2025年の街開きに向けて工事は着々と進行中
JR東日本ビルディングがウェブサイトで「東京都心でも最大級のプロジェクト規模」としている、高輪ゲートウェイシティの開発が着々と進んでいる。
高輪ゲートウェイシティは、JRが2020年3月に開業した高輪ゲートウェイ駅の周辺で進めている都市開発プロジェクトだ。
高輪ゲートウェイ駅は山手線の品川と田町の間に新設された駅で、都営浅草線・京急線が乗り入れる泉岳寺駅の近くにある。
JRグループは、羽田空港からほど近くリニア新幹線の停車駅にもなる予定の品川駅周辺で、国際化に対応した都市開発を推進しており、高輪ゲートウェイシティもその中心プロジェクトの1つだ。
なお、プロジェクトの詳細については、こちらの記事で紹介している。
いよいよ本格始動「高輪ゲートウェイ」駅前開発。2025年3月に2棟、25年度中に全棟完成予定
単なる箱モノ開発というわけではなく、プロジェクトの一環として様々な実験が行われているのも当該開発の特徴だ。
JRが高輪ゲートウェイシティのコンセプトとして掲げるものの1つに「100年先の心豊かなくらしのための実験場」というものがある。
このため、高輪ゲートウェイシティのウェブサイトでは、様々な実験に関するプレスリリースが公開されている。例えば以下のようなものだ。
- 街区内でのドローン物流サービス実装に向けた長期運用実験
- 人が乗れる自動走行モビリティと歩行者の共存に向けた実験
- ロボットによる配送サービスの実証実験
- 小型電動自動車による近隣エリアの回遊実験
AIの普及などによってロボットやドローンによる物流システムの構築は現実味を帯びてきているが、まだ一般化されている段階ではない。
また、これらの実験は建設現場の中で行われているわけではないが、建物が完成した後に、各街区の中で実装が検討されているものだ。
実験と検証が進むことによって、高輪ゲートウェイシティの中では一歩先のテクノロジーを体験できるようになるかもしれない。
開発の進捗に伴う周辺エリアへの影響は?
単なる大規模な箱モノ開発に留まらない高輪ゲートウェイシティだが、周辺エリアにはどのような影響が出ているのだろうか。
泉岳寺駅から270メートルの距離にある、共同住宅の公示地価推移を検証したのが以下のグラフだ。
※参照:国土交通省
東京都内の不動産が高騰を続ける中では、高輪ゲートウェイシティの開発だけが影響しているとは言い切れない。しかし、それでも周辺地価が順調に上昇していることは事実だ。
2019年から2020年にかけての上昇率は約6.6%で、2022年から2023年にかけての上昇率は約3.7%となっている。
コロナの流行を挟んで上昇率は鈍化しているが、2023年は上昇の力強さを取り戻しつつある。今後の推移にも期待がかかるところだ。
取材・文:
(はたそうへい)