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不動産価格暴落の「2022年問題」回避か!「生産緑地」7割が継続へ!

不動産投資全般/社会問題・情勢 ニュース

2022/06/01 配信

生産緑地の期限切れによる2022年問題は回避されそうだ
生産緑地の期限切れによる2022年問題は回避されそうだ


生産緑地は固定資産税・相続税優遇が30年間優遇される

ただし営農を続ける義務あり、建設や売却は規制

都市部の農地「生産緑地」の指定が2022年に一斉に解除され、宅地の供給過剰につながることで都市部の不動産価格が暴落するのではないかと懸念されていた、いわゆる「2022年問題」は避けられそうだ。

国土交通省の調査によると、約7割の生産緑地は続する意向。生産緑地に対して行われていた税優遇が続くことが背景にある。すでに不動産を保有する不動産投資家は慌てて売る必要はなさそうだ。

まず、生産緑地とはどんなものか、おさらしていおきたい。

生産緑地とは、市街化区域にある500平方メートル以上の農地(市区町村が条例を定めれば、300平方メートルまでの引き下げが可能)のうち、良好な生活環境を確保するのに役立つものは「生産緑地地区」に指定し、保全をはかっていこうというものだ。

生産緑地は営農を続ける義務があり、建物を建設したり売却したりすることが規制される。一方で、指定から30年間にわたって固定資産税や相続税などが優遇される。

国交省の資料から
国交省の資料から

指定が始まったのは1992年。背景には、高度経済成長期に都市部で宅地の無秩序な開発が進み、環境を守らなければならないという意識が高まったことがある。

政府は景観の保護のほか防災、子供が農業を体験する場の確保、といった点からも生産緑地を重視している。

多くの生産緑地の税優遇は2022年に期限が切れる
「特定生産緑地」に指定されれば税優遇は10年延長

「2022年問題」とは、1992年に指定が始まった生産緑地の税優遇の期限切れが2022年に集中しており、一斉に宅地に切り替わることで、都市部の地価が急落するのではないかとみられていた問題だ。

もし予想通り地価が落ちるのであれば、すでに不動産を持っていた人は急いで売らなければならなかったかもしれない。一方、これから不動産を買おうという人にとっては、安値で仕入れることができるチャンスだっただろう。

だが、その予想は実現しそうにない。政府が生産緑地に関して新たな「特定生産緑地」制度を設けて税優遇を延長し、多くの生産緑地が、新たに「特定生産緑地」制度に指定されることを望んでいるからだ。新制度では、これまでの固定資産税や相続税などの優遇が10年間、延長される。

国交省調査では7割が「指定済み」「指定見込み」
東京、神奈川、大阪、京都は90%以上

国交省によると、2021年末時点の生産緑地全体の面積は約1万1837ヘクタール。

このうち国交省が、22年に税優遇の期限がくる9392ヘクタールについて調べたところ、税優遇が延長される「特定生産緑地」へにすでに指定されたり、指定が見込まれたりする生産緑地は88%にのぼった。生産緑地全体に占める割合は70%となる。これに対し、「意向なし」は9%にとどまった。

国交省の調査から
国交省の調査から

なお、都道府県別でもっとも「指定済み」「指定見込み」の比率が最も高かったのは東京都で93%。次に神奈川県、大阪府、京都府が同率でいずれも90%となった。

一方、低かったのは三重県で57%。次に愛知県の78%、奈良県の82%が続いた。

国交省の調査から
国交省の調査から

都道府県によってばらつきがあるが、「指定済み」「指定見込み」が多数派であることは間違いない。

さて、存続する生産緑地が多いということは、予想された2022年の不動産価格の暴落は起きないだろうということだ。

住宅の供給過剰は避けられそうだ
住宅の供給過剰は避けられそうだ

かりに生産緑地から宅地への転換が進めば、住宅メーカーやデベロッパーが大量に土地を購入して住宅をたて、供給過剰になるのではないかと懸念されていた。その結果、考えられたのは、もともとの生産緑地の周辺も含めた都市部全般の不動産価格の暴落や空室の発生だった。

不動産投資家が取りえた行動は、もしその都市部に不動産をすでに持っている人なら、価格が暴落する前に売り抜けることだっただろう。

一方、不動産価格の暴落をとらまえて安くで購入し、賃貸に回すなどの手段も考えられた(もっともこの場合、増えるであろう空室をいかに埋めるかという問題が出ただろうが)。

いずれにせよ、2022年問題で予想された市場の混乱に、あわてて対処する必要はなくなったといえそうだ。

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取材・文:小田切隆(おだぎりたかし)

■ 主な経歴

経済ジャーナリスト。
長年、政府機関や中央省庁、民間企業など、幅広い分野で取材に携わる。

■ 主な執筆・連載

  • ニュースサイト「マネー現代」(講談社)
  • 経済誌「月刊経理ウーマン」(研修出版)
  • 「近代セールス」(近代セールス社)など

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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