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金売買以外でも消費税還付はできない?海外不動産は売却すべき?〜Q&Aから読み解く令和2年税制改正〜

渡邊浩滋さん_画像 第58話

健美家不動産投資コラム

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

昨年12月に令和2年度の税制改正大綱が発表されました。これは税制改正の案であって、毎年12月頃に発表され、翌年の3月頃に国会で承認され、決定になるものです。

今年は、居住用賃貸建物の消費税還付の規制、海外不動産の節税スキームの規制など、不動産投資家にとって大きな改正がありました。これをQ&Aにして解説していきます。

より深く理解することで、今後どうしていくべきか方向性が見えてくると思います。なお、回答( A )は、私見です。今後の法令解釈・通達などの発表により、事実と異なる可能性があります。ご了承ください。

1.居住用賃貸建物の消費税還付の規制

【 概要 】
〇居住用賃貸建物の課税仕入れは、認めない。ただし、課税期間の初日以後3年以内に、住宅の貸付以外に供した場合、又は譲渡した場合は、仕入税額控除に加算して調整する。

〇貸付けに係る用途が明らかにされていない契約であっても、建物の状況等から人の居住の用に供することが明らかな貸付けについては、消費税を非課税とする。

なお、令和2年10月1日以後に引渡しを受ける居住用賃貸建物に適用されます。また、令和2年3月31日までに契約した場合は、引き渡しが令和2年10月1日以後になっても適用されません。

☆Q1
金の売買による還付スキームが規制されたのであって、別の方法で消費税還付を受けることは可能なのか?

⇒A1
今回の改正で、住宅用の賃貸建物の還付自体をできなくする規制になりました。今後は金の売買や、金以外の課税売上を計上しても、還付することはできません。

☆Q2
テナントビルや太陽光発電設備の消費税還付はできるのでしょうか?

⇒A2
今回の規制の対象は、住宅用賃貸建物のみです。テナントビルや太陽光発電設備の還付は今まで通り可能です。店舗併用住宅の建物についても、店舗部分に係る消費税還付は可能です。

☆Q3
例えば、新築当初は、民泊・簡易宿舎、ウィークリーマンションで賃貸して、消費税還付を受けて、その後に住宅用賃貸として利用すれば、今まで通り還付できるのではないでしょうか?

⇒A3
民泊・簡易宿舎、ウィークリーマンションによる賃貸は、課税売上です。住宅用賃貸建物ではないため、消費税還付は可能です。しかし、「 課税業務用から非課税業務用に転用した場合の調整 」の規定がありますので注意してください。

これは、当初、課税業務用( 民泊など )として消費税の課税仕入れ( 還付 )を行った場合に、この固定資産の取得から3年以内に、非課税業務用( 住宅用など )に転用した場合には、取戻し( 還付の返還 )の調整をするというものです。

取り戻しの割合は、
1年以内の転用 1/1(100%)
1年超2年以内の転用 2/3
2年超3年以内の転用 1/3
になります。

なお、賃貸( 転貸を含む )の内容が、住宅用か不明なものであっても、建物の状況等から人の居住の用に供することが明らかな貸付けについては、消費税が非課税となり、非課税業務用となる改正が行われます。

2.海外不動産の節税スキームの規制

【概要】
〇個人が、令和3年以後の各年において、国外中古建物から生ずる損失の金額があるときは、その損失の金額のうち国外中古建物の償却費に相当する部分の金額は、生じなかったものとみなす。

○国外中古建物を譲渡した場合の譲渡所得の計算は、その取得費から控除することとされる償却費累計額からは、「 生じなかったもの 」とみなされた償却費に相当する部分の金額を除く。

☆Q1
今回の規制は、既に海外不動産を持っている人も対象ですか?

⇒A1
「 ○年〇月以降に購入した人に適用する 」などの内容になっていないことから、既に海外不動産を持っている人も対象です。規制されるのは、令和3年以降ですので、令和2年は規制されません。

☆Q2
今回の規制は個人だけですか? 法人に売却すれば、減価償却はそのまま使えますか?

⇒A2
個人だけの規制です。法人に売却すれば、減価償却をそのまま取る( 他の所得と損益通算 )ことは可能です。

しかし、この節税スキームは、保有時の税率( 個人の場合、所得税・住民税で最高約55% )と譲渡時の税率( 個人の長期譲渡の場合、所得税・住民税で約20% )のギャップを利用したものです。
法人の場合、保有時の税率と譲渡時の税率の違いはありません( 所得800万円以下約25%、所得800万円超約36%の所得による税率の違いのみ )。

法人に移転させることによるコストと法人税の節税効果がどれほどのものになるのかによって、実行すべきか判断された方がよいと考えます。

☆Q3
令和3年までに売却した方がよいのでしょうか?

⇒A3
売却も一つの手段と考えます。今回の規制によって、海外不動産が節税には使えなくなっただけであり、海外不動産そのものが否定されるものではありません。

海外不動産の減価償却が、日本の所得と相殺( 損益通算 )することはできませんが、別の海外不動産の収入と相殺することは可能です。また、損益通算できなかった減価償却費分は、譲渡取得から控除できる( 取得費に組み込まれる )ため、譲渡税が低くなります。

キャピタルゲイン狙いでも、インカムゲイン狙いでも、活用方法はあると思います。節税ではない海外不動産の持ち方が問われるのではないでしょうか?

以上のように2020年の税制改正は、不動産投資家に大きな影響を与えそうです。これを機に、不動産投資の在り方、持ち方に変革が迫られているように私は思います。

【 お知らせ 】

『大家さんのための超簡単!青色申告』【2019-2020度版】が昨年12月6日に発売されました。自分で確定申告ができる、賃貸経営に特化した確定申告本です。毎年、改正内容や最新情報を入れていますので、よかったら見てください。



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プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)


税理士大家さん流 キャッシュが激増する無敵の経営 (ぱる出版)

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