前回の続きです。
今回は、私自身と私がコンサルティングした大家さんの実体験をベースにして、日本政策金融公庫( 以下、日本公庫 )の利用方法について説明致します。
あくまで、限られた実体験に基づく内容ですので、異なる体験をされた方がいらっしゃっても、ご容赦願います。
まず、日本公庫から融資を受ける時の手続きの手順は、次のようになります。
1 )相談
2 )申し込み
3 )面談
4 )融資実行手続き
順を追って、そのポイントについて説明していきます。
■1.相談について
私は、銀行の元融資担当で、日本公庫特有のルールや書類の書き方を理解しやすい立場にいました。
そのため、最初に日本公庫から融資を受けた時も、支店の店頭にあった融資の案内・借入申込書一式を頂戴して自宅で記入し、その他の必要と思われる資料を準備し、「 相談 」を飛ばして、いきなり店頭で「 申し込み 」をしました。
しかし、私は初めて日本公庫を利用する方には、「 申し込み 」をする前に、店頭での「 相談 」という手順を踏むことをおすすめします。
その理由は、日本公庫には、創業間もない大家さん向けのものや、国の政策等で一定の期間だけに使える有利なものなど、様々な制度融資があるからです。
女性や若者、シニア起業家のみが使える制度もあります。自分の判断だけでは、せっかくの有利な制度融資を使えるのに見落としてしまう可能性があります。
また、「 相談 」の際に、事業全般に対するアドバイスや自分だけでは気付かない注意点を教えてもらうこともできます。
電話でも相談はできますが、やはり対面の方がいいでしょう。書類や資料についても現物を前にその場で説明してもらえますし、話も通じやすくなります。
サラリーマン大家さんの方で、平日の昼間はなかなか相談にいけないという方でも、東京・名古屋・大阪にある「 ビジネスサポートプラザ 」に行けば、土・日でも相談することができます。( ただし、公庫を初めて利用する方・創業される方が対象 )
このビジネスサポートプラザは、全国どこに住んでいても、また、どこで大家業を営んでいても相談することができますので、遠方の方なら、セミナーや他の所用で東京・名古屋・大阪を訪れる際に、相談してみるのも一案と思います。
■2.申し込みについて
「 相談 」が終わると、いよいよ「 申し込み 」です。初めての場合や制度融資を使う場合には、「 相談 」の時に貰った「 借入申込書 」の他に、用途に応じた書類の提出が必要となります。
リフォーム資金の申し込みをする時は、リフォーム工事業者さんの見積書も必要になります。ちなみに、申し込みは、店頭だけでなく、郵送、ホームページからも可能です。
この「 申し込み 」の際に、「 面談 」の日を決めるのですが、私はこの決め方にちょっと驚きました。
どういうことかというと、窓口の担当者に「 申し込み 」の書類を渡し、その時に面談可能日を伝えるのですが、窓口の受付の方と、実際に融資審査を担当する方は別ということもあり、この場では、「 何日以降のどの日 」という指定はできても、時間までは確定しません。
時間は、融資担当者が申し込み書類をチェックしたのちに、指定してきます。連絡手段は、なんと、お手紙です。日にちはすでに決まっているとはいえ、数日後の面談の時間を、こちらのスケジュールお構いなしに指定してくるのです。
自由に平日の予定を調整できる方は問題ないでしょうが、多くのサラリーマンはもちろん、経営者の方でも数日後となれば、結構スケジュールが埋まっていたりします。
お手紙の最後には、「 ご来店の日時の変更を希望される方は、ご連絡くださるようお願いいたします 」と印字されているのですが、この一方的な面談時間の決め方が、あまり民間金融機関にはない発想で、政府系金融機関らしいところだなと感じさせられます。
ちなみに、この手紙。内容としては、「 お越しいただく日時 」「 お越しいただく場所 」「 担当者 」の他に「 お持ちいただく資料 」が記載されています。
お持ち頂く資料には、預金通帳( 法人の場合は代表者個人名義分を含む場合も )や税金の領収書もあります。
日本公庫は、借入金の延滞や税金の滞納に敏感です。私も銀行員時代に借り入れの返済の遅れたお客様に入金の督促をしていました。
延滞すると記録に残りますが、財務内容が良いのに、ついうっかり返済口座に残高がなく、返済金の引き落としができなかった場合は、督促後すぐ入金されれば、その後はあまり気にしていませんでした。ただ、事業性資金で1年に1回あるかないかの場合に限ってのことでしたが。
日本公庫は、自社の融資の短期の延滞のみならず、他からの借入金の1日2日の短期の延滞や納税の遅れもとても気にするようです。小口の財務内容の悪い先にも、前向きに融資を続けていた中で培ったノウハウなのでしょう。
サラリーマン大家さんには、本業が多忙なあまり、「 ついうっかり 」とか「 仕方なかったから後回しにしてしまいました 」とか言い訳される方も中にはいらっしゃいますが、支払いの期日はきちんと守ることをおすすめ致します。
大家さんの立場でも、家賃の入金が一日でも遅れると気持ちの良いものではありませんよね。
「 面談 」以降についは、後編に続きます。