再整備方針策定の背景
西東京の都心、立川駅から徒歩圏内にある昭和記念公園について、再整備方針の策定が進んでいる。
昭和記念公園は米軍立川基地跡地の一部を対象として設置されたものであり、最初のエリアが開園したのは1983年10月だ。2024年時点では開園から40年が経過している。
※引用:国営昭和記念公園
公園の総面積は約180ヘクタールと広大であり、郊外都心の1つである立川駅から近いこともあって、バーベキューなどのシーズンには多くの人が訪れる。
再整備方針の策定が持ち上がった背景にあるのは、公園の老朽化と周辺環境の変化だ。
開園以来40年以上が経過したため、公園内の各施設は老朽化が進んでいるほか、公園の周辺エリアでは新しいまちづくりが進んでいる。
周辺エリアで進む新しいまちづくりの一例は、立川基地跡地昭島地区の土地区画整理事業などだ。
土地区画整理事業の一端として清掃工場の整備が進んでいるほか、マンションや商業施設などの新設が予定されている。
また、昭和記念公園の東側では2020年4月に大型商業施設のGREEN SPRINGSが開業済だ。
※引用:GREEN SPRINGS
再整備方針が策定される背景の1つは、周辺環境の変化に合わせて昭和記念公園の魅力を高め、地域全体の価値向上につなげるというもの。
再整備方針の策定に当たり、解決すべき課題として位置づけられているのは以下の3点だ。
- 昭島口の「ゲートとしての視認性」を向上させる
- 残堀川(ざんぼりがわ)調整池跡地の活用
- 老朽化したプールの整備
昭島口は公園の南西側にあり、JR青梅線 東中神駅(ひがしなかがみえき)から徒歩10分の場所に位置している。
「ここが公園の出入口」とわかるような門などは特に設置されておらず、「昭島口ゲート」と書かれた看板が1つ設置されているだけだ。
ゲートの周りは多くの木に囲まれており、ここに入口があるとわかっていなければ見落としてしまうような見た目になっている。
残堀川は公園の北方から公園の西端を沿うように流れている。しかし、川の調整池は現在使われておらず、未供用エリアとなっているため、活用方法の検討が早期課題とされている状況だ。
公園内のプールについては1985年度から供用され、多くの人に利用されていたが、設備の老朽化を理由として2019年度の営業後に利用が休止された。プールは解体・撤去される予定だ。
再整備方針の概要
2024年2月に発表された、再整備方針の最終とりまとめ案で提示されている方針の一部は以下の通り。
- 既存の昭島口ゲート棟を撤去し、新たなゲート棟と憩いの場を再整備する
- 既存の樹木を活用しながら多目的広場と駐車場を設ける
- 既存のバーベキュー施設を更新する
- サイクリングロードで公園内全体をまわれるように延伸する
- プールエリアは水遊び場として整備し、無料で利用できる施設にする
※引用:国土交通省
入口ゲートだけが整備されるというわけではなく、バーベキュー場やプールなど、公園内の目玉と言えるような施設もテコ入れされることが分かる。
西東京における名所の1つとして知名度が上がっていけば、インバウンドの訪問者を呼び込める施設になることも期待できるのではないだろうか。
立川エリアの魅力向上につながっていくことを期待したいところだ。
取材・文:
(はたそうへい)