南街区には高さ217mの高層ビル
北街区には水辺空間を活かした店舗が誕生予定
同事業では東京駅日本橋口周辺に大規模複合施設を整備し、東京駅と日本橋駅をつなぐ歩行者ネットワークや金融拠点の形成を進める。
近年複数の大規模再開発が進行している、東京駅周辺。そのうちのひとつ、「八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業」が、2023年9月15日付で東京都知事より権利変換計画の認可を受け、いよいよ本格的に始動する運びとなった。
同事業は2015年7月に再開発準備組合を設立し、2019年10月の都市計画決定。2021年12月の市街地再開発組合の設立を経て、これまで権利変換計画の認可に向け準備を行ってきたもの。
特定業務代行者および参加組合員として東京建物、東京ガス不動産、大成建設、明治安田生命が参画しており、基本設計は日本設計、実施設計は大成建設が担当する。
計画地はJR「東京駅」、東京メトロ銀座線・半蔵門線「三越前駅」、東京メトロ銀座線・東西線「日本橋駅」のいずれからもほど近い、日本橋川沿いの土地。2021年6月に完成した「常盤橋タワー」から外堀通りを挟んだところに位置する。
全体の敷地面積は約9,260㎡。日本橋川沿いの北街区と超高層棟となる南街区の2街区に分かれており、南街区は、敷地面積約7,560㎡、延床面積約185,500㎡。ここに高さ約217m地上44階 地下3階 塔屋2階建ての高層ビルが登場する。
一方、川沿いの北街区の敷地面積は約1,700㎡、延床面積は約1,000㎡で、建物の規模は地上2階、高さ約12mとなる予定。
現在は、既存の「新呉服橋ビルディング」・「TGビルディング」の解体工事が始まっており、今回の権利変換計画の認可を経て、今後2024年度に本体工事着工予定。南街区は2028年度、北街区は2031年度の竣工を目指す。
国際競争力のある金融拠点とすべく
日本橋川沿いの水辺空間を活用
事業者である東京建物の2023年9月15日の発表によると、同事業の主な整備方針・特徴は以下のとおり。
1.日本橋川沿いの連続的な水辺空間と、東京駅と日本橋駅をつなぐ歩行者ネットワークの整備
2.国際競争力の強化に資する金融拠点の形成
3.防災対応力強化と環境負荷低減
具体的には、JR「東京駅」、東京メトロ「大手町駅」・「日本橋駅」を接続する地下通路の一部区間を整備し、東京駅周辺の広域地下歩行者ネットワークを強化。
さらに区道272号線・区道13号線の再整備、首都高日本橋地下化事業の実現に向けた各種協力を行う。
また、大手町と兜町をつなぐ永代通りの中心に位置する立地を生かし、商談やビジネス交流、アフターコンベンションなど、さまざまなビジネスシーンで利用・滞在できる施設を整備するとのこと。
周辺地区で整備が予定されている都市型複合MICE※拠点との連携を通して、日本橋川沿いエリアの国際金融・ MICE機能の強化に貢献するとしている。
防災対応力強化と環境負荷低減としては、発電時の排熱を利用するコージェネレーションシステム(CGS)の導入や地域冷暖房施設のネットワーク化、災害発生時における帰宅困難者受け入れスペースおよび防災備蓄倉庫を設置などを行う。
2032年頃まで再開発ラッシュが続く予定の東京駅周辺。その進化はまだまだ止まらない。今後も東京最大級のターミナル駅として、その存在感を増していくことだろう。
健美家編集部(協力:
(さいとうかずみ))