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入居者がタオルを流して水漏れトラブルに。集合住宅における保険の仕組み

赤尾宣幸さん_画像 赤尾宣幸さん 第58話 著者のプロフィールを見る

2023/3/3 掲載

第57話でトイレのつまりで排水管を調査した事例を紹介した、福岡市にある築49年の区分所有マンション。私はそのマンションの一室を賃貸している。

参照:トイレが詰まる原因と対応策。「 排水管の老朽化だ 」と修理費を請求された話

■ 電気温水器からの水漏れの原因は?

先日、入居者さんから賃貸管理をお願いしている管理会社経由で連絡があった。「 給湯器から水漏れしているのですぐ直してほしい 」という。また、流しやトイレの排水も悪いという。

この部屋の給湯器は電気温水器だ。電気温水器は古くなると水漏れのトラブルが発生したりする。電気温水器の配管破損や排水管のつまりなどが原因だったりする。

実はこのマンションでは電気温水器の漏水が散発している。漏水に気付かずに放置して階下へ大量の水が流れ、大きな被害が発生したこともある。

管理組合として「 電気温水器からの水漏れ時には、まず水道や温水器の元栓を止めましょう 」と警告チラシを配布したばかりだ。電気温水器はタンク内に水が大量にあるし、水道を止めない限り流れ続けたりする。被害が階下に及ぶとかなりの費用負担が発生する。

管理会社を通じて話を詳しく聞くと、流しから水を流したら、電気温水器のところから水が漏れたという。「 流しから水を流すと電気温水器から漏れる 」ならば、「 電気温水器 」は原因ではない。

原因はほかにある。流しからの水はどのように流れるのか。なぜ電気温水器から水が出るのか。正常に排水されてない原因は何か。

正常に排水されない理由は横引き配管が詰まっているからではないかと考えた。
横引き管は水平方向の排水管で、流しや給湯器などの排水が流れていき、その先で縦方向の排水管である竪管と繋がっている。

配管図

流しの排水はゴミ受けやトラップがあり、詰まりにくい。仮に流しの配管の詰まりであれば流しの水が流れないだけで、温水器付近から水が出ることはない。

今回はトイレの水も流れにくいという。トイレの排水管に問題がありそうだ。トイレの排水管が詰まっていて、それに繋がる横引き管が、流しからの水でいっぱいになり、一番低い開口部である電気温水器の排水口から溢れたと考えれば理屈は合う。

配管図:今回のトラブル箇所

入居者さんは排水管( 横引き管または竪管 )が悪くて詰まったと主張される。しかし、排水管は塩ビなので、そこで詰まる可能性は低いことは前回、調査済みだ。

そこで、便器を外して何か詰まっていないか確認するよう依頼した。工事費は概算で3万円、当日施工だともう少しかかるという。入居者さんは工事費が高くなってもいいからすぐにやってほしいという。

そこで、「 もし入居者さんが異物を流したのが原因なら、工事費は入居者さん負担になる 」旨を管理会社から伝えてもらった。この結果、工事は翌日となった。

この部屋は床下点検口があり、床とスラブ( 躯体 )の間に塩ビの横引き管が設置してあり、点検口を開けて床下の配管を確認できた。トイレは新築時のままで、フラッシュバルブというもので水を一気に流す仕組みだ。リモデル便器とは違い、水をストレートに流すので詰まりにくい構造にはなっている。

入居者さんが「 電気温水器が悪い 」と主張されるので、電気温水器付近や流しの排水管も調査したという。そして、便器を外して異物を目視確認した結果、目視では異物は見えなかったが、ワイヤー洗管すると「 タオル 」が出てきたという。

使用上の問題なので、結局工事費は全額入居者さん負担となった。タオルを落としたと初めから正直に申告していれば、費用はもっと安く済んだだろう。

今回は管理会社の担当者さんが優秀な方で、まず、オーナーが業者さんを手配するかどうか聞いてくれて、自社で手配するなら3万円くらいかかると最初に教えてくれた。そんなに高くはないので、依頼することとした。

そして素早く動いていただき、私は現地に行くこともなく、スピーディに的確に解決していただいた。責任は入居者さんにあることをしっかり伝えていただき、私の費用負担はなかった。優秀な担当者さんはありがたい味方だ。

■ 集合住宅のトラブルの保険について

ところでこういう場合、保険はどうなるのだろうか。管理をお願いしている株式会社福一不動産に確認してみた。

入居者さんが「 借家人賠償保険・個人賠償責任保険 」に加入して「 漏水特約付帯 」の場合は、漏水に伴う部屋・下階の部屋等の被害への補償がある。

大家が「 施設賠償責任保険 」に加入して「 漏水特約付帯 」の場合は、部屋・階下への被害は補償されるが、劣化などでは適用が難しい部分もある。修理費用は出る可能性があるそうだ。

電気温水器に限らず、マンションなどの集合住宅では漏水で階下へ被害を及ぼすことがある。これは「 原因を作った人 」が補償しなければならない。そしてそれは、高額になることがある。

芦沢晃さんの第51話「 被害額8,000万円、無借金の区分マンションの漏水事故で破産した実例 」などは、恐ろしい限りだ。万が一に備えて漏水特約を付けた施設賠償責任保険などに加入しておくことが大切だ。

区分所有マンションの賃貸はあまり手間がかからないが、漏水事故などで階下に大きな被害を及ぼすこともある。そういう事態に備え、保険はしっかり考えよう。

健美家ではニュースのページで斎藤慎治さんなどが、保険についての記事を書かれている。しっかり読んで、いざという時に備えてほしい。

参照:https://www.kenbiya.com/ar/ns/for_rent/hoken/

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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

赤尾宣幸さん

赤尾宣幸さんあかおのぶゆき

福岡県宗像市在住
不動産賃貸業
デイサービス事業運営

FBにて以下のグループを主宰
DIYを楽しむ会
不動産イベント倶楽部
居酒屋セミナー
高齢者向きアパートの会
DIYを楽しむ大家の会

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □1960年
    福岡生まれ

    □1978年
    日本国有鉄道入社

    □1980年
    中央鉄道学園大学課程入学

    □1983年
    中央鉄道学園大学課程土木科卒業

    □1993年
    自己所有マンションを賃貸にして賃貸経営開始

    □1996年
    キリン・ドラフトマスター取得

    □1997年
    日本初の複数のテナントが入るフードコート「小倉食堂」を立ち上げ

    □2002年
    妻の夢実現のためにデイサービスを立ち上げる

    □2003年
    西日本旅客鉄道退社

    □2007年
    介護タクシー開業

    □2009年
    高齢者向きアパート開業

    □2011年
    九州経済産業局 専門家登録

    □2022年
    デイサービス事業と不動産賃貸業を行いながら、自身の夢である「高齢者向きアパートの普及で一人でも多くの人が幸せを感じてもらうこと」に向けて執筆やセミナー等を行っている

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