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「DAO型シェアハウス」入居者・利用者が主体的に運営に携わることで赤字物件が黒字物件に転換

不動産投資全般/社会問題・情勢 ニュース

2023/10/31 配信

神楽坂リリース
DAO型シェアハウス。「Roopt神楽坂DAO」ニュースリリースより。

空き家の増加が社会問題になっていることを受けて、さまざまな仕掛けで空き家を収益物件として再生するプロジェクトが少なくない。地域活性化につながる試みとしても注目されるが、その一つとして、入居者が主体的に運営にかかわる仕組みが成果を上げている。その試みが、「DAO(Decentralized Autonomous Organization)型シェアハウス」である。

DAOとは日本語で「分散型自律組織」と訳されているものだ。一般的に組織というのは、例えば会社で言えば、意思決定する社長をトップに、その下に役員や部課長クラスがいて事業実施部隊を動かすといった形でトップダウン的に動くが、DAOでは意思決定をトップに集中させるのではなく、参加者全員で合議的に意思決定を下していくものだ。

DAO事業の先駆者的な存在として知られ、シェアリングエコノミー事業などを手掛けるガイアックス(東京都千代田区)は、ブロックチェーン(分散型台帳)を使って日本で初めてとなる「DAO型シェアハウス『Roopt神楽坂 DAO(ループト・かぐらざか・ダオ)』」を展開している。空き家活用事業でU・Iターンの創出につなげる巻組(宮城県石巻市)が運営する東京・神楽坂のシェアハウスにDAOを導入した。半世紀以上が経過する木造2階建ての戸建て住宅だ。居住棟と母屋の2棟で構成され、居住棟にシェアハウス(10ベッド)を配置し、母屋にコワーキングスペースを展開している。2020年にリノベーション済み。

居住者の属性を見ると、起業を目指す20歳代の学生のボリュームが最も多く、個人事業主やエンジニアなども利用している。昨年10月ごろから運営しており、この1年の間に赤字物件を黒字物件に転換させることに成功している。

神楽坂外観
「Roopt神楽坂DAO」外観。左側が母屋、右側が住居棟(ウェブサイト募集情報より)

稼働率8割以上、維持管理費の軽減で利益率アップ

改ざんが不可能とされるブロックチェーン上で、DAOメンバー全員で民主的に運営する。建物管理のルールなどを利用者が過ごしやすい環境にする決まりごとなどをDAOメンバーの投票で決めるのが特徴だ。魅力的なシェアハウスにするための運営ルールや予算の使用方法を議論し、投票で決定する。同メンバーになるには、NFT(非代替性トークン)を購入する必要があるが、この神楽坂のシェアハウスでは240口(1口3万円)が発行され、10月上旬の時点で170口以上が販売済みという。

DAOメンバーは9月15日時点で430人超となり、シェアハウス10ベッドに対して43倍の人がコミュニティに参加している計算になる。稼働率は2022年12月以降から8割以上をキープしている。シェアハウスとコワーキングスペースの利用代金だけでなく、売上高としては、NFTを販売することでの先入金効果によりDAO導入前に比べて1.7倍に拡大している。

また、シェアハウスの運営には維持管理費がかかる。巻組によると、シェアハウスの収益構成としては家賃・取得費が半分を占め、維持管理と利益が20%ずつ、光熱費が10%となるが、DAO型にしたことで、この維持管理費を大幅に下げることができ、利益率が37.5%と大幅に改善したという。シェアハウス運営の仕事を広報・集客も含めてDAOメンバーが実施することでコストカットにつながっているためだ。実績としては、清掃を外注した際の4年分に相当する205時間分をメンバーが手掛けている。

投票をしなくてもできたこととして、植栽の剪定や扉・網戸の修理、清掃を挙げており、自律的なコミュニティ風土が醸成され、一般的な賃貸運営ではみられない入居者・利用者の能動的な活動が特徴的だ。スタッフがシェアハウスに足を運ぶ回数は1年間で約30回だったものが3回ほどに減るという効率性を発揮したほか、足を運ぶ回数が減ったにもかかわらず物件の状況を把握しやすくなったとの効果も挙げている。

利用者の発案を採用して、より良い運営に

一般的なシェアハウスの場合、オーナーの仕事としては、家具・家電を選定して購入して設置したり、シェアハウスのルールなどを確定するほか、共用部分の清掃や消耗品の購入、問い合わせ対応、家賃回収などがある。DAO型では、それらをメンバーが自ら決めてこれらをまかなっている。実例として、利用者の発案により、シェアハウスを円滑に運営するために「コミュニティモデレーター」という役割が設置され、その役割を担う人には報酬を払ってやってもらうことを決めている。利用者がより良いシェアハウスにしようという意識が働いている。新たな賃貸運営方法の今後を注視していきたい。

健美家編集部(協力:若松信利(わかまつのぶとし))

■ 主な経歴

学生時代から不動産に興味を持ち個人的に不動産関連の記事を多数執筆。大学卒業後、不動産関係情報誌に20年以上勤務。現在は都内のIT会社に勤め、副業でいくつか投資関連の記事を担当・執筆する40代サラリーマン。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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