3月27日に天神南駅から博多駅まで延伸する福岡市の地下鉄七隈線。約1.4キロの延伸区間の中間に新設される「櫛田神社前駅」は九州最大の歓楽街・中洲や大型複合施設「キャナルシティ博多」の最寄り駅となり、界隈の賑わい創出が期待されている。
一方、七隈線延伸に伴い、不動産投資の観点で今一番注目されているのが、住宅地の「別府(べふ)駅」だ。
天神南駅から約10分の別府駅(福岡市城南区)。国道沿いにはファミリータイプのマンションや飲食店、コンビニなどが建ち並ぶ。一歩幹線道路を外れると、戸建てやアパートが密集する住宅街が広がる。
城南区役所が近く、中村学園大学および中村学園女子中学・高等学校などの教育機関が集まる文教地区でもあり、庶民的ながら落ち着いた街として知られてきた。
そんな別府駅周辺が、七隈線延伸で博多駅まで直通運転が始まることを見越して、この10年ほどの地価は右肩上がりを続けている。都道府県地価調査によると、「別府5丁目」も「別府2丁目」も、2010年1月から2022年1月の間に約1.5倍に上昇。
隣接する高級住宅地の六本松エリア(中央区)に格は及ばないものの、都心部と郊外双方へのアクセスの良さと落ち着いた雰囲気で、人気・価格ともうなぎのぼりの住宅地の筆頭に躍り出た。
こうした動きを背景に、別府駅周辺でグレード感のあるマンション開発の動きが目立っている。
駅徒歩1分の一等地で建設が進むのは、福岡で多くの高級マンションを手掛けてきた積水ハウスの「グランドメゾン別府レンジデンス」(全56戸)。
高級住宅地として知られる中央区と早良区以外で初のグランドメゾンシリーズということで関係者が売れ行き状況を注視していたが、1億超えの住戸も含めて今年12月の竣工を待たずに完売した。
道路を挟んだ駅徒歩1分の立地では、九電不動産の「グランドオーク別府ステーションリンク」(52戸)が建築中。こちらは1LDKと2LDKのみの間取りでDINKS向けだが、抜群の利便性で売れ行きは好調とのこと。
駅徒歩2分の立地には、福岡市内に多く展開している高級賃貸マンションシリーズの「アクシオン別府駅前プレミアム」(27戸)が来月竣工予定。こちらも七隈線延伸効果とプレミアム感で竣工前から問い合わせが多数あるという。
こうしたファミリー向け住宅のほかにも、単身者向けワンルームの木造アパート計画が複数進行中。
マイナー駅のイメージだった別府が、七隈線延伸を機に一躍、福岡市内屈指の人気住宅地に生まれ変わろうとしている。
二年連続で地価上昇率日本一の福岡県。「天神」や「中洲」といった超メジャーエリアだけではなく、地味ながら高いポテンシャルを持つ「別府」エリアにこそ、要注目だ。
健美家編集部(協力:
(おおさきりょうこ))