発展し続ける広域渋谷圏
代官山には複合施設が開業
100年に一度と言われる大規模再開発が進められている、東京都・渋谷駅周辺。近年だけでも『渋谷ストリーム』『渋谷スクランブルスクエア』などが竣工し、今年8月には『道玄坂通 dogenzaka-dori』、11月には『Shibuya Sakura Stage』の開業が控えている。以降も宮益坂や渋谷二丁目など、いたるところでオフィス・商業ビルが誕生する予定だ。
渋谷駅周辺だけではなく、代官山や恵比寿エリアも含めた広域渋谷圏でも、再開発計画はいくつも実施されている。そのひとつが東急不動産が代官山町で進めている『(仮称)代官山プロジェクト』だ。今年4月には『Forestgate Daikanyama “produced by 東急不動産”(フォレストゲート代官山)』に正式名称が決まり、10月下旬に開業予定であることも明らかになった。
場所は、東急東横線代官山駅のすぐそば。八幡通りと代官山通りの面する好立地に、地上10階・地下2階建てのMAIN棟と、地上2階建てのTENOHA棟の2棟からなる複合施設が生まれる。MAIN棟の緑あふれるさまざまな形状の小さな木箱を積み上げたデザインが立体的な森(Forest)のような形状であり、立地として代官山へのまちと広がる入り口(gate)に位置することから、『フォレストゲート代官山』と命名されたという。
MAIN棟のデザインを手がけたのは、世界的な建築家・隈研吾氏。緑に囲まれた新しい『住・働・遊』の拠点として、57戸の賃貸住宅に加え、地下1~2階には商業施設、3階には東急不動産が都内を中心に展開する会員制シェアオフィス「Business-Airport Daikanyama(ビジネスエアポート代官山)」の開業を予定している。
「TENOHA代官山」と名付けられたTENOHA棟は、カフェとイベントスペースで構成。サステナブルな生活体験を提供することを主眼に、サーキュラーエコノミー活動を行う事業者・行政と連係する。消費者にサステナブルな取り組みへの接点を提供しながら、さまざまなステークホルダーと連携し、サーキュラーエコノミーの実現を目指すという。
代官山は青山や原宿、表参道などと並ぶ都内有数のおしゃれなまちで、ブティックやカフェ、レストランが多く集まっている。『フォレストゲート代官山』も加わることで、まちはさらに賑わっていくだろう。渋谷から徒歩圏内ということもあり、両エリアが発展することで、足を運ぶ人も増えるに違いない。
なお、東急グループは渋谷駅を中心とする半径2.5㎞エリア一帯を「広域渋谷圏(Greater SHIBUYA)と定義。都市開発の重要拠点として位置付け、渋谷のまちづくり戦略である「Greater SHIBUYA2.0」では、「働く」「遊ぶ」「暮らす」が融合したまちづくりを推進している。『フォレストゲート代官山』も、このコンセプトによる再開発プロジェクトだとわかる。
先述した『Shibuya Sakura Stage』、原宿・神宮前エリアの『東急プラザ「ハラカド」』、代々木公園エリアの『代々木公園Park-PFI計画』など、東急不動産は複数の再開発プロジェクトを手掛けていて、これらが2024年度に向けて竣工・開業すると、広域渋谷圏における同社の存在感はさらに高まる。点による開発から面的連携という新たなステージに移行し、開発というハードだけではなく、今後は運営というソフトの両面に取り組むという。
言わずもがな、巨大ターミナルの渋谷駅には多くの鉄道路線が乗入れ、東京都の都下、神奈川や埼玉など首都圏の各都市・郊外に広がっている。広域渋谷圏が盛り上がることで、これら沿線の「暮らす」「働く」「遊ぶ」の3要素にも影響を与えていくだろう。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))