前回に続いての山岡清利さんとマッツンさんのFIREをテーマとした大家対談、今回が最終回です!今回は山岡さんが札幌に移住後に大家さん向け事業を始めた背景や、お二人の今後の目標等を語り合っていただきました。山岡さんの考える不動産投資の終わり方や、人生の優先順位へのブレない姿勢にマッツンさんはしびれた様子です。
■センスのいい山岡さんのリフォームの秘密
マッツンさん
空室対策の記事など、コラムでいつも拝見しています。山岡さんのコラムはビフォー・アフターの写真なども豊富ですよね。リフォームのアイディアはどのように考えているのですか?
山岡清利さん
僕はこれまでの人生で賃貸物件しか住んだことがないんですよ。賃貸に住んでいると、これがあったらいいなぁ、ここはもっとこうすればいいのにとアイディアが色々と浮かんできます。言ってみれば、入居者さんの立場でずっと育って来たわけです。
あと、自分で言うのも変ですが、僕は人の気持ちに立って物事を考えることができる方だと思っています。家事全般も手伝っているので、台所や水回りなどで女性がどう動き、どう不満を持つかという、生活改善欲求がすごくイメージできます。
あと、内装に関しては、デパートやショッピングセンターに行って、アパレル系のショップの色使いや使用クロス、照明、インテリアを勉強して取り入れさせてもらっています。
■山岡さんが管理業をやらない理由
マッツンさん
私自身もそうですが、私たちの世代の大家の中には、FIREした後で不動産会社を作りたいという人が結構いるんです。山岡さんは報告ネットを始めた時に管理会社を作ることもできたと思うんです。なぜその選択をしなかったのですか?
山岡清利さん
確かに、報告ネットのお客さんから、「管理もやってくれないか」とお願いされることはあります。そして、管理業をやればきっと今より物凄く儲かることも分かっています。だけど、僕はぶったるんだ生活がしたくて不動産投資を始めたんですよ。だから、やりません。
管理会社って色々な電話がかかってくるし、急いで現場にかけつけないといけないような場面も多いじゃないですか。僕は人生の優先順位の1位は家族、2位は趣味、3位が仕事なんです。結局、忙しいと子供や妻と触れ合えなくなっちゃうじゃないですか。
マッツンさん
でも、例えば人を雇って、自分は自由に過ごしている社長さんもいますよね。
山岡清利さん
僕は昔、ホームページを作る会社をやっていた時代に人を雇っていたんですが、社員さんたちを好きになっちゃうんですよね。それって良いことに思えるけど、社員のその奥の事も色々と見えちゃうの(笑)。それって、良し悪しなんですよ。
例えば、あっ〇〇さんはお子さんが小学校入学か。お父さんの介護もあって大変だな。〇〇さんは子供が受験でお金がかかる時期だねとか、考えるじゃないですか。そして、社長として応援するんですが、人って辞めるんですよ。
そういう時は、「え?どうして?あんなにうまくいっていたのに…」みたいな感じで結構悲しいんです(笑)。仕方ないことなのに、辞めた社員に「捨てられた」ような気持ちになって、凹んだこともありました(笑)。
それで、会社を売却した時に、次のビジネスでは人は雇わない。もし人に仕事をお願いするときは完全外注にしようと決めたんです。もちろん、社員を雇うとコストが掛かるという意味もあります。
マッツンさん
参考になります。ちなみに、「報告ネット」のアイディアが生まれてから、実際にサービスを始めるまで、どのくらいの時間がかかりましたか?
山岡清利さん
アイディアができてから札幌に引っ越すまで1年ぐらいあったので、準備期間は1年ですね。自分もそうでしたが、管理会社が動いてくれないから自分でやらなくちゃと札幌と東京を往復する大家さんたちを見て、コスパが悪いなぁと思っていました。それで東京で事業内容を固めて、札幌に引っ越してからすぐに、サービスを始めました。
初対面でこんなことを言うのもアレですが、マッツンも、賃貸業以外になにかやったほうがいいと思います。ただ、事業にどっぷり浸かってしまうとサラリーマンと一緒なので、自分の自由な時間は確保しつつ、ちょっと収入を得るというのがいいんじゃないかなあ。あとは、いまのうちに子供とたくさん遊ぶのがおすすめですね。
マッツンさん
山岡さんは、遊ぶのが上手なイメージがあります。子供たちと一緒にできるおすすめの遊びはありますか?
