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給湯器、室外機の盗難増!防犯意識の高まりに対応して考えたい防犯対策

賃貸経営/トラブル ニュース

2023/08/14 配信

給湯器やエアコン室外機の盗難が増加傾向にある。加えてこのところの特殊詐欺グループの広域強盗事件が話題になっていることもあって防犯意識が急速に高まってもいる。となると防犯対策が気になるところだ。

敷地内から設備機器が盗まれる事案が多発

これまでこうしたものが盗まれるという事案がほとんどなかったため、たいていの給湯器、室外機は無造作に置かれている
これまでこうしたものが盗まれるという事案がほとんどなかったため、たいていの給湯器、室外機は無造作に置かれている

給湯器やエアコンの室外機など住戸外にある設備が盗まれる事案が増えている。埼玉県では2023年7月24日の「防犯・犯罪情報NEWS」で注意を呼びかけているほど。しかも、盗難は増加傾向にあるという。

同じく注意を呼び掛けている埼玉県行田市の地域安全ニュースによると盗まれる理由は室外機の中の部品の銅やアルミなどの金属部品を売りさばくため。

屋外に設置されており、多くの場合は固定されたり囲われていないため、盗みやすいという。また、最近は機器が軽量化されているので盗みやすいのだとも。

給湯器については品不足であることに加え、やはり内部に銅製の釜があることから金属リサイクル業者に売るという目的で盗まれているようだ。

しかし、いずれもそれなりの額の品であり、かつ入居者がいる場合には機器が使えなくなってしまう。急ぎ手配をするとしても、昨今は給湯器もエアコンも品不足が続いている。手配できないことが退去に繋がるとしたら大きな痛手だ。

不審者を入れない、死角を作らないことの矛盾

そのためにはなにより、敷地に不審者が入れないようにすることが大事だが、それが意外に難しいとIoTを活用したホームセキュリティを提供するSecualの代表取締役・菊池正和氏。

「入られないようにすることと死角を作らないことは時に矛盾するからです。塀があると入りにくくはなりますが、その分、塀の中に入られてしまうと周囲から死角となってしまい、狙われやすくなります。最近ではあえて塀を作らないオープン外構が人気なこともあって矛盾が生じています」。

とはいえ、入られにくくする、入らないほうが良いと思わせることはできる。ひとつは犯罪者が嫌う音と光を使うこと。

「彼らは人目につくことを恐れます。具体的には音と光。そこで敷地内に砂利を敷き、入ってくると音がするようにするのはベタですが有効です。また、人が近寄るとそれに反応するセンサーを利用、光が灯るようにする手もあります」。

塀を新たに作る場合には侵入は防ぐものの、死角を作らない格子状になったものにするなど工夫が必要だ。門扉がない物件の場合には門扉を設置、鍵を付けておこう。

セキュリティがしっかりしているように見える大事さ

もうひとつ、大事なことはセキュリティがしっかりしている、管理されている物件と思われるようにすること。

そのためにはまず、敷地内にゴミや自転車などを放置してはいけない。自転車やバイクなどは不審者が隠れる場所になる上、敷地内が乱雑な物件はこの建物は管理されていない、住んでいる人は他人に関心がなく、侵入しても咎められることはないと判断されてしまう。

その上でセキュリティシステムを入れるあるいは入っているように見えるようにしたい。

「ダミーのカメラはプロが見れば見抜けますが、遠めに素人が見るのであれば防犯カメラ、セキュリティ会社のシールにはダミーであっても抑止力はあります。狙うのを止めようと思わせられれば成功です」。

住宅侵入犯増加中にダミーのセキュリティで良いのか

ただ、それだけで良いのかという疑問もある。

というのは防犯に意識を持つ入居者、不動産オーナーが増加傾向にあるのだ。実際、大東建託が2023年5月に出したニュースリリースではセキュリティサービスの導入率が過去最高の2割を超えたと報じている。

「ルフィという名称とともに世に知られることになった特殊詐欺グループによる広域強盗事件のような犯罪が増加、セキュリティに関する意識が高まっています。

警視庁の「データで見る侵入犯罪の脅威」というページを見ると犯罪件数自体は減っているものの、令和4年には住宅への侵入強盗が増加しており、侵入盗犯に対する不安は根拠がないことではありません。

今年2月に発表された警察庁による2022年の犯罪情勢(暫定値)でも全体の67.1%が日本の治安は悪くなった、どちらかといえば悪くなったと答えてもいます。

こうした変化を背景に、弊社への問合せもこの半年で急増。不動産オーナー、個人からだけでなく、ホームセンターなどからの防犯コーナーを作りたいという問合せもあります。弊社のみならず、設置工事が必要なセキュリティ会社では申し込みが増加、工事が追い付かない状態と聞いています」。

