幕張新都心の玄関口となる駅
人口増に対応するため新改札を設置
海浜幕張駅は、千葉市美浜区にあるJR東日本・京葉線の駅だ。西船橋駅から武蔵野線に乗り入れる電車も停車する利便性の高い駅で、コロナ前まで乗降客数は増加の一途をたどっていた。年度別の1日平均だと、2007年度に5万人を突破し、2019年度時点で6.8万人にまで増えている。
そんな同駅について、千葉市とJR東日本千葉支社は、交通結節点機能強化や利便性向上を目的に、曽我方面に新改札口を設置する工事に着手。2025年春の開業を目指している。
新改札の敷地面積は約550㎡で、改札内には階段2か所、エレベーター2基、改札口1か所が設けられる。これにより、海浜幕張駅の改札は合計で2か所になる。千葉市とJR東日本千葉支社、三井不動産レジデンシャルなどで構成するまちづくりグループの3者が費用を負担するという。
海浜幕張駅の北西側と南西側にはイオン本社ビルをはじめとするオフィスビルが建ち並び、幕張メッセ、ZOZOマリンスタジアム、三井アウトレットパーク幕張など、多くの施設も広がっている。通勤・通学時間帯や、イベント、野球試合の開催日は多くの人で混雑し、混雑の解消や利便性の改善が課題となっていた。新改札の設置で解消を目指す。
それだけにとどまらない。同駅の東寄りには計画総戸数4500戸、約1万人が暮らすまち、「幕張新都心若葉住宅地区(幕張ベイパーク)」の開発が進められている。すでに2棟のタワマンが竣工していて、現在は3棟目の「幕張ベイパーク ミッドスクエアタワー」(全749戸)が建設中だ。来春には竣工し入居が始まるという。同エリアにはクリニックモールやスーパー、商業施設、保育所、フィットネスクラブ、飲食店、コワーキングスペースなどがすでに稼働していて、駅から徒歩15分という距離ながら、人気は高い。新たなマンションの売れ行きも好調で、同エリアの人口増は必至となり、新たな改札口の設置は、喫緊の課題とも言えるようだ。
新改札ができ駅や周辺の利便性が向上することで、エリア全体のさらなる付加価値向上も期待できる。不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の「住まいインデックス」によると、海浜幕張駅周辺にあるマンションの賃料は直近3年間で6.82%上昇している。これは千葉県全体の変動率6.59%に比べて同程度の水準だが、今回の取り組みや今後の人口増で、突出する可能性は否定できない。
幕張新都心駅のみならず、近年は周辺人口の変化に伴い、鉄道機能を見直したり駅の改札口を増設するケースが相次いでいる。
例えば、川崎市屈指のタワマンエリアとして知られるJR武蔵小杉駅は新ホームの設置と新改札の整備を進め、相模鉄道(相鉄)のいずみ線・ゆめが丘駅は2024年夏に予定している大規模集客施設の開業に向け駅をリニューアル。施設側に改札口を増設することを発表した。昨年12月には、JR北海道、北広島駅でも混雑緩和を目的にホームの延伸と改札口の増設を実施している。東京から神奈川を結ぶ東急目黒線および直通する地下鉄各路線でも、利用者数の増加を考慮して運航車両の増設。ホーム延伸を行ったのは記憶に新しい。
こと、再開発が加速し人口が増えている首都圏や全国の中核都市は、鉄道や駅舎設備の見直しを迫られている。なかには、人口増を受け止めきれず、改札渋滞が常態化している駅もあるほどだ。
今後もこれらの地域・駅を中心に、新改札の設置や車両増設が行われる可能性がある。また、これに伴い沿線の移動は快適になり、新たな住宅需要が見出される地域が出てくるかもしれない。そんな目線で、不動産投資の物件選びをしても面白いだろう。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))