3棟のビルを1棟の複合ビルに統合する再開発
神奈川県・湘南エリアの都心とも言うべき藤沢駅の周辺で再開発計画と駅の改良工事が進んでいる。
藤沢駅は、JR・小田急江ノ島線・江ノ島電鉄の電車が停車する湘南のターミナル駅だ。
JRはもともと東海道線のみが停車する駅だったが、現在では湘南新宿ライン・上野東京ラインも停車しており、上野や新宿・渋谷方面から乗り換えなしでアクセスできる。
なお、東京から藤沢までの所要時間は50分、渋谷から藤沢までは49分、横浜から藤沢までは19分となっている。
駅周辺のイメージとしては、南北ともに開けた街というものだが、北口にあるさいか屋藤沢店のビルやフジサワ名店ビルなど、老朽化が進む建物も多いのが現状だ。
今回再開発の対象となっているのは、駅南口の東側に建っているフジサワ名店ビル・ダイヤモンドビル・CDビルの3棟。3棟のビルはまとめて「藤沢駅南口391地区」と呼称されている。
※引用:藤沢市
なお、いずれのビルも1960~70年代に完成したもので、築年数は50年を超えている状況だ。
2017年に実施された耐震診断では、3棟のうち2棟が「震度6以上の地震で倒壊または崩壊の恐れが高い」と判断されたという。
このため、2017年に再開発に向けた準備組合が発足し、2023年6月に最新の都市計画が承認された。
3棟のビルはいずれも解体されて1棟のビルに集約される予定。再開発ビルの規模は、敷地面積が約3,180㎡・建築面積が約2,400㎡で、階高は地上17階・地下2階建て。
※引用:藤沢市
フロア構成も既に決まっており、1階~6階が店舗、7階~10階がオフィス、12階が多目的ホールなど、13階~17階がホテルになる予定。
老朽化したビルの更新とともに、再開発によって解決したい現状の課題として、以下のポイントが挙がっている。
- 周辺施設と連携した都市機能の強化や空間整備
- 求心力や集客性の高い都市機能の集積
- 駅前に相応しい一体的な都市空間の形成
例えばフジサワ名店ビルは「魅惑の頑固商店街」というキャッチフレーズで多様な店舗が入っているビルなので、再開発ビルにも面白い店舗が入ることを期待したいところだ。
既存のビルは2025年春を目途に閉店し、再開発ビルは2029年の竣工を目指すとされている。
駅の改良工事と自由通路拡幅工事も進行中
南口エリアだけではなく駅そのものの改良工事も進んでいる。複数路線が乗り入れている藤沢駅では、現状は駅の2階にJRの改札があり、1階に小田急と江ノ電の改札がある。
駅の改良工事は、小田急の改札を1階から2階に移設することで乗り換えの利便性を向上させようというものだ。
また、駅の2階には北口と南口を結ぶ自由通路があるが、自由通路の幅が8mから16mに拡幅される。
※引用:藤沢市
藤沢駅の南口と周辺の各ビルはペデストリアンデッキでつながっているが、バス乗場やタクシー乗場が地上階にあるせいなのか、藤沢市の資料によると、地上階の方が通行者が多い。
小田急線の改札が2階に移ることで、ペデストリアンデッキの通行者が増える可能性もあるだろう。
2階の通行者が増えれば、駅から周辺施設への回遊性向上につながると思われる。
また、老朽化したビルが再開発によって建て替えられて、駅の改良工事も進むと駅南口のイメージも変わってくるのではないだろうか。藤沢駅の南口エリアに要注目だ。
取材・文:
(はたそうへい)