まちづくり構想策定の背景
西東京の都心エリアである町田駅の周辺で、まちづくり構想が策定されている。
まちづくり構想の対象になっているのは、町田駅の西側にある「森野住宅地区」というエリアだ。
※引用:町田市
森野住宅はJKK東京(東京都住宅供給公社)が運用する団地で、JR横浜線の線路と境川に挟まれたエリアに立地している。築年月は1963年4月で、築年数60年超えの建物だ。
一方で町田市は、社会経済の変化や多摩都市モノレールの延伸など周辺環境の変化に対応した「選ばれる都市」として、魅力を向上させる必要があるとしている。
また、町田市が作成した資料によると、町田駅周辺エリアでは人口・世帯数ともに増加し続けているが、世帯当たりの人口が減少しているほか、2030年以降は人口減少に転じる見込みだという。
そのほか、店舗面積1,000㎡を超える主要商業施設は、その大半が1970~1980年代に建設されており、老朽化が進んでいる状況だ。
なお、店舗の数と年間商品販売額も2004年から2014年にかけて大幅に減少しており、こちらも対策が必要だ。
※引用:町田市
防災対策として老朽化した商業施設などを更新する必要があるほか、商業機能の活性化などが人口減少を食い止めるカギと見られている。
また、町田駅の周辺エリアは自動車の通行量が多いが、歩車分離の道路づくりなどが進んでおらず、少子高齢化社会の到来を見越した道路整備が必要だ。
まちづくりの整備方針
一方で、街の活力が低下しつつあるとは言え、まだまだ買い物に便利なエリアであることに変わりはなく、電車を利用した時の交通利便性も良好だ。
横浜・新宿には乗り換えなしで行けるほか、途中で乗り換えれば渋谷や東京駅方面へも行ける。町田駅の周辺は通勤通学にかなり便利な街だ。
なお、町田バスセンターから出ている高速バスに乗れば、羽田空港にも行ける。周辺エリアへの路線バスもかなり多く、電車とバスによる交通利便性は極めて高い。
街の強みを活かしつつ弱みを補うための「まちづくり方針」として、以下の内容が挙がっている。
- 在宅ワークや車を持たない生活などに対応した居住環境の整備
- 駅前の賑やかさとは差別化された、新たな誘因性のある商業環境の形成
- エリア内の各機能をつなぐ、ゆったりとした滞在空間の形成
- 水害や地震に備えた防災機能の導入
- 歩行者の安全が確保された交通ネットワークの形成
「居住環境の整備」が方針の1つに入っていることから、ゲタ履きの高層マンションなどが建つことも考えられる。
一方で「駅前エリアとは差別化された商業環境の形成」という点には、今後どんな商業施設ができるのかという楽しみもある。
また「滞在空間の形成」という記述からは、駅前広場を設けるなどのことが予測される。駅前広場ができれば、そこでイベントが開催されることなどもあるのではないだろうか。
2024年初頭時点では「まちづくり勉強会」が組織されており、今後は都市計画の決定を目指して活動が展開される予定。
町田はもともと西東京の中心都市とも言えるほど大きな街なので、さらなる賑わいの広がりに期待がかかるところだ。
取材・文:
(はたそうへい)