今回のコラムは入院中の病室で書いています。以前のコラムにも書きましたが、2年前にも両方の肩腱板断裂の手術を受けて合計6週間ほど入院しました。そして今回、変形膝関節症と半月板の修復手術を受けるために入院しました。
肩の手術も膝の手術も「 ゴルフを長く楽しむため 」の決断でしたが、実は左膝は30年前も前から状態が悪いのを自覚していました。それを騙し騙ししながら我慢してマラソンやゴルフをしていたのです。
そして昨年の正月明けの宮崎のゴルフで遂に、左膝に激痛が走りました。水が溜まったためでした。その時は怖い手術を回避するために手術をしない再生医療の治療を試みました( 医療費は保険適応外なので小型車一台分かかりましたが… )。
その結果、昨年の夏頃には痛みが治ったのですが、秋口になると痛みが再発し、今度は右膝も同時に痛くなりました。たまらず整形外科を受診してMRIで見たところ、再生医療の効果は全く見られませんでした( 結果的に捨て金でした )。
その時に、「 両膝とも相当悪い状態なのでこのままでは人工関節置換術しかなくなる。今なら脛骨骨切り術で脛の骨を切って角度を変えれば( O脚からX脚側に直す )膝の負担も減って自分の膝で歩ける 」と言われました。
そこで、思い切って両方の膝を手術する決断をしました。今回は左膝の手術で、来年早々には右膝の手術をする予定です。
術後に先生からは、「 どうしてこんなに悪くなるまでほっとくのだろう。まあ、大体の人はどうしようもなくなってからウチに来るんですけどね 」と言われました。
もっと早い段階で手術をしていれば回復も早く、満足度も運動性も格段に良かったはずなのに、どうしようもなくなってから病院の門を叩く患者が本当に多いそうです。( 人の事は言えませんが )
ドクターの話は人間の持つ普遍的なものについての示唆ある話だと思います。そして、これは経済の話にも置き換えることができます。
■ 2022年は不動産投資の「 転換年 」だった
不動産投資で言えば、ダメ物件を買ってしまい、どうしようもなくなってから各方面に相談して、「 損切りしかない 」とアドバイス受けても損切りせず、最後に競売に流れるといったようなことです。
株もまた然りで、小さな損が出始めた時、すぐに損切りすれば傷を最小限で収められると頭で分かっているのに、「 いつかは戻る 」と根拠のない妄想にすがりつき、損失を広げてしまいます。それも人間の性です。
幸いなことに、オイラの膝は手遅れではなく、まだ機体的には回復するであろうと思っていますが・・・。
さて、入院中というのは活動を制限されることもあり、1日がすごく長く感じられ、いろいろなことを考えてしまいます。まだ年末には少し早いのですが、先日は今年一年間を病床で振り返りました。
そして、今年は過去とは違った形での「 転換点 」の年だと思いました。きっかけは2年前の新型コロナウイルスによる世界中でのお金の増発ですが、それがロシアのウクライナ侵攻でインフレに加速がついています。
食料とエネルギー価格の上昇が一番ダメージある出来事でしょうが、中国の工場停止による物流の低下による部品不足等の影響も小さくはありません。建築資材の高騰などで不動産投資にも相当なインパクトがありました。
当初は早期に終息するとのシンクタンクの見方もあったロシア侵攻収束の目処も未だ立っていません。こんな状況ですから来年以降の1〜2年間は新築の建築費が高騰し、新しい物件の事業計画すら立てるのが難しくなりそうだと危惧しています。
つらつらと振り返ってみると、オイラが始めてからの30年弱の間でも不動産投資スタイルは常に経済の状況に対比するように変化を続けてきました。と言うか、変化せざるを得ませんでした。
同時に、世に出回る投資手法も時代と共にずいぶんと変貌を遂げてきましたね。
一般販売、競売、任意売却、指値、地方RC、地方木造、築古、都心新築、地方都市新築、田舎の新築、戸建て、リノベ、更地、ソシアルビル、事務所、テナント、駐車場、民泊、ホテル、高齢者向け住宅、シェアハウス、シェアオフィス、多法人、消費税還付・・・。
