札ノ辻交差点から駅にかけて続々と施設が完成
さらなる再開発プロジェクトも進行中
東京都心部はいくつもの再開発プロジェクトで沸いているが、港区のJR田町駅周辺もそのひとつ。ここ数年で景観は様変わりし、今後もその姿を大きく変えていくようだ。
例えば、田町駅から徒歩で約7分、国道15号線と三田通りが交差する「札ノ辻交差点」の角地で2022年4月にオープンした「札ノ辻スクエア」は、港区による高さ58m、地上12階・地下1階の複合施設だ。
高層階には港区立産業振興センター、中層階には港区立三田図書館、低層階には民間連携床が配置され、図書館にはカフェが併設、今年5月にはディスカウントスーパー大手の「オーケー札ノ辻店」が2階にオープンしている。
今年7月には同じく札ノ辻交差点に「住友不動産東京三田ガーデンタワー」も開業した。同ビルは高さ215m、地上42階・地下4階の大規模オフィスビルで、災害時にも強い制震・免震構造も備えている。テナントは大手企業のオフィスや飲食店などだ。
9月下旬には大型複合ビル「田町タワー」が竣工した。高さ約156m、地上29階・地下2階で、ビジネスオフィスに加え、カフェやレストラン、スポーツジム、クリニックなどの商業エリア「田町タワーモール」も備える。
同ビルは田町駅・三田駅の至近にあり、隣接する「森永プラザビル」の国道側ペデストリアンデッキと接続することで、敷地内に設置された両駅までスムーズに移動することが可能。田町タワーモールではゆったりとした滞留スペースを用意し、休日にはイベントなども開催する予定だ。
なお、森永プラザビルは1974年竣工で老朽化が進んでいることから、建て替えが発表されている。入居する森永乳業の本社移転が終わる2024年以降に工事が始まり、2033年に新ビルが竣工する予定だ。
なお、同じく田町にあり森永製菓が本社を構える「森永製菓芝浦ビル」も建て替えが進行中で来年に竣工する予定。同社はこれに伴いサステナビリティ・ボンドを発行し、建て替えの資金を調達している。新ビルには避難場所を設置し地域住民の防災・減災にも貢献するという。
現在進行中の「芝浦プロジェクト」にも注目したい。計画地は田町駅と浜松町駅の中間あたりだ。「浜松町ビルディング(東芝ビルディング)」の建て替え事業として2021年10月にS棟の着工が始まり、2027年度にはN棟の着工を予定。S棟は2025年2月、全体としては2030年度の竣工を目指している。ツインタワーはともに高さ235mで、S棟高層部には日本初進出の欧州最大手のホテルブランド「フェアモント」がオープンする予定。他にもオフィス、住宅、商業施設が生まれる予定だという。
このように、田町駅周辺の再開発プロジェクトを挙げるとキリがない。一方、これだけのオフィス・商業施設が供給されても需要が追いつくかは気になるところ。賃料の高さもあるのか、実際のところテナントが埋まっていない施設もあると聞く。
田町駅は内陸側の三田口、海側の芝浦口に分かれ、前者は国道15号線が通り日比谷通りとの交差点にも隣接していることから、森永製菓、森永乳業、NECなどの国内大手企業や外資系企業のオフィス、官公施設が点在。慶応義塾大学をはじめ教育施設も多い。
一方、芝浦口には高層ビル「ムスブ田町」がオープンし、タワーマンションの建設が進んだことから住民の数が増加。東京工業大学の田町キャンパスでも今後再開発が行われ、オフィス、ホテル、商業施設、保育所、大学施設などを併設した複合施設が2030年に開業する見通しだ。
今後もさらなる変化が控えており、オフィスワーカーや近隣住民を楽しませてくれそうだ。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))