再開発建物の延床面積は合計で約78万㎡か
JR品川駅の南側、京浜急行線の北品川駅周辺で再開発の計画が進んでいる。
品川駅の南側なのに北品川という名称であることに、違和感を感じる人もいるかもしれない。
しかし、北品川駅は京浜急行線の品川駅から1駅南へ進んだ先にある、実在する駅だ。
具体的な位置としては、箱根駅伝の中継ポイントになっている新八ツ山橋から見てすぐ南側、あるいは御殿山の東側に当たる。
また、駅のすぐ東側には品川の運河があり、屋形船のたまり場などになっている。
一方で、駅舎の写真を見てもわかるように、周辺には古くなった建物も多い。
品川区は2014年に「品川駅南地域 まちづくりビジョン」を策定しており、北品川駅周辺エリアの課題として、主に以下のポイントを挙げている。
- 高齢化の進行や商店街の衰退
- 線路を挟んだ東西連絡性の強化
- 防災力の向上
また、2011年にはいわゆる「まちづくり協議会」である「品川駅南地域の未来を創る推進協議会」が組織されており、こちらも以下のポイントを地域の課題点に挙げている。
- 観光機能の強化
- 道路ネットワークの整備推進
- 老朽化した建物の更新
似たようなポイントもあるが、つまりは古い建物が多くなってきたので、建て替えを推進する必要があるほか、狭小道路も多いため道路整備が必要ということだろう。
また、北品川は旧東海道の宿場町という歴史を持っているため、過去には歴史を残すような街並みづくりが進められた。
しかし、現存する寺社・街道設備は市街地に埋もれており、観光資産として機能していない。
品川駅周辺で都市開発が進み、人が集まる基盤が整っていく一方で、北品川駅周辺では都市開発について後れを取っていると言える状況になっている。
2024年度中の都市計画決定を目指す
再開発の対象となっているのは、品川駅南側にある北品川1丁目と東品川1丁目のエリアで、面積は約13ヘクタール。
上記地図のうち、①のエリアが北街区、②のエリアが西街区、また地図では網掛けになっていないが、③の南側に当たるエリアが南街区となる。
3街区合計の敷地面積は約83,000㎡で、建設するビルの数は約15棟。住宅棟(マンション)・業務棟(オフィス)に加えて商業施設が建設される見通し。
主なデベロッパー及びその他関係各社としては、以下の各社が名を連ねている。
- 京浜急行電鉄
- 三菱地所グループ
- 東京建物
- 住友不動産
- 東急不動産
- 日鉄興和不動産
- 清水建設
- 大林組
規模が大きい開発なだけに、名だたる大手デベロッパーやスーパーゼネコンなどが絡んでいる。また、地権者の数も200人以上と大人数だ。
3つに分かれている街区ごとに再開発準備組合が組織され、2024年度中の都市計画決定を目指すとのこと。
計画通りの建物が建てば、品川駅周辺にも見劣りしないようなビル街となりそうだ。
もともと、北品川駅は京浜急行の各駅停車しか停車しない駅だ。しかし、オフィスが供給されて駅の乗降客が増えれば、特急電車などが停車するようになるかもしれない。
品川駅・高輪ゲートウェイ駅周辺の開発と合わせて、こちらも今後が楽しみだ。
取材・文:
(はたそうへい)