東京都など7都府県で転入超過を記録
日本の総人口は2008年の1億2808万人をピークに減少に転じ、2014年1月1日時点で1億2409万人(概算値)。前年同月比で66万人減った。こうした動きを受け、地方や郊外では住民が減り、市町村単位だと限界集落が生まれたり、社会インフラの維持が困難になるといった事態が起きようとしている。一方、経済や社会活動が活発な都市部への人口集中が顕著になっているのはご存じの通り。総務省が1月末に発表した「住民基本台帳人口移動報告書 2023年(令和5年)」の結果でも、こうした傾向が明らかになった。
日本全体を振り返ると、2023年における市区町村間移動者数は526万33249人と、前年に比べ0.9%減少した。都道府県間移動者数は254万4639人(前年比0.3%減)、都道府県内移動者数も271万8610人(前年比1.4%減)という結果。コロナ禍が落ち着いたのが影響したのだろう。
都道府県別で見ると、以下の7都府県で転入超過が見られた。
・東京都(約6万8000人)
・神奈川県(約2万8000人)
・埼玉県(約2万5000人)
・大阪府(約1万人)
・千葉県(約5000人)
・福岡県(約5000人)
・滋賀県(約1000人)
いずれも日本を代表する大都市で、例えば東京都なら昨年1年間で転入が45万4133人、転出が38万5848人と、転入が転出を6万8285人も上回った。総務省は「若い世代の就職・進学が影響しており、コロナ前の東京一極集中に戻りつつあると」している。実際のところ、東京圏の転入超過数は20~24歳が最も多い。また、すべての道府県で東京圏への転入は超過となった。
滋賀県に検してはJR東海道線沿線にあり、大阪や京都のベッドタウンとして転居してきた世帯が多いと考えられる。実際、大津市や草津市、守山市は子育て世代が多く、若い世代の人口割合も高い。
反対に40道府県は転出増加を記録したが、多かったのは広島県(1万1409人)、次いで愛知県(7408人)、兵庫県(7397人)、福島県(6579人)という順番だった。なお、宮城県、茨城県、山梨県、長野県は一昨年の転入超過から転出超過に転じている。茨城、山梨、長野はコロナ時の移住先として人気だったこともあり、状況の変化が影響していると考えるのが妥当だ。また、沖縄県など5県では、2022年から23年にかけて転出超過が縮小している。
3大都市圏で見ると人口が増えたのは東京圏だけ
3大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)の転入超過数を見ると、全体では10万6735人の転入超過(前年比2万6681人増)を記録。ただし、それぞれを紐解くと、転入超過だったのは東京圏(12万6515人)だけで、名古屋圏は1万8312人、大阪圏は559人の転出超過だった。ここからも、首都圏に人口が集中していることがわかる。
一方、市町村で見ると事情が異なってくる。全国1719市町村のうち511市町村は転入超過を記録している。もっとも多いのは東京都特別区部で、次いで大阪市、横浜市と続くが、なかには札幌市、つくば市など、県全体は減っているものの市町村単位では人口が増えている地域もあるのだ。
また、転入超過数の多い市町村を都道府県別にみると、各都道府県において転入超過数の最も多い市町村が21大都市となっているのは東京都(東京都特別区部)など10都道府県で、その他の死となっているのは茨城県(つくば市)など24府県、町村となっているのが長野県(御代田町)など12件。転入超過数が最も多い町村は茨城県阿見町だった。
このように、ざっくり概観すると東京をはじめとする首都圏への人口集中が浮き彫りになるが、市町村まで細かく見ていくと、意外な地域の人口が増えていることがわかる。子育て施策や近隣の工場建設などいくつも要因は挙げられるが、それに伴い住宅需要も高まる可能性がある。不動産投資の対象エリアの選定にも役立つだろう。