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愛媛県・松山市中心部の再開発が新計画を策定。2030年までに複合施設の完成を目指す

都市計画・再開発(地域情報)/広島/中国・四国 ニュース

2023/10/13 配信

経済状況の悪化を理由に休止
改めて事業を推進することを決定

愛媛県の県庁所在地であり、四国地方最多となる人口50万人を誇る松山市。松山城を中心に発展してきた旧城下町で、道後温泉は古くからある温泉地として有名だ。正岡子規や種田山頭火、夏目漱石ゆかりの地でもあり、俳句や『坊ちゃん』『坂の上の雲』など文学のまちとしての側面もある。

瀬戸内に位置し、年中温暖で降雨量が少ない松山市。みかんに代表される農業や観光業、化学繊維を中心とした製造業も発展している。画像は伊予鉄道も松山市駅。
瀬戸内に位置し、年中温暖で降雨量が少ない松山市。みかんに代表される農業や観光業、化学繊維を中心とした製造業も発展している。画像は伊予鉄道の松山市駅。

交通網も充実していて、松山空港の利用者は中四国地方で最多。複数の国道が松山中心部に集中し、松山高速道路や松山外環状道路も通り、広域的な交通拠点を形成している。

鉄道はJR四国と伊予鉄道が乗入れており、中心駅は伊予鉄道の松山市駅だ。同社の鉄道・バスを中心に利便性の高い公共交通機関が発達していることから、市内の主だった拠点にこれら交通網で行くことができる。

まちの中心エリアは松山市駅から続くアーケード商店街「松山銀天街」やその地下街となる「まつちかTOWN」、銀天街を抜けると隣接している大型アーケード「大街道商店街」など。同商店街を北に抜けるとロープウェー街、松山城へとつながる。これら商店街には飲食店や百貨店など商業施設が多く、その周辺にはオフィスビル、市役所、県庁などの施設も点在している。

このような松山市の中心エリア、県庁や市役所などに近い一番町や歩行町の一部で、大規模な再開発計画がコロナ禍を経て再始動。高層マンションや宿泊施設、商業施設からなる複合施設を建設するという。

再開発事業の位置図。大街道とロープウェー街に近い立地。 出典:松山市ホームページ
再開発事業の位置図。大街道とロープウェー街に近い立地。
出典:松山市ホームページ

同エリアは国道11号と市道鮒屋町護国神社前線が交差し、観光地や商店街・飲食街、ビジネス街の結節点に位置し、松山市中心部の一角を担う場所。ところが、建物や土地利用の更新が進んでおらず、青空駐車場をはじめとする土地の低利用や建物の老朽化、耐震性に課題のある耐火建築物があるなどしており、その立地にふさわしい土地利用と早急な施設更新が必要となっていた。

これを背景とし4年前に土地・建物の所有者などによる市街地再開発準備組合が、地区一帯の再開発を開始。都市計画の決定も受け、東京の不動産会社など6社による企業グループが事業を担うことになり、当初はホテル棟と一体化した市内最高となる高さ95m・総戸数240戸のタワマンやマルシェを開催できる広場やフードコートを整備する予定だった。

ところが3年前、新型コロナの感染拡大による経済の悪化を理由に、準備組合は計画の休止を発表。これを受けて、事業規模の見直しを含めた計画の再検討を進めていたが、今夏に入り再始動が決まったという。

対象区域は3年前に閉館した国際松山ホテルなどがある広さ0.7haで、周辺住民から景観への懸念があったことから従来の計画より低い高さ90m以下の施設になる見通し。800~1000人規模のバーティや会議ができる施設も整備する予定だったが、新計画ではこれらに対応する施設は整備されないという。コロナ禍を経たビジネス環境の変化や大型バスや送迎者による渋滞を懸念する住民の声に配慮したとされる。今後は複合施設に入る事業者との契約や周辺住民の説明会を進め、再来年には工事に着工、5~7年後の完成を目指す。事業費は約160億円を見込む。

松山市中心部の再開発はこれに限らず、複数のプロジェクトが進行する予定だ。今年8月には行政や経済関係者が話し合う協議会の初会合が開催された。JR松山駅の東エリアは、国から税制上の優遇が受けられる「都市再生緊急整備地域」の候補地に選ばれているが、指定を受けるには再開発の具体的な方針を国に示す必要があり、これを目指していくことを確認したという。

他にも銀天街商店街ではL字地区と呼ばれるエリア、県民文化会館の南側に位置する県有地など、同市では複数の再開発が控えている。これらが前進することで、松山市の魅力はさらに高まり、定住や交流、関係といった各種人口の増加につながるだろう。

当然ながら住宅需要にも影響するに違いない。不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の「住まいインデックス」によると、直近3年間で松山市の賃貸マンションの賃料は9.33%、中古マンション価格は3.03%上昇している。これは愛媛県の変動と同程度の水準だが、再開発によりさらなる上昇が期待できる。各種計画の詳細は未定だが、具体化が待ち遠しい。コンパクトシティに磨きがかかると地域住民にとって利便性が高まるばかりでなく、まちづくりに課題を抱える他自治体の参考にもなるだろう。

健美家編集部(協力:大正谷成晴(おしょうだにしげはる))

大正谷成晴

■ 主な経歴

フリーランスの編集・ライター。
不動産投資、株式投資、投資信託、FXなどマネー関連、ビジネス全般、働き方、副業、クレジットカード、医療・介護など、幅広いジャンルで取材・執筆を行っている。

■ 主な著書

  • 『決定版 1万円からはじめるFX超入門』(かんき出版)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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