まだありそうですが、本当に我々のような元々地主でもない人たちがよく色々な方法で賃貸業を開拓してきたと思います。王道と言われたものが長く続くとは限りません。どの手法もある程度知れ渡ると優位性は落ちていくとも感じます。
オイラも手法的には同じだとしても、一度たりとも全く同じ条件での不動産投資( 取引 )はありませんでしたし、その時その時で、物件利回り、建築費、立地、間取り、築年数、金利や借入年数などの融資条件、入居者層などなど、全てが違っています。
似ているような取引はあっても、常に同じではありません。不動産というものはつくづく唯一無二のものだと改めて思います。
これからも当然、同じ形の不動産取引はありません。直近での不動産投資家は、インフレに戻りつつある世の中の変化についていくことが求められています。
■ どのエリアにもチャンスがあり成功者がいる
入院前の10月のことですが、福岡で防人レボリューション君が物件を見せてくれました。彼の一等地にある立地の良い新築テナント物件などは利回りが低くて、資金量がないビギナーですと参入障壁が随分高いだろうと感じました。
また、今年購入した中古物件は築年数が古くてもしっかりと価値を保っている物件が多く、札幌よりも経年による傷みが明らかに少ないので、築年数をあまり気にせずに投資をできることが福岡の強みだと感じました。
福岡では中心部から少し離れた築古を探せば、ビギナーでもまだチャンスはありそうです。札幌にあったなら建物の傷みが進んで家賃の下落に悩まされそうな物件でも、きっちりと稼動しているのは羨ましく思いました。
また、同じ頃に富山にも訪れました。投資家仲間のI君から聞いたのですが、金沢の業者が富山に来て建てている企画アパートが安い賃料設定をしており、近隣の家賃相場を壊しているエリアも一部出てきているそうです。
一方でポール君などはきっちりと利回りを確保しながら新築を建てているようで、やはり実力があればしっかりと物件を仕込めるということも見て取れました。
これも彼がコツコツと、地元に有力なコネクションを作ってきたからでしょう。県外からやって来て、一石二鳥で同じことは出来ないだろう事は容易にわかります。
しかし、福岡であれ富山であれ、全般には儲かりにくい市況になったことは間違いありません。それでも、儲けられないわけではないということも分かりました。ただ、以前よりシビアに物件を選択する力量が必要な状態になったということです。
翻って、札幌はどうかと言えば、今年に入って新築は利回り低下の為にかなりの自己資金が必要となりました。一方、中古物件では融資条件次第ではかなり良い物件も見つけることができています。
札幌から離れると過疎に伴い戸建てなどで安いものも見受けられますが、これはある程度、地元の不動産屋さんにコネクションがなければいい物を仕入れできないでしょう。
それに、札幌近郊では不動産も値上がりしているので、利回りの差を考えると、札幌だけに絞って物件を見つける方が安全のような気もします。
また、そろそろ競売も見ておく時期に入った感もあります。まだまだ物件数自体は多くないでので眺めている程度で良いかと思っていますが、時が来たらこちらも面白くなる可能性はあります。
正直なところ、現在の札幌の市況下では、「 これだったら儲かりそう 」と思える投資先の決め手に欠ける状態になっています、今は次の幕が開くまでの幕間を繋ぐ時期だと割り切るしかないでしょう。
そう言いながらも、何もしていないわけではありません。不動産市況の様子を見続ける意味で、ロットの小さな物件に、たまには買い付け入れて様子を見ている状態です。
■ 無理をする必要はないが諦めることもない
方向性が見えない時期に無理する必要はありません。ただ、その間も「 諦める 」わけではありません。オイラも不動産投資の初心に戻って、不動産に取り組みたいと思います。
『 初心者の心には多くの可能性があるが、熟練者の心にはわずかな可能性しかない 』( 禅僧侶 鈴木俊隆さんの格言 )
こういうことにならないよう、多くの若手不動産投資家から学び続けたいと思います。
このコラムが掲載される頃には退院できていると思いますが、年明けにはまた右膝の手術をするため入院します。この冬にしっかりと膝を治し、来年夏の北海道ゴルフに向けて体調を整えたいと思います。