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隣地との境界確定不調に伴う境界確定訴訟を起こした事例(2)

koziさん_画像 koziさん 第50話 著者のプロフィールを見る

2024/4/15 掲載

今回は、前回の続きで隣地との境界確定不調に伴う境界確定訴訟を起こしたその後について記載させて頂きます。

参照:無茶苦茶な隣人の主張に唖然!隣地との境界確定不調に伴う「境界確定訴訟」を起こした事例(1)

■筆界特定制度ではなく境界確定訴訟を起こすことにした理由

私が隣地のCさんと境界確定するために、筆界特定制度ではなく境界確定訴訟を起こすことにした理由は以下の3つになります。

①隣地のCさんがこちらの主張に同意しないので白黒つけたい(完全確定させたい)
②隣地のCさんとの境界を示す既存の石杭が既に設置されていること
③Cさん以外の隣地者とは既存の石杭で境界確定書を取り交わし済みであること

そして、顧問弁護士からはいきなり境界確定訴訟を起こすのではなく、裁判所を通じて隣地のCさんに調停を申し込む提案も受けました。

調停の場合は、裁判所において弁護士や土地家屋調査士などの専門家も同席のうえ、話し合いで境界を確定させることになります。弁護士や土地家屋調査士などの専門家が当事者同士の間に入ってアドバイスをしたりするので、調停で合意するケースもあります。

しかしながら、測量を依頼していた土地家屋調査士とも話をしましたが、隣地のCさんの場合、調停で話し合いをしても、自分の主張を一方的に言ってくるだけで、自分の主張どおりにならないのであれば、合意する可能性は低いと考えました。

また、調停の申込みをしたとしても調停の場合は参加が任意なので、Cさんが調停の話し合いに出てこない可能性もあると考えました。そのため、顧問弁護士および土地家屋調査士と話し合いをした結果、調停の申込みはせず、いきなり境界確定訴訟を起こすことに決めました。

訴訟を起こすに際して、顧問弁護士にも現地を確認して頂き、私と土地家屋調査士の3人で何度か打ち合わせを行って、1か月後に訴状を作成してもらいました。

顧問弁護士からは、「Cさんが反訴してくる可能性も有り、その場合は確定するまでに1年以上掛かることになりますが大丈夫ですか」と再度念押しされましたが、私の気持ちは固く、訴状の内容を最終確認した後、顧問弁護士に対象物件の管轄裁判所に境界確定訴訟の訴状を提出してもらいました。

訴状の内容について提出した管轄裁判所から顧問弁護士宛に幾つかの確認事項があり、1ヶ月の時間を要しました。そして、管轄裁判所の訴状についての内容確認が完了した後、訴状が管轄裁判所経由で隣地のCさんに送られることになったのです。

訴状が隣地のCさんの手元に届いたことは、裁判所経由で顧問弁護士から報告を受けました。

■あっけない決着

訴状が隣地のCさんの手元に届いてから3週間ほど経った頃、Cさんの代理人となった弁護士から、私の顧問弁護士宛に連絡がありました。「そちら側(私)の主張する境界位置で境界確定書を取り交わすので、境界確定訴訟を取下げてほしい」との申し出でした。

顧問弁護士より、「Cさんの代理人弁護士からの申し出をどうしますか」と聞かれました。私としてはCさんがこちら側が主張する境界位置で境界確定書を取り交わしてくれるのであれば、無駄に裁判する必要はないと考えて、Cさん側からの申し出を受けることにしました。

ただし、「訴訟の取下げは境界確定書を取り交わしてから」ということを条件として、顧問弁護士からCさんの代理人弁護士に伝えてもらいました。

後日、私の顧問弁護士と土地家屋調査士、隣地のCさんとCさんの代理人弁護士が対象物件の境界位置を現地で再度確認し、無事にCさんとの境界確定書を取り交わしが完了しました。

当日、私はCさんと顔を合わせたくないということもあり、その場には同席せずに、顧問弁護士と土地家屋調査士に一任していました。そして、境界確定書を取り交わしが完了したので、境界確定訴訟の取下げ手続きも顧問弁護士から裁判所に連絡をして行いました。

Cさんとの境界確定書が取り交わすことができたことにより、その後土地家屋調査士に確定測量図の作成をしてもらい、隣地者5人と取り交わした境界確定書と確定測量図を以て、法務局に地積更正登記の手続きを土地家屋調査士にして頂きました。

