不動産投資ビギナーのためのDIYリペア講座シリーズ、第3回目は「壁にものを取り付ける」がテーマ。前回までは壁の補修をテーマに学習してきたが、そもそもの補修の原因を取り除き、物件をバリューアップできる方法を今回と次回で身に付けてもらいたい。
壁に取り付けていたものがぐらついていたり、ネジが抜けてしまうなどのトラブルの経験はないだろうか?コート掛けのフックやシャワーホルダー、壁掛け時計やキーフック、タオルハンガーやトイレットペーパーホルダー、棚などがお困りごととしてよく挙げられる。これらが抜け落ちてしまうのは4つの原因が考えられる。 ①下地がないところに直接ネジや釘で取り付けられている。
②表面の石膏ボードなど、柔らかいところまでしかネジ等が届いていない。
③中空壁などで通常は取り付けられないところだが、アンカーで下地を作っていて、そのタイプによっては日々の使用の衝撃で穴が広がった。
④壁の構造に合ったアンカーが使われていない。 等 まず、今回は①②の問題を解決できるようになってもらいたい。
「解決できる」ようになる=「壁にものを取り付ける」ことが自在にできるようになるということになるわけだ。
そうなれば、賃貸物件のリペアでコストカットもできるし
魅力的で使える何かを取り付ければ物件のバリューアップにもなるということになる。
最初のステップとして、下地をしっかり探せるようになってもらいたい。
壁の構造によって取り付け方が異なるのでまずは壁の中を知ることが肝心だ。図面などがあれば確認してもらいたい。
■下地の調べ方(木造・石膏ボード編)
1.何も道具がない場合
「壁をノックするように叩いて音で判別」
間柱と呼ばれる下地は基本303㎜か455㎜ごとに入っている。
壁面をコンコンと叩いてみると、下地の柱がある場所は
“堅い音”であったり、中身の詰まった”重い音”がする。
逆に下地のないところは、空洞になっているので“軽い音”がする。
ペチペチと表面的な音の場合はコンクリートであることが多い。
堅い音を確認したら、これは道具の有無は関係ないが、
下地の柱が縦に入っている間柱なのか、横向きに入っている貫(ぬき)なのかを確認するため、縦と横の下地を確認する。
2.道具を使って確認する方法
ここからは道具を使った確認方法ともなるのだが
最初に「1」の道具がない場合の調べ方を行った後に
「2」の道具を使って確認する方法へ移行したりもする。
壁の下地を探すことのできる道具は、大きく分けて2つある。
センサー式と針式だ。
どちらかだけで探すこともできるがオススメしたいのは、両方を使うこと。
【センサー式】
センサー式でも様々なラインナップがある。
左から
・「下地センサーHome」 シンプル機能 探知機能19㎜
・「下地センサーHome+」Home、電線警告機能 探知機能19㎜
・「下地センサーBasic」 Home+、深部モード 探知機能35㎜
・「下地センサー Pro+」「Pro」に金属探知機能を搭載
「深部モード」では探知能力が上がるため、探知物をより遠くの位置から反応することがあり、薄い壁に対して「深部モード」にすると、間柱以外の物に反応することがある。
詳しくは購入する際の注意書き、裏書をしっかり読んで物件の素材に対応しているタイプを比較検討購入してもらいたい。
【針式】石膏ボード用
確実にボード裏の木製下地を針で刺して探知できる針式下地探し「どこ太」シリーズ。
壁にまっすぐ刺すだけなのだが、目盛付きで刺し込んだ壁材の厚みの目安が分かるので、下地のないところに下地となるアンカーを入れたいときに必要な情報、”壁厚”もこれがあれば簡単に測ることができる。
マグネット付なら、クロス下の釘や金属下地(鉄材)を探知できる。
本体を壁に軽く押し当てて、針が止まるか突き抜けるかを判別し、針が止まったところには下地があることが分かる。
●針は壁厚35mmまでマグネットは壁厚13mm、天井厚12mmまで使える、など、タイプによって異なるので、わからない場合は
・79025/下地探し どこ太 Basic 35㎜ マグネット付
・78992/下地探し どこ太 Pro 35㎜ マグネット付
あたりがオススメだ。
うっかりコンクリートに刺して針を折ったり
針が曲がってしまっても大丈夫。
本体の中に予備針が2本入っていて、別売もされているので
本体は長く使えるのもうれしい。
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【施工方法】
①まず最初にノックして音を聞き、下地のある場所の目星をつける。
②そこを中心に、何も下地がないと思われる壁にセンサーをピタッと押し当て、スイッチを押し続けたまま水平に移動する。
「中心」を出せるセンサーの場合、柱の中心でセンサーが光と音で知らせるので、そこに取り付ければしっかり留めることができる。
「中心出し機能」がない場合は、右からと左から中心に向かっての2方向から、下地があることを知らせるブザーが鳴るまで、壁を滑らせるように水平にゆっくり走らせる。
この時、”スイッチを押しながら、壁から浮かさず”が鉄則だ。
鳴ったところで印をつけておく。
この右からと左からセンサーで見つけた地点が下地の端から
端のおおよその目安になることになる。
③センサーは壁裏にある素材の密度を拾っているのだが、表面に近い面材の密度が高かったり、間柱と壁の面材との密度が近いと、うまく間柱を拾えないこともある。
また、下地の端の方にねじを打ってしまうと木が割れる原因になるので、もう1種類の手動下地探し(針タイプ)を先ほど印を付けた位置の下部など、気にならない場所で試しに差し込んで、確実な間柱位置を特定する。
この時、針を刺した時の先端の目盛りを見てほしい。
刺さっている深さがわかる=壁の厚みがわかるので
チェックしておくと下地のないところに取り付ける場合に、後入れの下地となるアンカー選びや取付ネジの長さなどを考える時に役に立つのだ。
針式でマグネットが付いたタイプだと金属があれば、刺す前に下地探しが壁にカチッとくっつくので、その時は電線なのか、軽量鉄骨なのか、周りにコンセントやスイッチなど配線がないか確認して、あれば刺さないようにしておく。
刺してしまうと断線する恐れもあるので、下地探しのおススメはセンサー式も針式も電線や金属探知ができるタイプだ。
センサーのエントリーモデルは電線警告機能がついていて
PROモデルだと金属探知ができる機能となっている。
④下地である間柱に取り付ける場合は、できるだけ中心に近いところにネジ留め等をする。
【針あとが気になる場合のワンポイント!】
針事体、とても細いので、刺した跡も目立たないが、気になる場合は爪で表面の紙を寄せたり周りとなじませるようになでつけることで見えなくなるコワザも使ってほしい。