周辺の物件がどんどんセキュリティに対応している中、無策のままでいいのか、考える必要はあろう。

安価で工事不要、簡単に導入できる仕組みも登場

といっても設置工事が必要で、そこに何十万円もの初期投資が必要というのでは二の足を踏む。家賃に転嫁できそうにないからだ。

Wi-Fiを利用、設置したセンサーからの異常を受けるゲートウェイなる装置。コンパクトで目立たない
Wi-Fiを利用、設置したセンサーからの異常を受けるゲートウェイなる装置。コンパクトで目立たない

だが、ホームセキュリティは近年大きく変化している。かつては設備機器類の導入、室内の工事が必要で、使い始める際にはホームセキュリティを提供している会社に来てもらって導入する必要があったが、今ではWi-Fiを利用。工事不要、ごく小さな機器類を室内に設置するだけでスタートできるようになっているのだ。

これはひとえに技術の進化によるもの。おそらく10年前には不可能だったことが今はやすやすと安価、手軽に実現できるようになっている。

コンセントにゲートウェイを設置、センサーが異常を検知すると音を出して威嚇するほか、スマホに異常を通知するという仕組み
コンセントにゲートウェイを設置、センサーが異常を検知すると音を出して威嚇するほか、スマホに異常を通知するという仕組み

そのひとつの例が今回取材でご協力いただいたSecualのホームセキュリティ。使う設備は親機となるWi-Fiゲートウェイ、窓に添付して開閉や振動を検知するセンサー、室内での不審な動きを監視する人感センサーの3種類で、おかしな動きがあった場合には警告音を発して侵入を思いとどまらせようとする。

窓に設置するセンサーについて説明する菊池氏。外側から見るとセキュリティを入れていることが分かるようにデザインされている
窓に設置するセンサーについて説明する菊池氏。外側から見るとセキュリティを入れていることが分かるようにデザインされている
7㎝角でデザイン性に優れた機器類はグッドデザイン賞などを受賞しており、室内でも悪目立ちしない
7㎝角でデザイン性に優れた機器類はグッドデザイン賞などを受賞しており、室内でも悪目立ちしない

「この3セットで初期費用は2万1000円、月額980円(いずれも税抜き)で、バルコニーにのみ開口部のあるワンルームであればこれで居室内全部をカバーできます。広い部屋であれば窓や部屋の数に合わせてセンサーを追加することもできます」。

セキュリティ導入で家賃アップという例も多数

また、賃貸の場合、初期費用ゼロ、1部屋500円のプランなどもあるそうで、それで既存住宅のセキュリティ性能を高められるなら検討の価値がある。セキュリティがプラスされれば選ばれやすくなると同時に家賃値上げもあり得るからだ。

「3万数千戸を管理する関西の管理会社では当初11部屋にトライアルで導入。ずっと空き室だった部屋、1階の部屋などが導入後にすぐ決まったということで全体での導入が決まりました。賃料も3000円ほどアップできたとか。これまでの例だと家賃7万円で7万2000円くらいにする例を聞きます」。

これまで導入費用が障壁となって導入できなかった規模の小さな既存物件での利用も考えられるが、その際、注意したいのはWi-Fi環境。これまでWi-Fiが入っていなかった物件ではそこから入れる必要があり、戸数が少ないと一戸当たりにかかる額が大きくなる。

ただ、それを築古の特徴のない物件をWi-Fi付、セキュリティのしっかりした物件に変えて賃料アップを図るチャンスと考えられるのであれば面白いのではないかと思う。

同社以外にもWi-Fi利用した多種のセキュリティシステムが登場しているので、自分の物件にはどんな仕組みが向くか、考えてみて欲しい。

ところで、住戸内はこれだけ簡単、安価に守りを固めることができるのに、敷地内となると砂利を敷くなど古典的な手段が中心になり、既存のホームセキュリティ会社も含めて手薄になるのはどうしてなのだろう。

賃貸住宅の駐輪場の多くは入ろうと思えば入れるような場所に設置されていることが多い
賃貸住宅の駐輪場の多くは入ろうと思えば入れるような場所に設置されていることが多い

「これまで給湯器や駐輪場の自転車が盗まれるという事態を想定していませんでした。それよりもまず、生命に危険が及ぶような事態を防ぐほうに注力してきたとも言えます。

もちろん、今でも防犯カメラを駐輪場などに設置、監視する仕組みはありますし、敷地のあるラインを越えたらセンサーが反応、警告音や光を発する仕組みも作れますが、これまではそんなに大がかりなセキュリティラインが必要とされてきませんでした。今後、盗難が続くようならいずれは考えざるを得なくなるかもしれません」。

長らく、日本では安全と水はタダと言われてきたが、今後はどうなることか。一時限りの増加であって欲しいものだ。

健美家編集部(協力:中川寛子(なかがわひろこ))

中川寛子

株式会社東京情報堂

■ 主な経歴

住まいと街の解説者。40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくり、地方創生その他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

■ 主な著書

  • 「ど素人が始める不動産投資の本」(翔泳社)
  • 「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)
  • 「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)
  • 「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版)など。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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