新宿で4月15日に開催した「 大家さんフェスタ 」。多くの人にブースを訪れていただきました。ありがとうございました。皆さんが口をそろえておっしゃるのが、「 高齢者は孤独死が不安 」ということ。
そういう方々に「 ヤクルトを週に2回プレゼントすれば、最悪4日以内で発見されるので孤独死リスクは下がりますよ 」と話すと、「 なるほど! 」「 目から鱗だ 」「 そんなノウハウをタダで教えてもらっていいんですか 」などと言っていただいた。
私は週2回のヤクルト・宅配弁当・新聞などで早期発見が可能と考えている。また、介護サービスを受けていれば日々の健康管理をしてもらえ、調子が悪いときは受診を勧められる。これで孤独死の心配は激減する。
私は21年間デイサービスをやっているが、利用者さんの孤独死はゼロだ。見守りシステムもいろんなタイプのものが出ているし、割安なものも出てきた。ヤクルト、介護サービス、見守りシステムを使えば、高齢者の孤独死リスクを減らすことが可能だ。
■ 早期発見できれば孤独死は防げる
孤独死について考えてみたい。孤独死の明確な定義はないようだ。その昔は、2週間以上たって発見された場合、「 人間としての尊厳 」が失われて発見された場合などと言われていた。
最近は死後に発見された場合と言われたりしている。孤独死と言わず孤立死と呼んだりすることもある。
大家として怖いのは「 特殊清掃が必要な状況で発見された場合 」だろう。
2021年10月、国土交通省は「 宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン 」を公表した。
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001427709.pdf
その別紙1によると、原則として「 宅地建物取引業者は、人の死に関する事案が、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には、これを告げなければならない 」とある。特殊清掃が行われた場合はこれに該当する。
一方で「 自然死・日常生活の中での不慮の死 」は告げなくてもよいとされた。これらから、早期発見できれば孤独死は防げると考えていいだろう。
■ 高齢者に限らない孤独死
実は孤独死は高齢者に限らない。東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計( 平成20~23年 )というものがある。
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kansatsu/kodokushitoukei/kodokusitoukei20-23.html
東京都23区における孤独死( 自宅住居で亡くなった単身世帯者 )の統計で、異状死( 外因死、外因の後遺症、内因か外因か不明な死亡の事例 )について、「 死体の検案及び解剖を行い、死因等を明らかにしている 」ものだ。
異状死でないものは数に入っていない。実質的な孤独死の統計だと私は考えている。
ちなみに、日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会が発表している孤独死現状レポートは孤独死を「 賃貸住宅居室内で死亡した事実が死後判明に至った1人暮らしの人 」と定義している。3日以内の発見が41%で、告知が必要でないものも含まれている可能性がある。
https://www.shougakutanki.jp/general/info/kodokushi/news/kodokusiReport_7th.pdf
以下のグラフは平成20~22年の単身世帯の異状死数をグラフにしてみたものだ。
(出典:金涌佳雅,谷藤隆信,阿部伸幸,野崎一郎,森晋二郎,舟山眞人,福永龍繁.東京都23 区における孤独死統計(平成20~23 年):世帯分類別異状死統計調査.東京都監察医務院編,2012」)
これによると、危険なのは高齢者だけではない。高齢者より男性だ。それも高齢者になる前の年齢層だ。55~59歳から急増し、60~64歳がピークだ。そして高齢者( 65歳以上、黄色枠部分 )になると減少していく。
女性は男性より少ない。確かに高齢者になると増え始めるが、最多の80~84歳になっても55~74歳男性を下回る。
孤独死で、実は怖いのは55~64歳男性で、いわゆる高齢者ではない中高年という層だろうか。働いている人は仲間や同僚が異変に気付き早期発見される可能性が高いが、退職して友達もいない場合は早期発見が難しいかもしれない。
こういう人に「 孤独死が不安だから、見守りシステムを導入してください 」というと気分を害されるだろう。プライバシーの不安から導入を拒否されるかもしれない。介護サービスは受けてないだろうし、ヤクルトプレゼントも「 なんで俺がヤクルト飲むの? 」と言われそうだ。
■ 若い頃に入居して高齢者となった人
契約時は若かったけど、長期ご入居の結果もうすぐ高齢者、あるいはすでに高齢者という「 隠れ高齢者 」も実は多いだろう。まさに孤独死のボリュームゾーンかもしれない。
プライバシーを考えながら、入居者さんを何らかの手法で外部から見守る。そういう考えが必要となってくるケースも出て来るだろう。こういう場合は玄関ドアにセンサーを付け、ドアの開閉を見守ることでプライバシーに配慮した見守りが可能ではないか。
具体的には「 一定時間玄関ドアの開閉がない 」場合に安否確認を行う。この程度であれば入居者さんの理解も得られやすいだろう。また、防犯カメラで最後の映像を見て、それが外出であれば安否確認は不要になるかもしれない。
入居時は若かったけど、今や退職して一人暮らし。社会との接点はない。そういう「 隠れ高齢者 」を孤独死から守るのも、愛ある大家の仕事になってくるかもしれない。
■ 大阪の「 大家さんフェスタ 」に参加します
新宿で好評をいただいた「 大家さんフェスタ 」大家の会ブース。5月27日に大阪でも開催されます。高齢者向きアパートの会、DIYを楽しむ会がブース出展します。
https://owners-style.net/s/festa_kansai/?top=panel
高齢者向きアパートの会では、玄関ドアセンサー、リモコン付き電子錠の紹介、インターネットを活用した差別化などの展示をする予定です。高齢者向きアパート、DIYのセミナーもあります。
高齢者のすまいや隠れ高齢者の見守りについて一緒に考えませんか。