カプセルホテルは、「狭くて寝るだけ」「終電を逃がしたサラリーマンが使うもの」といったイメージは、もはや過去のもの。
ホテル不足の今、飛行機のファーストクラスをイメージした「キャビン」と呼ばれるタイプや女性をターゲットにしたものなど進化形カプセルホテルが急増し、人気を集めている。そんなカプセルホテルに投資を行う投資家さんに、気になるカプセルホテル投資について聞いた。
●1棟で約100室。高稼働、高収益も期待できる
Binemu(ビネム)のオーナーは、現役の皮膚科開業医であり、激務の傍ら、不動産投資を行ってきた。そんな中、民泊で、不動産投資とは比にならないほど高収入の人達がいることを知り、ホテル投資に乗り出した。
ホテル投資に至るまでについては「1泊6万5000円、月400万円超、利回り16%も 驚異の小規模ホテル投資にたどり着くまで【前編】」でもお伝えした。
ではなぜ今回、ホテルの中でも、カプセルホテルを選んだのか?
「新しいものが好きなんです。まだやっている人が少ないものに投資をしたかった。実は今回、予定より一年半竣工がおくれ、月に100万円の金利を10か月負担することになり、大変な痛手をこうむりました」
その間、市況も変わり、カプセルが増え、宿泊料が下がってきたという。そのため、デイタイム利用も始め、泊まって寝ている間の有効活用を医学的にサポートしようと考えた。
「『泊まるだけで綺麗になる』をコンセプトに、皮膚科と形成外科専門医の監修のもと、宿泊×美容×医療を組み合わせて、新しい宿泊体験をお届けすることに。使ってよかったものを、お客様にも使っていただく、アンテナショップならぬアンテナホテルを目指します」
●「キャビンタイプ」のカプセルホテルでの収支
キャビンタイプのカプセルホテルとなっている点にも注目したい。キャビンとは直訳すると、船舶の客室のこと。まさに航空機の客室を思わせるような、上質で高級感のあるカプセルホテルである。
旅館業法ではカプセルホテルは、簡易宿泊所の扱いになり、1室ごとに「カギ」がない。カギをつけると、「旅館」となり、法令での定める基準が変わってくる。そのため、宿泊者セーフティボックスをロッカーに用意するなど、防犯上の配慮も必要となる。
投資として魅力的なのは、このキャビンタイプのカプセルを購入して、組み立てるだけで、カプセルホテルが出来上がることだ。
気になる売上だが、1泊4000円として、94室満室になったとして、1日37.6万円。30日で、月1128万円の売上になる。しかし、広く知られるまでは、想定よりも安い宿泊料で、高評価のレビューを増やしていかなくてはならない。
さらには、運営費として外注先の運営会社に粗利の10%、フロント周りの人件費195万円、清掃費130万円に光熱費、リネン費、ごみ処理費用などの経費が毎月必要となる。経費の負担が大きい点は、ホテル投資ならではのデメリットかもしれない。
「初月は売上の50%を経費がしめました。もう2カ月くらい運営すると、売上と経費の目安もたちそうですが、まだまだ手探りの状態です」
※写真4&CAP:女性専用フロア。オレンジ色が印象的な明るい室内。ブラインドを閉めれば、プライバシーが守れ、室内でテレビを見ることもできる。
●「発毛ドライヤー」やドクターズコスメも利用できる
1階は受付で、2~4階が男性専用フロア、4~6階が女性専用フロア、7階がシャワールームとなっている。1階では、タオルや洗顔・洗髪グッズなどのアメニティを用意している。
さらには、美顔器などの美容グッズの貸し出しも行っている。アメニティの中には、監修している医師によるオリジナルのスキンケア用品も含まれる。
シャワールームの洗面台には、1台5万円以上するドライヤー「レプロナイザー」を含め、クリニックでしか購入できない「発毛ドライヤー」まで用意されている。
●パワープレートや高級マット、美容鍼やヘッドスパも
「世界のセレブやトップアスリートが愛用している、乗るだけで足の疲れが取れるパワープレートや、美顔スチーマーなども取り揃えています。滞在中、どれも自由にお使いいただけます」
有料のサービスとして、痩身効果が期待できる高級マット(一泊1000円)、ヘッドスパ(30分4000円)や「モテ美肌 美容鍼」(30分4000円)、フェイシャルエステ(30分、5000円)などもある。
第3月曜日の19時~22時は、「着物魔女のタロット占い」(20分3000円)と、占いまで体験できる。そのほかにも、LEDライトを利用したキャンドルの制作など、女性が楽しめるイベントを多数、企画している。
このような付加価値があることで、宿泊する人は、またぜひ泊まりたいと思うのだろう。さらには、宿泊料だけではない、売上を確保することもできるのだ。
カプセルホテルは、終電を逃した時などでないと利用しないだろうと思っていたが、これだけの魅力的なサービスが揃っていると、ぜひ宿泊してみたくなった。
健美家編集部(協力:高橋洋子)