東京・新宿駅西南口地区の再開発に京王電鉄が着手。2つの街区が新たに誕生し、駅周辺の様相が一変する

複数の再開発プロジェクトが進行中
京王電鉄は駅の改良と複合施設を建設

JR東日本をはじめ、京王電鉄、小田急電鉄、東京メトロ、都営地下鉄が乗り入れる新宿駅。新宿副都心の中心に位置し、乗降客数は世界一。ギネス世界記録にも認定されえているビッグターミナル駅だ。

近年は駅およびその周辺の再開発が慌ただしい。遡るとこと2016年には、駅直結の「JR新宿ミライナタワー」が開業し、2020年には東西自由通路の供用が始まった。

2023年4月には歌舞伎町に「東急歌舞伎町タワー」もオープンし、西口では高さ約260ｍ・地上48階建ての大型施設開業に向け、小田急百貨店新宿店本館が2022年10月に営業を終了した。

東京都と新宿区は2046年頃を目途に、駅の東西・間近地区を中心としたエリアを再開発する「グランドターミナル構想」を掲げていて、その実現に向け着々と複数のプロジェクトが進行している。

こうした中、京王電鉄は新宿駅西南口地区再開発計画と京王線新宿駅改良工事について事業を推進することを決定。次代に向けたまちづくりを加速させる。

同計画は、2018年3月に東京都・新宿区から公表された「新宿の拠点再整備方針」に示されている、「駅・駅前広場・駅ビルを一体的に再編し、駅とまち、まちとまちをつなげ、新宿全体を活性化させる次世代のターミナル『新宿グランドターミナル構想』」の実現に向け、重層的な歩行者ネットワークや滞留・回遊空間等の基盤整備、宿泊施設等による国際競争力を高める都市機能の導入、環境負荷低減と防災力強化等に取り組むものだ。

具体的な内容だが、同計画では京王百貨店を含む北街区、甲州街道を挟んだ南側の南街区の2つのエリアで再開発事業を推進。

南街区に関しては今年度から工事に着手し、高さ約225m・地上37階・地下6階の複合施設を整備する。ここには店舗、オフィス、宿泊施設、駐車場などを集約し、2028年度に完成する予定だ。

北街区は南街区の竣工後に工事を始め、2040年代に店舗や宿泊施設、駐車場などが入る高さ約110m・地上19階・地下3階の施設を整備する。

新宿駅の改良については、一部先行として京王線新宿駅の地下2階ホームを北側へ移動し、ホーム北側端部に改札を新設。ホーム階から東京メトロ丸の内線へ乗り換え可能な動線などを整備することで、新宿駅西口地下広場における歩行者交錯の改善および乗り換え時間の短縮を目指す。南街区と同じく本年度より工事を始める。

なお、南街区開発における総事業費のうち京王電鉄が負担する事業費、一部先行分の駅改良工事費は920億円を予定し、北街区および新宿駅改良工事全体での総事業費は、現時点で3000億円程度を想定しているとのこと。かなりのビッグプロジェクトであり、こと南街区の高層ビルはJR新宿ミライナタワーよりも高い。

先述した小田急百貨店新宿店本館の建て替えも控え、同じく西口エリアにあるヨドバシカメラ新宿西口本店の周辺エリアも再開発されるといった声も聞こえる。

西新宿でも超高層ビルの機能更新を見据えた道路や公開空地等の一体的な再編に向けたまちづくりが検討されている。さらに東口では「新宿ルミネエスト」も超高層ビルになるという。

これらが実現すると、新宿駅周辺の景観は一気に変わる。いまは?華街やオフィス街が広がり整然と混雑が入り混じった独特のエリアだが、将来はどのようなまちになっているのか。

新宿駅には多くの鉄道路線が乗り入れているだけに、各沿線に与える影響も少なくない。いまから、世界一の利用者数を誇るターミナル駅の進化が待ち遠しい。