福井県に新幹線が延伸することで
周辺各地域とのアクセスが大きく改善
かねてから建設が進められていた、北陸新幹線の金沢-敦賀間。8月下旬にJR東日本とJR西日本は、同区間の開業が2024年3月16日に決まったと発表。これにより、東京から福井県の敦賀まで直通でアクセスできることになる。
2012年6月に用地・土木構造物関係の工事実施計画の認可が得られ、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が主体となり工事を進めていた、金沢-敦賀間の125㎞。
延伸に伴い、金沢より先に「小松」「加賀温泉」「芦原温泉」「福井」「越前たけふ」「敦賀」の6駅を設置。このうち、越前たけふ駅は福井県内で唯一、JRの駅が併設しない新駅として開業する。
これによる運行本数・停車パターンだが、東京から敦賀へ直通する「かがやき」「はくたか」を計14往復運転。その内訳は、かがやき(東京-敦賀間直通列車)が9往復、はくたか(東京-敦賀間直通列車)が5往復となる。
敦賀駅で特急「サンダーバード」や「しらさぎ」と接続する「つるぎ」も25往復運転。その内訳は富山-敦賀間直通列車が18往復、金沢-敦賀間直通列車が7往復だ。加えて、特急と接続しない「つるぎ」も朝夜時間帯に5本運転するという。
延伸効果をまとめると、次のようになる。
■最速達列車の到達時分
・東京~福井間 2時間51分(36分短縮)
・東京~敦賀間 3時間8分(50分短縮)
※北陸新幹線利用時
・大阪~福井間 1時間44分(3分短縮)
・大阪~金沢間 2時間9分(22分短縮)
・大阪~富山間 2時間35分(29分短縮)
※特急「サンダーバード」、北陸新幹線利用時
・名古屋~福井間 1時間33分(3分短縮)
・名古屋~金沢間 2時間9分(16分短縮)
・名古屋~富山間 2時間35分(23分短縮)
※東海道新幹線、特急「しらさぎ」利用時
※到達時分は計画中のもの。一部変更となる可能性がある
一方、金沢-敦賀間の開業により、特急「サンダーバード」(敦賀-金沢・和倉温泉間)、特急「しらさぎ」(敦賀-金沢間)、特急「おはようエクスプレス・おやすみエクスプレス」(敦賀-金沢間)、特急「ダイナスター」(福井-金沢間)は運転を終了する。
もっともインパクトがあるのは、東京-敦賀間の3時間8分で、これまでより50分の短縮。福井まででも30分以上短くなることに。大阪回り、名古屋回りも同様で、移動時間の大幅な削減に貢献する。これにより、各主要都市と福井県の文化・経済の交流はより加速し、地域の発展につながっていくだろう。
例えば、福井市にある「県立恐竜博物館」は人気の場所だが、県は新幹線の延伸を見据えて大規模なリニューアルを施し、今では多いと1日1万人を超える来場者でにぎわっているが、来春以降は関東方面からの観光客が増えるかもしれない。
他にも「芝政ワールド」や「永平寺」「東尋坊」など、県内には観光名所がたくさん。加えて、越前そばや羽二重餅、焼きサバ、油揚げ、ソースカツ丼など、福井県には有名なグルメや名産品も多く、旅行需要にも期待できる。
繊維や眼鏡、農林水産業も発展しているので、これらの流通が活発になれば、県全体の経済も活性化に向かう。
開業に向けて各新幹線駅舎の建設や周辺の整備も急ピッチで進められている。例えば、福井駅は西口の真正面に、高さ約120m・地上28階建・地下1階の複合施設を建設。ホテルや住宅、オフィス、カンファレンス、商業施設、ジム、駐車場などを整備する方針で、新幹線の延伸と同時に商業フロアの一部とホテルの開業を目指している。
他の駅も同様で、新幹線の開業を見据え再開発や施設の改修・開業、交通網の拡充など、さまざまな取り組みを行っているところだ。
ちなみに、新幹線の延伸とは直接関係しないが、金沢では2024年2月に新サッカー場「金沢ゴーゴーカレースタジアム」の供用が始まる予定だ。市民サッカー場を再整備している施設で、地上4階建て・延べ床面積1万9000㎡、収容人数は約1万人の規模。来シーズンからJ2・ツエーゲン金沢の本拠地になるという。
すっかり人気のスポーツに定着したサッカーに関し、地域に大規模な施設ができることで、県内だけではなく新幹線を使い県外から来場者が訪れるかもしれない。
今回の延伸を機に、北陸地方のさらなる盛り上がりや活性化が期待される。これにより、周辺の住宅事情に変化が起きるのではないだろうか。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))