海外不動産の購入で資金をどうするか?「海外不動産には担保がつけられないので、ローンが借りられない」と思っていたところが、外貨送金などでお付き合いのある「SMBC信託銀行プレスティア」から「海外不動産でも利用可のローンはあります」と担当者からの話で、担当部署であるローン営業部に説明を聞きに言った。

まず、SMBC信託銀行は、2015年11月にシティバンク銀行のリテールバンク事業を統合し、新ブランド「プレスティア(PRESTIA)」として展開している。
そんな経緯もあり、シティバンク銀行からの富裕層向けサービスもほぼそのまま引き継がれている。
月間平均総取引残高が1,000万円相当額以上でプレスティアゴールド、5,000万円以上でゴールドプレミアムというカテゴリーになり、優遇手数料、預金金利上乗せ、クロスカレンシー取引(外貨間為替取引)などの優遇サービスが受けられる。
なかでも、海外電信送金手数料無料(通常7,000円)は、海外不動産購入含め、海外とのお金のやり取りには何かとありがたい。ついでに、国内円振込手数料も他行宛も含めて無料だ。
また、簡単に外貨立ての口座を作れて、支店窓口で米ドルまたはユーロの現金での入金・引出しができるが、プレスティアゴールドであればその際の現金取扱手数料が、1日あたり5,000米ドルまたは5,000ユーロまでは無料だ(通常は、1米ドルにつき2円、1ユーロにつき3円の現金取扱手数料がかかる)。
そして、海外不動産に使えるローンも、このプレスティアゴールド以上が対象で、「担保を他の資産につけて、使途自由のお金を借りる」という、なるほどその手があったかという仕組みだった。
抵当権がついていない自宅、別荘、セカンドハウス、賃貸物件などの居住用不動産を所有していれば、2,000万円以上最高5億円まで、保証料不要で借り入れができる「プレスティア不動産アドバンテージローン」を利用する。使い道は自由で、海外不動産の取得にも利用できる。
担保とする居住用不動産には第一順位の抵当権の設定が必要だ。2020年2月時点での金利は、担保となる不動産が自宅の場合は1.5%、自宅以外(セカンドハウスや賃貸物件など)では2.0%である。借入期間は、1年以上25年以内。
プレスティアゴールド以上は富裕層を対象にしていることもり、海外を含めてセカンドハウスや賃貸物件の購入、税金の支払い、高額物件購入に際して住宅ローンで賄え切れない部分のお借入に使う人も多いということだった。
また、ゴールドプレミアムであれば、不動産ではなく「証券担保ローン」も使途自由で3,000万円から5億円までを1%台の金利で借り入れできる。
こちらの担保の対象は、所有の東証1部、2部、ジャスダック上場株式、投資信託、預金などである。こちらも借入れは円建て。債券、外国株式は、担保不適格。担保となる証券類は、SMBC信託銀行のグループ会社であるSMBC日興証券に移す必要がある。
借入額は担保にもよるが概ね6割程度で、借入期間も6ケ月以上と1年以内と短期なので、繋ぎ融資的なものだと言える。実際、「海外不動産購入で急ぎに手付け金を入れたい」といった、海外不動産購入が使途の顧客も多いという。ただ、審査によっては期間延長も可能で、希望者も多い。
しかし、プレスティアゴールドでもゴールドプレミアでもないという人もいるだろう。プレスティアには円以外の通貨をそのまま預け入れられる「プレスティアマルチマネー口座があるが、一時的な資金に充てる目的であれば、円、ドル、ユーロ、オーストラリアドルなど8つの通貨で、担保となる各預金の80%相当額まで、使途自由で借入できる。貸出金利は通貨によって異なり、2020年2月では例えば、日本円は3%、アメリカドルで5.5%というところだった。
取材協力/SMBC信託銀行
文/小野アムスデン道子
経歴
元リクルート週刊住宅情報関西版編集長、月刊ハウジング編集長を経て、メディアファクトリーにて、世界的なガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集に携わったことから観光ジャーナリストに。東京とオレゴン州ポートランドのデュアルライフと世界中を巡る取材で旅を基軸にしたライフスタイルについて執筆。国内外で物件運用中。ownmedia【W LIFE】で40代からの豊かな暮らし方を発信。