3つのテーマに沿った
再開発建物を整備
東京都豊島区の池袋で市街地再開発の計画が進行している。計画の対象地となっているのは、池袋駅から徒歩7分で豊島区役所の向かい側に位置する場所だ。
なお、計画対象地は東京メトロ有楽町線の東池袋駅及び都電荒川線の雑司が谷駅に近い。
※引用:豊島区役所
豊島区では計画対象地について、都市計画道路環状5の1号線及び補助81号線が交差する場所で、交通利便性が高いと考えている。
また、周辺エリアではライズシティ・エコミューゼタウンなど都市開発が進む一方で、計画対象地では狭あい道路・古い住宅や未利用地などが点在している点が課題視されていた。
そこで、当該エリアの強みを活かすとともに防災上の課題などを解決するため、行政は都市再生方針のもと3つのテーマに沿って当該エリアを再開発することを決めた次第だ。
1つ目のテーマは「賑わい・交流機能の導入と高質な都心居住環境の整備」とされている。
再開発建物の中層・上層部を住宅にするとともに、低層部には商業・生活支援機能および公共施設が入る。
賑わい創出の面では商業施設を整備し、生活支援機能としては認可保育所などの子育て関連施設と高齢者支援施設を整備する予定だ。
また、計画地の向かい側にある豊島区役所と連携した公共施設を入れることで、居住環境の整備に寄与するとしている。
公共施設としては、保健所及び外国人も対象とした行政サービスの提供場所を作る。
2つ目のテーマは「緑のネットワーク形成」だ。計画地の北に位置する「としまみどりの防災公園」「雑司ヶ谷霊園」「南池袋公園」の3箇所を「みどりの拠点」と位置付けて、自然豊かな池袋を印象付けるような緑地を整備する。
計画建物は周辺の高層ビルにも負けず劣らずな高層建物となる予定だが、足元では開放的な緑地が整備される見込み。
3つ目のテーマは「アート・カルチャーと歴史文化をめぐる歩行者ネットワークの強化」だ。
計画地は池袋駅東口の目抜き通りでもあるグリーン大通りに面しており、池袋駅から一直線でアクセスできるという点から、歩行者にとってアクセスが良い。
大通り沿いに広場を作るとともに、計画地の北に位置するサンシャインシティなどとの回遊性を確保するべく、南北方向の歩行者動線も意識的に整備する方針だ。
また、東池袋駅との地下鉄連絡通路を作るとともに、地下にも広場を整備する。
2022年度中の着工と
2027年度中の竣工を予定
計画建物は北街区と南街区に分かれており、北街区の建物が地上52階・南街区の建物が地上47階となる予定だ。また、双方とも地下2階まで整備される。
全体の敷地面積も約2.3ヘクタールと東京都心にしては広いことから、高さも相まってインパクトの強い建物が完成するだろう。
※引用:豊島区
既に事業協力者として住友不動産及び野村不動産が選出されているほか、既存建物の解体なども済んでおり、今後は建物の完成を待つ状況となる。建物の竣工予定は2027年度中の予定だ。
池袋は東京都内でも代表的な都心エリアであり、既に完成された街という印象が強いかもしれない。
しかし、地上50階を超える高さの建物はそれほど多くないことから、インパクトはそれなりに大きなものとなるだろう。
池袋の都市開発拡大を印象付ける建物となるか、視野を広げればまだ古い建物も残る池袋周辺が今後どのように都市開発されていくか要注目だ。
取材・文:
(はたそうへい)