中野駅周辺の再開発のうち「中野四丁目新北口駅前地区第一種市街地再開発事業」の都市計画が発表された。
発表された計画には、「長期にわたり地域活力の向上に寄与するために、昼間人口、夜間人口、交流人口のバランスを鑑みた用途構成」という説明がある。同エリアの象徴的な存在である中野サンプラザの機能再整備 による複合施設の開発は、とりわけ交流人口の増加に寄与すると位置付けられている。
上記都市計画の該当エリアとこれをとりまく周辺エリアにおける現在の様子、今後の予定をお伝えする。
日中を過ごすオフィスワーカーから見た中野
中野駅の西側エリアには、再開発の対象エリアに接するようにしてオフィスビル「中野セントラルパークサウス」がある。昼間人口の中心となるオフィスワーカーとして、同ビル内に本社を構える某大手企業の会社員Aさん(仮名)に中野駅周辺の再開発に対する見方を聞いた。
「うちの本社が中野に集約されたのは2012年頃で、再開発の”一期生”のような位置づけではないでしょうか。現在進んでいる駅舎や区庁舎の新設、中野サンプラザの再整備などを”二期生”のような位置づけで見ています。」
オフィスワーカーの動きにまつわる話も伺った。
「同僚の中には昼休みにビルの外へ出て食べに行く人もいます。飲食店や飲み屋街が集まっている駅の北東側、サンモール商店街のほうまで出歩く人もいるので、歩行者デッキがリニューアルした暁には利便性も向上するのではないでしょうか。」
夜間人口の増加に比例するように大きな恩恵となる駅舎
一方、夜間人口に寄与する要素として住宅も挙げられている。以前のニュースでも、新たな街区として「パークシティ中野」ができることが伝えられた。ここにはオフィス・商業棟だけでなく住宅棟も計画されている。
駅の西側で新たな動線が発生することが予想され、前述のオフィスワーカーAさんも西側に誕生する新たな駅舎と併せて期待を込める。
「マンションだけでなく商業施設もできることで、昼を食べに出る人の新たな選択肢になるでしょう。それにこの街区開発に合わせて駅の西側に駅舎ができることで、通勤に使える便利な改札口が増えるのも待ち遠しいです。今は駅の構内に階段やエレベータがないのも正直イケてないと思いますから。」
歴史を残しながら、歴史に残る再開発が動き始めた
今回の再開発エリアである中野四丁目あたりの旧町名「囲町(かこいちょう)」は、江戸時代からの歴史を持つ。五代将軍徳川綱吉が野犬保護施設として設けた、お囲い御用屋敷とも言われた犬屋敷に由来する。
巷では100年に一度の再開発とも言われ、今回発表された都市計画は同時進行中であるいくつものまちづくり事業の一つだ。
中野サンプラザの解体が2024年、周辺ではパークシティ中野の竣工が2025年、新駅舎の開業は2026年、中野サンプラザの後継施設は2028年以降に竣工の予定だ。段階的に変わっていく中野駅周辺の風景を楽しみながら完成を待ちたい。
執筆:
(さんとうりゅうおおや)