皆さんこんにちは、山岡清利です。今日は、木造物件のリフォームで見かける「 床が全体的に沈んだ部屋 」をどうリカバリーするかについてのお話です。
■ 床が沈むのは木造あるある
皆さん「 床が沈むなんて滅多にないだろ! 」とお思いでしょうが、長くリフォームサポートをしていると意外と多く遭遇します。これって木造物件の”あるある”のようなのです。
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白色の樹脂は沈んだ隙間を埋めたコーキング材です。こんな風に床と巾木の間に大きな隙間が空いていて、この洋室だけ4面全て約1cmほど沈んでいる状態でした。幸い、床鳴りはありませんでした。
前回リフォームされた業者さんは、壁3面にアイボリーのコーキングを、リビングとの境の襖部分は黒のコーキングを塗布されたようです( 白い線と黒い線が見えますね )。
前の入居者の方は四方から隙間風が入り込んで、さぞ寒かったと思います(^_^;)
■ 問題点と解決策
対策を考えました。まず、現在の床を撤去し新たに床を貼るのはコストが高すぎます。かといって、床の上に新たにフローリングを上貼すると、建具と干渉するため、この方法をとることもできません。
次に考えたのは、壁紙を全部張り替えて下がった床にあわせて新たに巾木を貼る事でしたが、これもコスト的な要因でNG。他にもキッチンの水漏れや浴室の壁の腐食といった補修個所があったため、優先順位を下げざるを得ませんでした。
しかし、何もしないという選択肢はありません。なぜなら、床の沈下がさらに進んでコーキングに隙間が出来ている場所が見られたからです。それに、前に打たれたコーキングも劣化しており、汚らしい印象でした。
このままですと、四方の巾木と床の間から隙間風が入り込んで非常に寒いお部屋になってしまい、入居が決まってもまた短期間で退去になってしまうかもしれません。
結論ですが、今回こんなアイデアで問題を回避しました。その方法とは・・・・・
木巾木の上にソフト巾木を貼る!
そうです。見栄えの悪いコーキング部分と隙間部分を隠すために、木巾木にソフト巾木を上貼りしたのです。どんな感じになるかというと以下のとおりです。
どうでしょうか? わかる人が見れば笑ってしまうかもしれませんが、劣化したコーキングが見えなくなり、清潔感がでましたね。
注意点としては、一般的に使われるソフト巾木の高さは60mmが多いのですが、ここに60mmを使ってしまうと見栄えが悪くなるので避けた方がいいということです。
また、この部屋についている木巾木には巾木の上部分に凹み溝がありました。60mmのソフト巾木を使うとその凹み部分に巾木の頭がくるので、ゴミがたまりやすくなってしまいます。
巾木なら何でも良いだろうではなく、きちんと現場を見て建材を選ばないと失敗するので注意しましょう。検討の結果、今回は40mmの高さのソフト巾木を使用しました。
同色の巾木を使ったため違和感なく、お部屋に清潔感が戻りました。
■ まとめ
多くのリフォーム業者さんの逃げのテクニックとして、「 とりあえずコーキング♪ 」というものがあります。
大家さんから「 コストを下げて欲しい 」と言われ、やむを得ずのコーキング施工かもしれませんが、日々の掃除などで掃除機やほうきが頻繁に当たる場所ですとぶつかってボロボロになるので、できるだけ避けたいものです。
一般的には「 巾木に巾木を貼る 」なんてのはおかしな事ですが、ローコストで部屋を完成させるには、アイデアが必要。皆さんもコーキングに逃げず、常識にとらわれない発想で空室対策リフォームを進めてくださいね。
築古木造物件購入の際に、もし床が沈下していたら、この方法でリカバリー可能ですから、これを理由に鬼の指値を入れてみるのものもいいかもしれませんね♪( 苦笑 )。次回もお楽しみに~ (^O^)/