こんにちは、トモコです。
以前、第7回目のコラムで「 民泊 」について書きましたが、その後の民泊開業へ向けた続きのお話です。
参照:民泊ビジネス準備中!都内で民泊を始めるには何をすればいいの?
7回目のコラムで設定したマイルストーンでは、春にはオープンする予定で動いていたのですが…、5月現在、未だにオープンできておりません!(涙)
物件を探したり、内見に行ったりとかなり動いてはいますが、「 集客が見込める 」×「 金額も妥当 」×「 行政の許可がおりる 」と3つの要素が絡むと、とんでもなくハードルが上がるんです。
先日も東京タワーが見える駅近の素敵な物件に申し込んだのですが、消防署に確認しに行くと、「 このマンションは消防法違反なので許可出せません!」とのこと。がっかりです。
マンションを所有の皆さん、消防点検はしっかり受けましょうね!
当初は民泊での開業を目指していましたが、民泊で運営できるのは1年のうち180日まで。一方、旅館・ホテルは365日の運営が可能です。どうせなら旅館業の許可を取って365日運営したいな、と思うようになりました。
前回も少し書きましたが、宿泊業( ホテル・旅館・簡易宿所 )の許可を受けようとすると、
- ① 保健所( 東京23区の場合。行政によっては管轄が違う場合もあります )
- ② 消防署
- ③ 役所( 建築を扱っている部署・建築指導課など )
と大きく分けて3つの機関が絡みます。
さらに東京23区の場合、区独自の規制が別にあることも多く、なんだこれ? と思うものも少なくありません。
■ 旅館業の歴史と平成28年の大改正
ここで、旅館業の歴史についてちょっとおさらいをします。
旅館業の制定は昭和23年7月と、かなり古い法律です。これが大きく改正されたのは平成28年4月。制定以来、事実上初となる旅館業法大改正だと当時話題になりました。そして、初めて今エアビーで出ているような一戸建てやマンションの一室で、しかも無人での運営が認められたのです。
< 旅館業法施行令の一部改正について >
住宅( 戸建住宅、共同住宅等 )の全部又は一部を活用して宿泊サービスを提供するいわゆる「 民泊サービ ス」( 以下「 民泊サービス 」という。)については、様々なニーズに応えつつ、宿泊者の安全性の確保、近隣住民とのトラブル防止などが適切に図られるよう、適切なルールづくりが求められている。
( 厚生労働省から出ている各都道府県知事・各政令市市長あての通知より抜粋 )
古い法律から、時代のニーズにあった法律に改正されたということですね。これを主に管轄する行政機関は、保健所の生活衛生課です。改定されたとはいえ基本は古い法律ですので、いまだにナゾなルールもかなり残っています。
私はやや条例オタク(?)気味でもあるので、東京都が出している「 旅館業の手引き 」に加えて、主要23区内の独自ルールをかなり読み込みました。(「 ○○区 旅館業 」などで検索すると、それぞれの区が出している手引きが読めます )
そこで知りました。区独自のルールに加え、ナゾなルールがいくつもあることを! そこをクリアしなければ、もちろん許可は下りません。そのため、気になる物件が出たら確認する手順として、私は以下のことを行っています。
①用途地域の確認( ホテル・旅館のできる用途地域は限定されており、住宅街はNG )
用途地域は多くの都市部の場合、役所のHPから調べることが可能です。たまに対応していないところがあるのでその場合は建築指導課へ。
②戸建ての場合は前面道路が基準法上の道路か。道路に接する長さはどうか
これも用途地域と同様、ネットで対応しているところもありますが、多くは直接行かないと分かりません。ここも建築指導課、もしくは土木課。
③マンションの場合、消防法上問題ないか、あるいは設備を設置すれば対応可能なのか
上の2つをクリアしても、ここが通らないと振り出しに戻ってしまいます。狙いの物件を見つけたら、消防法について一つ一つチェックします。
その際、消防庁から出ている「 民泊において消防法令上求められる対応等に係るリーフレット 」が参考になります。( 民泊となっていますが、旅館業も基準はほとんど同じです )
( リーフレットの一部抜粋 )
④マンションの場合、マンション全体にどんな施設が入っているか、全体の大きさは?
マンションの設備や広さを簡単に調べたい場合には、建物謄本から調べることもできます。インターネットの登記サービスを使えば、自宅にいながら調べることもできます。分からない場合は建築指導課へ行って概要書を取得すれば面積が分かります。( 古い建物の場合はないこともまれにあります )
机上でできる調査を済ましたら、次は駅からの距離、何人までの宿泊が可能か、周りの宿泊施設の人気具合はどうか、相場は幾らかなどをチェックします。そこで問題がなければ内見に進みます。
私は内見のついでに保健所と消防にアポイントを取って訪問します。この時、マイソクのコピー程度の簡単な図面でいいので、持参すると相談がスムーズに進みやすくなります。
■ 謎の地域ルールに悩まされる
ところが、保健所や消防を訪問すると、エリアによって不思議なルールが定められていて、よく驚かされました。
例えばK区。独自のル―ルがあり、旅館業はダメなのか?と一瞬諦めかけましたが、区の独自規定を良く読んで行くと、一般的なホテルと民泊の間のような「 民泊想定施設 」というものが存在していました。つまり、やりようによってはOKということです。
インバウンドにも日本人にも人気の街のあるT区。ここも、「 手を洗う所と食器を洗う所は別 」という独自ルールが存在します。他の区も「 なぜだろう?」と思えるルールがいくつもありました。
宿泊業界の人からしたら当たり前の保健所管轄のルールですが、大家には全く馴染みがありません。今まで内見した物件は条件が合わず断念しましたが、知らなかった世界を覗くのは面白いです。「 今度はどんなルールがあるんだろう?」とちょっとワクワクします。
そして先日、スカイツリーに近い街の物件を申し込みました。「 今度こそ!」と期待しています。これから行政のルールとオーナーへの確認、消防の問題と、クリアにはまだ遠いですが、うまく進められたらいいなと期待しています。
スカイツリーの近くで行列しているパン屋さん見つけました!海外の方にもこういう地元のお店も知って暮らすように泊まって欲しいです。
大家業、レンタルスペースとこれまで軌道に乗せることができてきましたが、旅館業については、なかなかハードルが高そうです。試行錯誤していますが、この経験が少しでも皆さんのお役に立てば嬉しいです。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました!
それでは、また次回!