国土交通省の「国土のグランドデザイン2050」には各都道府県の人口動向が図化して記載されている。
全体としては大幅に人口は減少、人が住まなくなる地域すら多く見られるようになるとされるが、その中でも人口増が見込まれている地域もある。将来を考えるなら、知っておいたほうが良い情報だ。
今回は首都圏と、首都圏以上に人口増が期待できる愛知県の状況を見ていこう。注目すべきは赤い、人口が増加するエリアと黄色の、極端には減らないとされるエリア。逆に危険なのは青い、人が住まなくなるエリアである。
東京都
都心部に加え、調布市、稲城市などの多摩エリアの一部も人口増
東京都では多くの人が推察する通り、中央区、港区、江東区など都心近く、湾岸エリアでの人口増が目立つ。
23区では文京区、新宿区や荒川区、練馬区、世田谷区、大田区などでもスポット的に増えてるとされるところがある。世田谷区、大田区では神奈川県に近いエリアにまとまっている点に注目したい。
都下では増加エリアが集中しているのは八王子市。場所的には京王相模原線南大沢駅、JR横浜線・相模線と京王相模原線の乗り入れる橋本駅周辺で、多摩ニュータウンエリアとも一部重なっている。
橋本駅近くでは再開発もあり、また、リニア新駅の期待もある。その辺りがプラスに働いているということだろうか。
また、都下では調布市、稲城市辺りにも増加エリアがまとまっている。この周辺はファミリー向け分譲マンションの多い地域でもあり、そのあたりの効果が出ていると思われる。また、京王線地下化で調布駅周辺の開発が進むことも寄与しそうだ。
もうひとつ、東京都及び首都圏では比較的減少が少ない、黄色で塗られている地域が広いことも特徴。人が住まなくなるほど減少するのは奥多摩エリアに限られている。
神奈川県
川崎市がダントツ、エリア限定で増加
神奈川県では川崎市から横浜市にかけて集中的に増加している地域があるが、これを地図で見ると東急田園都市線沿線から武蔵小杉にかけて。
途中の南武線沿線なども含まれると考えれば良いだろう。もうひとつ、川崎市では小田急線沿線も増加エリアになっている。
それ以外では横浜市中心部、藤沢市、綾瀬市などでエリアは小さいが、増加が予測される地域がある。逆に川崎市、横浜市から離れたエリアでは非居住地域となることが予測される地域もある。
埼玉県
和光市、戸田市など東京に近いエリアに注目
埼玉県では県中央部より、和光市、新座市、朝霞市、志木市、戸田市など東京に隣接する自治体での増加予測が目立つところ。
特に和光市、戸田市はほぼ全域が人口増とされている。和光市は高齢者向け、子育て世代向けに独自の施策を打ち出しているが、そうした評価もあるのかもしれない。
それ以外では川口市、吉川市に、かなり都心から離れて伊奈町、滑川町でも人口増が見込まれている。
川口市は埼玉高速鉄道の東川口駅周辺で、これは再開発の影響。吉川市は武蔵野線の新駅誕生、大規模ショッピングセンター誕生などがあり、そうしたことから将来の増加が見込まれているのだろう。
千葉県
八千代市、成田市、柏市に千葉市が有望
千葉県では千葉市内であちこちに増加するエリアがあるのに加え、八千代市、成田市、柏市、印西市などで増加が予測される。
印西市は千葉ニュータウンのある地域で、数年にわたって東洋経済が選ぶ住みやすい街のトツプに君臨してきた。
基本的には、分譲エリアだが、これだけ将来も増加が見込まれるなら、どういう街かチェックしておいてもよいかもしれない。八千代市も分譲マンションが増加している地域。
成田市は今後のインバウンド需要を考えると、それに関わらる人口増、住宅ニーズ増も考えられる。
愛知県
名古屋市東側、日進市、安城市などで人口増
首都圏の各都県と比べ、愛知県では人口増加エリアが広いのが分かる。
増加エリアはおおむね、名古屋市の東側、市内でいえば緑区、天白区など。名古屋市以外でいえば日進市、豊明市、安城市、高浜市、長久手市、春日井市など。
名古屋のベッドタウンとなっている、あるいは自動車系の工場などがあり、地元に産業がある地域での人口増が見込まれるわけである。
次回は関西圏と福岡県、そして西日本以遠で実は期待できる2県をみていく。
健美家編集部(協力:中川寛子)