹ノ塚を知る人に聞くと、随分と平和なまちになったというが、治安が悪いというイメージを拭えていない。
駅周辺の繁華街から少し離れれば
コスパの高いファミリータウンが広がる。
実際に足を運べばわかるが、昼間はごくごく庶民的なまちだ。下町を感じさせる商店街や、手軽な全国チェーンの飲食店などが目立つ。気取らず暮らせるコスパの高いまちという印象だ。
「竹ノ塚」は、足立区北部の中心地に位置づけられるまちであるため、公共施設も充実している。
駅から1.5kmほど離れたところには元淵江公園がある。毎年年末になると「光の祭典」と名付けたイベントを開催。「竹の塚けやき大通り」から公園まで、LEDイルミネーションで彩られる。
なお、2021年はコロナの影響で、公園内のイルミネーションイベントは中止だが、「竹の塚けやき大通り」はライトアップされている。
公園内には足立区生物園という施設があり、昆虫、魚類、両生類、は虫類、鳥類、哺乳類など約500種類が飼育されている。入場料は大人300円、小中学生が150円、未就学児は無料。
料金の割の見応え満点で、ユニークな特別展も頻繁に開催されている。小さな子供がいる家族連れに人気だ。
このように繁華街から少し離れれば、庶民的で暮らしやすいファミリータウンの色合いが強い。
東京の不動産価格は上昇したが
竹ノ塚は上昇幅が小さい。
竹ノ塚エリアは23区内でみると不動産価格が比較的安い。築年数は古いが、700万円台で買えるファミリーマンションなども出てくる。
不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の住まいインデックスによると、「竹ノ塚駅」の標準的な中古マンションの価格は直近の3年間で2.51%程度上昇。これは東京都の変動の13.15%に比べて低い水準である。
加えて「竹ノ塚駅」周辺の標準的な戸建てを見てみると、竹ノ塚駅の標準的な物件の価格は直近の3年間で0.10%程度下落。これも東京都の変動の9.08%に比べて低い水準である。
つまり、直近3年では、中古マンションも中古戸建ても価格がそれほど動いていないため、駅前が生まれ変わる今が仕込みどきと考えることもできそうだ。
「竹ノ塚駅」は東武伊勢崎線と東京メトロ日比谷線が利用できる。東京メトロ日比谷線の始発も出ているため、座って通勤することも可能だ。「上野駅」「秋葉原駅」は約25分、「東京駅」「大手町駅」などは約35分と、アクセスも悪くない。
抽象的な「まちのイメージ」よりも、「実利」を重視する不動産投資家は、お宝を探してみてはどうだろうか。
健美家編集部(協力:
(とやまたけし))