敷地面積約5.9ヘクタールの大規模開発
鹿島建設や京浜急行電鉄など、9社が出資して設立された「羽田みらい開発株式会社」は、羽田空港の隣駅である天空橋駅で、駅直結の複合施設を11月にグランドオープンすると発表した。
複合施設の正式名称は「HANEDA INNOVATION CITY(羽田イノベーションシティ)」。なお、一部の施設は2020年7月以降に先行オープンしている。
天空橋駅は東京都心から羽田空港までをつなぐ京浜急行線と東京モノレールの2路線が通っている駅だ。
品川駅からは京浜急行線で8駅・17分。東京モノレールの始発駅である浜松町駅からは東京モノレールで6駅18分となっている。
なお、羽田イノベーションシティへは、車だと川崎方面からでも簡単にアクセスできる。
羽田空港と川崎方面とをつなぐ大師橋または多摩川スカイブリッジを通れば、川崎市内にある京急大師線の大師橋駅から車で7~8分程度だ。
施設の規模は以下の通り。
- 敷地面積:約5.9ヘクタール
- 延床面積:約131,000㎡。
- 階高:地上11階、地下1階
また、施設内の主な機能は以下のようになっている。
- 先端モビリティセンター
- 先端医療研究センター
- 研究開発拠点
- 区施策活用スペース
- 会議研修センター
- ライブホール
- 文化体験商業施設
- ホテル
- 交流連携スペース
単なる商業施設というわけではなく、研究開発の機能に多くのスペースが割かれている。
羽田イノベーションシティのコンセプトは「国内外のヒト・モノ・情報がフラットに集まり、交流が生まれることで新たなビジネスやイノベーション創出の拠点となることを目指す」というものだ。
なお、先端モビリティセンターは先行オープン済で、自動車に使われる技術の開発を進める株式会社デンソーが、自動運転バスなどの実証実験を行っている。
ホテルと会議研修センターも、空港に隣接する施設として相性が良いと言えるだろう。
なお、11月にオープンするのは以下4つの施設だ。
- 先端医療研究センター
藤田医科大学による次世代医療・研究の拠点。再生医療・がんゲノム治療・不妊治療などの提供に加えて新規治療法の開発や創薬研究などを行う。
- ホテルメトロポリタン羽田
JRグループのホテルで屋上展望デッキ・レストラン・ジム等の施設を備える。
- 研究開発施設(オフィス)
最も広いフロアの面積は1,700坪超えの大規模施設。多様な研究開発企業の入居が期待される。
- terminal.0 HANEDA(研究開発拠点)
上述の研究開発施設とは別に、羽田空港の課題解決に異業種連携で取り組むための研究開発拠点。
近年では都内にある品川駅や高輪ゲートウェイ駅の周辺でも国際化に対応した街づくりが進みつつある。
品川エリアと羽田エリアとで国際的なイノベーションを生み出す街づくりが進んでいるという点で、両エリアの今後には大きな期待がかかるところだ。
川崎東部・羽田エリアが大規模研究開発エリアになる?
羽田空港の近辺に大規模な研究開発拠点ができることには、もう1つ期待できるポイントがある。
羽田方面から多摩川スカイブリッジを渡った先にある、川崎東部エリアにも、開発研究施設の集まる「キングスカイフロント」があるからだ。
キングスカイフロントには、慶応大学や東京工業大学などの研究施設や、ヘルスケア関連メーカーの大手であるジョンソン・エンド・ジョンソンなどの拠点がある。
川崎の東部や羽田空港周辺は、もともと工場や倉庫などが集まっていたエリアであり、どちらかというと低所得者の集まる街というイメージを持っている人もいるかもしれない。
しかし、今後は先端技術の研究に携わる高所得者が集まってくる可能性も高く、周辺エリアでの投資も狙い目になるのではないだろうか。今後の変化を期待したい。
取材・文:
(はたそうへい)