皆さん、こんにちは。満室研究所所長の山岡清利です。
今年の夏は本当に暑かったですね。北国札幌でも連日の30℃超えの日々が続き、このまま熱波が続いたら死んでしまうのではないか、と思ったほどです。
しかし、9月半ばを過ぎると秋めいて過ごしやすくなって来ました。あと1か月もすれば、24時間ストーブを焚く生活に突入です。今日は熱波の影響で、RC物件地下倉庫で発生した、ある現象を紹介します。
■問題点
地下倉庫に水漏れを発見!!
右側の壁と床は乾燥していますが、赤丸側はうっすらとですが、壁と床が濡れています。
こんな風に、地下倉庫の床壁の一部が謎の水漏れが発生しているのを、定期巡回で発見しました。壁下1m位から床まで濡れていて、庫内も湿度が高いようで湿っぽい感じで、明らかにいつもと状態が違います。
この地下倉庫には物置が置かれているのですが、その物置は木製だったため、木部にはうっすらとカビが発生していました。入居者様の保管品にカビが移ってしまう可能性もあります。このまま放置すれば確実にクレームとなるでしょう。これは危険。
すぐにこの倉庫が濡れている原因を究明し、対策を施さなければいけません。
まずは現場調査を実施、コンクリート壁のどこかにクラックが発生していて、そこから水が染み出して来ているのではと思い、壁を念入りに調べたのですが、クラックは発見できませんでした。
そうこうしていると、別の場所の壁にも同様の水濡れを確認。そして、よくよく観察してみると、どうも水漏れ(水が染みだしている)のような感じではないのです…。
画像を見て頂くとわかる通り、丸い水滴が壁に張り付いているのです、ちょっと何かの虫の卵のようで気持ち悪いのですが、明らかに水滴の粒。この段階で、この水滴の原因は壁のクラックじゃないなと確信しました。
そこで庫内を隅々まで調べると、水漏れ箇所がある場所とない場所とで、ある特徴があることを発見したのです。それは、庫内の天井に上水管が走っているか、走っていないかの違いでした。
天井にある断熱材に包まれた上水管に触れてみると、濡れています!
よく観察すると水滴も!「えっ!上水管のピンホール漏水?」と焦ったのですが、どうも様子が違うのです。
だらだらとした水漏れではなく「雫」なのです。うっすらと断熱材が湿っている状態で、断熱材を守るラス網にも錆が出ています。どうも、この上水管に札幌の冷たい水と、地下倉庫内の温かく湿った空気との温度差で結露を起こしているようです。
■結露の原因追及
結露が起きる原因は色々と考えられました。
・今年の猛暑で建物躯体が蓄熱し全体が温かくなっている状態で、壁の向こう側の冷たい土砂との温度差が生じている。
・上水管に流れる冷たい水道水と庫内の温度差で管に結露が発生し、庫内の湿度を上げた。
・換気口から暑く湿った外気が庫内に常に供給されている。
・庫内は広いが、内部は壁で小さく区切られており、空気の対流が起きにくい場所がある。
こうした条件が揃い、暑く湿った空気と上水管の結露が加算され、空気が淀みやすい部分の冷えた壁面で結露したのでしょう。原因がわかれば対策は簡単ですね。
補足すると、上水管の断熱材のラス網が広範囲で酷く錆びていたのは、通年でうっすらとは湿っていたからでしょう。今年の猛暑により症状が表面化ということです。
■実際に行った対策
本事案については、下記の対策を施しました。
1)上水管断熱材の強化
管を包む断熱材を厚いタイプに巻き直しを依頼。
2)結露の拭き取り
基本中の基本である水滴の拭きあげを実施。
3)使い捨て除湿剤の設置
室内用の使い捨て除湿剤を大量に設置し空気中の湿度を低減させます。
4)サーキュレーター設置
サーキュレーターを2台購入し、庫内の空気の循環を促進。
5)防カビ剤の散布
物置木部のカビが発生している箇所とコンクリート壁をメインに防カビ剤を散布。
6)防カビ芳香剤を設置
被害が酷い箇所には、お風呂などに設置する黒カビ防止剤を天井に設置。カビが発生し難い状態を構築します。
以上の対策を施した結果、無事に問題を解決することができました。
断熱材を厚く巻いたので、湿度の供給源である結露を断ち切る事に成功。土砂と壁との温度差で発生する結露もサーキュレーターで空気の循環が促進され、ドライな状況を維持できるようになりました。防カビ剤などの効果でカビ菌も死滅したようで、無事クレームは回避できました。(汗)
■まとめ
定期的に物件の様子を確認していたことで、普段と異なる様子をいち早くキャッチし、被害拡大前に対策を講じられて良かったです。普段、こんなに酷い結露は目にしません。それだけ今年の猛暑は酷かったということですね。
物件に地下階がある大家さん、あなたの建物の地下階は大丈夫ですか?
地下は空気が淀みがちです。今年の猛暑の影響で、結露が発生しているかもしれません。大家としては、物件に問題が起きていないか定期的にチェックして、早め早めに対処したいところです。
次回もお楽しみに~(^▽^♪