相鉄新横浜線・東急新横浜線がいよいよ3月18日に開業し、相鉄線と東急線が直通運転を始める。
神奈川県央部・横浜市西部と東京都心部を1本で結ぶ直通運転の大きな恩恵を受けるのが、湘南台駅(藤沢市)と二俣川駅(横浜市旭区)を結ぶ相鉄いずみ野線沿線に広がる「緑園都市」だ。
都心までのアクセスが悪く首都圏での知名度はイマイチだったが、相鉄・東急直通線で大化けするかもしれない。

相鉄が1970年代から1980年代にかけて開発し、4700戸を分譲した緑園都市住宅地の中心は、いずみ野線の緑園都市駅(横浜市泉区)だ。駅の東側一帯には、計17棟・1800戸にも上る大型マンション群「サン・ステージ緑園都市」が建ち並ぶ。
駅東口から5分ほど歩くと、アメリカの住宅街をモデルに造成された戸建ての住宅街が広がる。各戸とも50−60坪と首都圏では広めの敷地面積で、外国風の瀟洒な家並みが高級感を醸し出している。

「サン・ステージ緑園都市」と駅前道路を挟んだ反対側には、フェリス女学院大学のキャンパスがある。知名度、ブランド力の高い名門女子大で全国から学生が集まるため、緑園都市駅をはじめとするいずみ野線沿線は、学生向け賃貸物件の需要の高いエリアだ。
さらに緑園都市エリアでは2022年4月、緑園西小学校と緑園東小学校が統合されて小中一貫校の「横浜市立緑園義務教育学校(通称:緑園学園)」(横浜市泉区緑園5)が開校。横浜市内屈指の人気公立校となり、ファミリー層の学区内への転入需要が高まっている。
このように、以前から横浜市西部では安定した人気、需要を保っていた相鉄緑園都市エリアではあるが、都心直通の東急田園都市線や東横線沿線に比べると利便性、ブランドイメージとも劣っていたのも事実。都心部から見ると遠く、やや残念なイメージだった相鉄いずみ野線沿線が、3月18日の東急直通線の開業で大きく変わろうとしている。相鉄の特設サイトも気合十分だ。

新ダイヤによると、湘南台駅発のいずみ野線上りは、東急目黒線→東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線に、また東急東横線→東京メトロ副都心線に乗り入れる。
いずみ野線から東急線への直通列車は1日46本にのぼり、都心各地までの乗り換え回数、所要時間が大幅に軽減される。新横浜駅へも乗換なしの直通で、東海道新幹線へのアクセス向上も注目ポイントだ。
2022年の神奈川県地価調査によると、 横浜市泉区の宅地で最も高額なのが、緑園3−22−16で、1平米あたり279,000円。緑園都市エリア全体の平均値は229,125円となっている。この10年で約30%値上がりしており、直通運転による利便性向上で今後も右肩上がりの値上がりが見込まれている。
沿線の不動産会社によると、緑あふれる文教地区である緑園都市駅周辺は、ファミリー層を中心に常に問い合わせの多いエリアだが、直通線開業効果で、今春は例年以上に活発に物件が動いているという。特に、駅近の上述サン・ステージ緑園都市は、売買、賃貸とも市場に出す前に成約に至るケースもあるそう。
緑園都市住宅地の戸建ても、築30年を超えて代替わりが進んでいる。紳士協定的な街づくりガイドラインはあるものの、敷地を分割、再造成した新しい家も出始めている。
常に若いファミリー世帯が流入しているため、郊外のニュータウンにありがちな少子高齢化問題はここでは今のところ顕在化していないようだ。
健美家編集部(協力:
(おおさきりょうこ))