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7月1日から変わる!大家さんが知っておくべき相続法改正

渡邊浩滋さん_画像 第52話

2019年7月1日から相続法( 民法 )が大きく変わることはご存知でしょうか? 約40年ぶりの大きな見直しです。将来起こりうる相続について、相続前にやっておかなければならないものがあるのです。

どのように改正されるのでしょうか? 大家さんが相続に向けて今から対策するべきことは何なのか? 解説していきます。

■ 1.相続法の改正

2019年から2020年にかけて改正されます。

1)2019年7月1日から改正されるもの

@預金の仮払い制度の創設
遺産分割協議が終わらなくても法定相続分の1/3まで( 一定額までの上限あり )預金の払い戻しが可能になる。

A相続登記の効力
法定相続分を超える相続や遺贈は登記が対抗要件になる。

B配偶者への自宅の贈与・遺贈の持戻し免除の意思表示の推定
婚姻期間20年以上の配偶者に自宅を贈与又は遺贈した場合に持戻免除の意思表示を推定する。

C遺産分割前に遺産が処分された場合の遺産の範囲
相続開始後に共同相続人の1人が遺産を処分した場合、計算上生ずる不公平を是正できるようにする。

D遺留分制度に関する見直し
遺留分減殺請求の対象を金銭債権とするとともに、対象となる贈与に期限を設ける。

E特別寄与者の特別の寄与
相続人以外の親族が、被相続人の療養看護をした場合に、一定の要件のもとに相続人に金銭請求をすることができるようにする。

2)これから改正になるもの

@配偶者短期居住権の創設( 2020年4月1日より )
配偶者が相続開始時に居住している建物について、遺産分割が終了するまで無償で居住できる権利を与える。

A 配偶者居住権の創設( 2020年4月1日より )
配偶者居住権を遺産分割協議もしくは遺言書で、終身又は一定期間、配偶者が無償で居住できる権利を与えることができる。

B自筆証書遺言の保管制度の創設( 2020年7月10日より )
法務局に預けることが可能。検認手続きも不要になる。

3)すでに改正されたもの

@自筆証書遺言方式の一部緩和( 2019年1月13日より )
財産目録などをワープロなどによる記載や登記事項証明書、通帳のコピー添付でも適用可能とする。

以上のような改正のスケジュールになっています。そのなかから大家さんにどのような影響があるのか。何をすべきかをピックアップしていきます。

■ 2.遺言書がないと預金が下ろせない?

平成28年12月19日最高裁判決で衝撃的な判断がされました。「共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、いずれも相続開始と同時に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となるものと解するのが相当である。」

過去の判例においては、「 預金債権については、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割され、各共同相続人の分割単独債権となる 」とされていました。つまり、預金は遺産分割の対象ではないということです。

その上で、実務では、預金についても遺産分割の対象とする合意がある場合には、対象とすることができるとの例外を認めていました。それを今回の判例で、遺産分割の対象とすることに変更したのです。

それを受けて、金融機関では、遺産分割協議書がないと払戻しに応じることができない状況になりました。相続人の合意ができないと、預金は一切下ろせないということです。それでは、葬式費用も下ろせませんし、相続人にとって困る事態が起こりえます。

そこで7月1日からの改正で、下記のいずれか少ない金額まで引き出せるようにしました。

◯各口座ごとに、預金額×1/3×払戻しを行う相続人の法定相続分

◯同一の金融機関( 複数の支店に口座があっても全支店 )からの払い戻し上限150万円

また、家庭裁判所に申し立てることによって、生活費などの必要性がある場合には、単独で払い戻しが可能になる手続きも用意されています。

とはいえ、必要最低限のお金は下ろせるようになっても、( 遺産分割ができなければ )大部分は下ろせないことには変わりありません。

もし相続するアパートやマンションで大規模修繕の資金が必要になっても、相続財産の預金が使えない可能性が出てきます。遺産分割で揉めないようにと願っていても、なかなか難しい話かもしれません。

しかし、事前に遺言書を準備しておけば、遺産分割協議書は必要ありません。遺言書は、自筆証書遺言が法務局保管できる制度ができます。公正証書遺言と同じように検認手続がいらなくなって、費用も安くできるため、遺言書がもっと身近に作れるようになります。

今後は、遺言書の作成は必須といえるでしょう。

■ 3.相続登記をしないと権利がなくなる?

遺言書で不動産を相続させる場合、相続登記をしなくても、当然に所有権を主張することができました。しかし、7月1日から、相続分を超える部分の承継については、登記が対抗要件になります。

例えば、長男にアパートを相続させるという遺言書を残した場合でも、先に、次男が法定相続分で登記し、次男の持ち分を第三者に売却して登記をしたときは、長男は法定相続分を超える分は、この第三者に負けてしまうことになります。

相続したら相続登記は早急にするべきです。

相続法、債権法など民法が大きく変わっていきます。大家さんにも影響が出てきますので、改正点は抑えておきましょう。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)

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