山岡清利さん
キャンプですね。キャンプは何もないところに0から設営する必要がありますし、常に段取りや効率を考えなきゃいけないじゃないですか。さらに天候も考えないといけない。
雨や雪が降ったらどうしよう、料理は何から作ろうか、とか一緒に考えたり、考えさせたりするうち、子供たちが成長するのがわかります。うちの子たちは小さい時から、自分で火を起こせるように教育しました。
そんなこんなで、お膳立てなしのキャンプがおすすめです。普段は家族4人とか、友人ファミリーたちと出かけることが多いですが、ママがいると子どもたちが甘えちゃうので、父と子だけでサバイバルキャンプに行くこともあります。上の子と二人で行ったり、下の子と二人で行ったりすることもあります。
■今後のお二人の目標や読者へのメッセージ
(編集部)
FIREに興味がある方に向けて、メッセージをお願いします。
山岡清利さん
誰もが無理に急いでFIREする必要はないと思います。でも、そっちの方が自分に向いていると思うなら、早めに決断したほうがいいと思います。
結婚したり、子供が増えたりして守るものが多くなると、どんどん身動きできなくなります。戦いは守るものが少ない方が圧倒的に強い。喧嘩も戦争も、守るものがあるほど弱くなるのです。愛は無限のパワーにもなりますが、足枷にもなるので注意してください。
現段階で既婚者の方は、最大の味方はパートナーですので、パートナーへのケアは最重要任務と心得て、常に将来のビジョンを語り希望を捨てないで前進あるのみです。例え歩みが鈍くても、1歩でも半歩でも前進すれば良いので諦めないでください。
他人から馬鹿にされたり、笑われたり、非難される事もあると思いますが、パートナーと将来のビジョンが明確に設定されていれば、そんな事は、一時的なノイズにしか過ぎません。ネガティブなノイズに惑わされないように、行動して頂ければと思います。
マッツンさん
僕はFIREしてから間もないのでアドバイスできる立場ではないのですが、一つ思うのは、子供が大きいと一緒に過ごせる時間も少ないので、早めに計画を立てて実行したほうがいいのかなと思います。
でもあと、1年くらい今の生活をしてみないとわからないですね。その頃にはもっと早くFIREすればよかったと言っているかもしれません(笑)
(編集部)
今後のお二人の目標を教えてください。
マッツンさん
たくさんあります。まずは、家賃収入以外の収入を作ること。そして、新しい生活のペースを整えること。あとうちは今、下の子が小学3年生で、上の子が中2なんですが、子供たちとの時間をいっぱい作ることですね。
僕の会社員人生は恵まれていたと思います。人間関係もよかったし、不動産投資との両立もなんとかできていました。それでも違う世界を見てみたくて、辞めました。だから、自分の理想って何だろうと考えながら、こっちと思う道を進んでいきたいです。
山岡清利さん
僕は息子たちが家から巣立ったら、何年か家を持たず、妻と二人で全国をキャンピングカーで回りたいと思っています。その後は、妻と思い出づくりで、スナックを経営したいですね。賃貸業の目標は、うまくソフトランディングすること。少しずつ物件を手放して、家賃収入を減らしていくつもりです。
人の求める幸せって様々ですが、僕も妻も、おいしいものを食べたり、おいしいお酒を飲んだりするのが大好きなんです。歳を取れば、お酒もそれほど飲めなくなるし、食事もたくさんは入りません。
高級車やプレミアムな座席での海外旅行も興味ありませんし、それこそファッションにもそれほどこだわらなくなるでしょう。だからもう、お金を増やす必要はありません。
今持っている資産を人生の終わりに向けて、少しずつ食い潰すダメ大家さんとしてやっていきたいと思っています。だって死んだらお金使えませんから(爆笑)。幼少時代に極貧生活でしたから。そこそこの稼ぎで十分幸せなんです♪
そして、妻や子供とかけがえのない時間、二度と取り戻せない子育ての時間を最大限楽しみつくしたい。僕が死んだ時は子供達に「うちの父ちゃんって、いつもそばにいたなぁ~」って言ってもらいたい。それが僕にとって「不動産で幸せになる」という意味であり、目標です。
(編集後記)
拡大を目指さず資産を使い切るという山岡さんと、まだまだ将来に迷い中のマッツンさん、対照的なお二人の対談は、今後FIREを目指す方の参考になったのでは?お二人共、貴重なお話をありがとうございました!(担当:いんべす)