地積更正登記をするメリットは、登記をする事により、管轄法務局に地積測量図が半永久的に保存され、広く一般に公開されるため、第三者にも自己の土地の範囲を主張できることです。

更に、隣地との境界確定書を無くしたりして、隣地と境界で再度争いが生じたとしても地積更正登記がされているので、充分に戦うことができるメリットがあります。

■隣地のCさんが争わず白旗をあげた理由

後日談ですが、Cさんは私との境界確定書を取り交わした当日、境界確定書を取り交すことにした理由を、顧問弁護士と土地家屋調査士に恨み節のように話したとのことです。

Cさんが境界確定書を渋々取り交わした理由は以下になります。

①私が主張する境界位置は区画整理事業で境界定めたもので、その時に埋められた既存の石杭は現在も有効であり、裁判所も既存の石杭が境界位置であると判断する可能性が極めて高いこと。

②Cさんが主張するセットバック杭が境界位置とするについては、そのセットバック杭は相手方(私のこと)の敷地の一部を道路提供した部分を示すものであるということが明白であること。

③Cさん以外の隣地者と相手方(私のこと)との間で、既存の石杭で境界確定を取り交わし済みであること。

④セットバック杭を堺に相手方(私のこと)の敷地の一部を道路提供した部分の土地は、道路提供しているため、土地としての価値が実質なく、かつ既に課税台帳に道路として記載されていることから道路として認識されていること。

上記①~④を踏まえて、Cさんは代理人弁護士から「Cさんが争っても勝ち目がなく、争うメリットもない。相手方が主張する境界位置で境界確定書を取り交わして訴訟を取下げてもらったほうが賢明である」と言われたのだそうです。

そして、最後に「あの若造(私のこと)が訴訟まで起こしてくるとは思いもよらなかった」と捨て台詞を吐いていたとのことでした。

■境界確定訴訴訟及び確定測量図の作成に掛かった費用について

境界確定訴訟および確定測量図の作成に掛かった費用についてですが、境界確定訴訟に掛かった費用は、実際に裁判が行われなかったことと、私の場合は顧問弁護士に依頼していて顧問料も毎月支払っていたということもあり、訴状を書いてもらう費用および代理交渉費用として30万円でした。

実際に裁判になった場合だと100万円ぐらいの費用になったと思います。また、顧問契約などがいない場合で、弁護士に依頼すると事案ですと、内容次第ではありますが、100万円以上は普通に掛かると思います。

次に、確定測量図の作成費用ですが、こちらは地積更正登記費用も含めて60万円でした。そのため、今回の境界確定訴訴訟及び確定測量図の作成に掛かった費用は合計90万円で、当初予定していた費用よりもだいぶ安く済みました。

最後に、私は今回Cさんと境界確定をするために境界確定訴訟を起こしましたが、それはCさんとの境界を示す既存の石杭が既に設置されているなど、境界確定訴訟を起こしても勝てる見込みが高いと判断したからです。

もしも隣地との境界を示すものがない場合や隣地と表立って争いたくない場合には、筆界特定制度を使うという選択肢もあるかと思います。このあたりは前回のコラムに詳しく書いたのでご参照ください。

不動産賃貸業をしていると、隣地との境界確定をする必要というのはしばしば起こり得ると思います。私の今回の事例が、皆様の参考になれば幸いです。

 

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プロフィール

Koziさん

Koziさん

不動産賃貸業
IT系企業のサラリーマン
都内に妻と子供と3人暮らし

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □1980年
    神奈川県川崎市の武蔵小杉の地主の家に生まれる

    □1999年(19歳)
    不動産賃貸業に関わり始める

    □2002年(22歳)
    和光大学卒業

    □2004年(24歳)
    公認会計士、不動産鑑定士の試験に合格
    (他に宅地建物取引士、行政書士、賃貸経営管理士等の資格も持つ)
    IT系企業に入社

    □2008年(28歳)
    叔父の不動産を引き継ぎ2015年に法人化
    会社員を続けながら、不動産事業にも取り組む

    □2018年(38歳)
    企業主導型保育事業を開始

    □2021年
    所有物件数15棟(レジデンス、店舗、グループホーム、保育園)
    年商7億円(保育事業の収入含む)

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