長い年月をかけて駅周辺を再開発
人を引き付けてやまないまちに変貌
神奈川県の北東部に位置し、多摩川をはさんで東京都と隣接する川崎市。横浜市と東京都に挟まれた縦長の地形で、市内を縦断する形でJR南武線が通り、南武線と交差する形で京急線、東急東横線・田園都市線、小田急線、京王相模原線の私鉄と、JR線が横断している。
川崎市の人口は一貫して増加を辿っていて、1970年代に100万人を突破。直近(2023年7月現在)では154万人を数える。区別にみると、タワーマンション(タワマン)エリアとして知られる武蔵小杉駅近辺を擁する中原区が最も多く、次いで宮前区、高津区、川崎区、多摩区、麻生区、幸区と続く。
県内の市町村では横浜市に次ぐ第2の人口規模で、1920年からの人口指数は、政令指定都市および東京23区のなかで、川崎市が1位を誇る。
背景として挙げられるのは、戦災復興や高度経済成長期における市街地化、鉄道・道路ともに都心へのアクセスの良さなど。羽田空港に近く、品川駅や新横浜駅といった新幹線の停車駅も近い。
多摩丘陵のある多摩区や麻生区は自然環境の良さ、タワマンがそびえる中原区は洗練された街並みがパワーカップルに受けていて、川崎駅のある川崎区や幸区は商業施設と公園などのバランスが良く、利便性の高さが評価されている。
近年は生産機能から研究開発機能への転換が進み、民間や大学・付属研究機関、公的試験・研究機関などの研究開発機関や人材の集積が進んでいる。
こういった変化は、川崎駅周辺のまちづくりにも反映されてきた。2002年から2004年にかけて、イタリアのヒルタウンを模した複合施設「ラ チッタデッラ」、ショッピングセンターの「DICE(ダイス)」、「ミューザ川崎シンフォニーホール」が誕生し、2006年には西口の広大な工場跡地に「ラゾーナ川崎プラザ」がオープン。
2012年には駅ビル「アトレ川崎」、2016年には京急川崎駅に「ウイング川崎」、2019年には「さいか屋」跡地に「川崎ZERO GATE」が開業し、2021年には「JR川崎タワー」「ホテルメトロポリタン川崎」、歩行者デッキ上の中央広場「デルタプラザ」で構成する大規模複合施設「KAWASAKI DELTA(カワサキデルタ)」がグランドオープンを迎えている。このように、再開発を挙げるとキリがない。
2023年6月には川崎市の新本庁舎が完成した。高さ110m・地上25階建、高層棟と時計塔のある復元棟で構成され、地下には162台分を備える来庁者用の駐車場も。10月からは順次、移転が始まるという。
10月15日には、ホリプロがプロデュースするライブハウス「SUPERNOVA KAWASAKI」(スペルノーヴァ カワサキ)がオープンする。
最大収容人数は500名で、屋上には天然芝の開放的な屋外スペースも用意。4つのレンタルルームも併設される。川崎駅中央改札口からペデストリアンデッキ経由で施設まで往来でき、立地も申し分ない。
これだけではない。IT大手のDeNAは京急川崎駅隣接エリアに、新アリーナを含む複合エンターテイメント施設を2028年に開業する予定だ。
新アリーナはプロバスケットボール「B.LEAGUE」試合開催時に約1万人を収容できる規模で、同社傘下のプロバスケットボールクラブ「川崎ブレイブサンダース」のホームアリーナとしても使用。宿泊施設や飲食店、公園機能等を備える複合施設になることを目指す。
同アリーナではスポーツのみならず、国内外アーティストの音楽ライブ・イベントも開催される予定だ。
先述の「ラ チッタデッラ」にはシネマコンプレックス「チネチッタ」やライブホールの「クラブチッタ」、ラゾーナ川崎プラザやDICEの中にも映画館があるなど、川崎駅周辺は遊ぶにことかなない施設が充実しているが、新たなライブハウスとアリーナの出現で、エンタメシティの色合いが濃くなる。
駅周辺には分譲・賃貸を中心としたマンション、さらには戸建てを中心とした住宅街も広がる。いまも各所で住宅建築は進められていて、川崎区や幸区といった川崎駅周辺エリアの住みやすさは、格段に増していくはず。ますます発展していくエリアとして、注目されるのではないだろうか。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))