こんにちは。鉄筋たてたろうです。少し間が空いてしまいましたが、今月からコラムを再開していきたいと思います。今回は、2023年上半期の新築RCの振り返りをします。
■建築会社の倒産
今までのコラムでも、建築会社のトラブルについて解説をしてきましたが、2023年に入ってからも建設会社の倒産リスクは依然高まっていました。
建設会社は入金と出金のタイミングにムラがあるため、時期によっては手元資金が潤沢になり、また他の時期では支出が重なり、手元資金が薄くなります。その結果、経営管理の如何によっては黒字が出ていても倒産してしまうケースが少なくありません。
実際に2023年の年初には、建築会社の倒産もありました。
建築会社の倒産を完全に予測するのは難しく、同業者であっても倒産を知るのは直前となってしまうケースも多いです。僕の場合、事前の情報から違和感はあったため、取引縮小の動きはしていました。しかし完全に破産を予測できたかと言えば、難しかったと思います。
そして、「今でも危ない会社は残っている」と考えています。仕事柄色々な建設会社とお付き合いがありますが、本当に安心して任せられる建設会社というのは本当に少なくなってきていますし、それ故に安易な紹介なども難しい時代になっているといえます。
■建築会社の倒産リスクを回避するにはどこを見ればいいのか?
では、新築RCを発注する側にとって倒産リスクを回避するにはどんな動きを取ればいいでしょうか?
正直、倒産リスクを完全に回避するのは難しいと思いますが、一ついえる事は「経営者の人間性、経営方針」は大事だという事です。
決算書や調査会社のデータだけでは、一部の情報しか読み取れません。しかし、経営者の人間性や方針は小細工で作ることができません。つまり数字は作ることができますが、人間性は作ることができないという事です。
こういった定性的な要素というのは、対面の会話の中で感じ取る場面が多いので、工事を発注する際はコミュニケーションの中で情報を拾っていくのが良いと思います。仲良くなれば会社の内情や足元の状況について、詳しく話してくれることもあるでしょう。
また、情報は第三者から取得することも有効です。自分でキャッチできなかった情報も、同業他社や不動産会社がキャッチしている可能性はあります。そういった会社とコミュニケーションを取り、信頼が得られていれば、倒産に関わる噂や取引ぶりを教えてもらう事ができるかもしれません。
逆に、嫌われているとこういったフォローがもらえる事はないでしょうから、建設会社に関わらず「信頼関係の構築」は大事です。
■2023年の利回りの推移について
2023年になって建築費は大きく上がっています。去年までも上がっていましたが、さらに上がってしまっています。
逆に土地については2023年に入って高止まりをしているように感じます。建築費が大きく上がったので、投資全体で考えると土地はこのあたりの価格が限界になるのではないかと考えています。
投資家が新築RCを取り組む目線でいうと、以下のように変化したと感じています。
今年:中心の区は5%台前半、郊外の区は5%台後半
今年に入ってからの建築費高騰の影響は大きく、年々利回りは下がってきています。ただし、売却の目線でも利回りは下がってきています。
中心の区:4%台前半から3%台
現実として、こういった取引事例も出てきています。購入者の中には外国人も増えてきており、富裕層が狙う不動産として新築RCの強みはまだまだあると考えられます。
現在の新築RC投資は、キャッシュフローは出にくくなったものの、キャピタルの目線で考えると依然としておいしい投資ではあると考えられるでしょう。当然、宅建業法違反には注意する必要はありますが。
■2023年後半について
先ほど説明したように、今年に入ってからも建築費の高騰は続いています。そして残念ながら、今後も建築費が大きく下がることはないと感じています。
材料価格の高騰ももちろんですが、そんな中でも新築RCを建てたいと考えるプレイヤーは増えているからです。建築会社とするとプレイヤーが多くいる以上、建築費を下げる必要はありません。
仮に材料価格が多少戻ったとしても、このラインでもやりたい施主が居る限り、現在の価格は続くと考えるのが妥当ではないでしょうか。このように、2023年の新築RC投資は、以前よりも難易度が上がってしまったことは間違いありません。
しかし、僕は「高いからやめましょう」とは考えていません。
「高いのを踏まえて、新築RCを選ぶかどうか?」
新築RCという投資の性質については今までのコラムで説明してきましたが、キャピタルの魅力は今でも大きいです。そのことを踏まえて、挑戦できる人にとってはやりがいのある分野だと考えています。
もちろん、誰にでも向くものではありませんし、慎重な検討は必要になります。
今回のコラムでは2023年前半の振り返りと今後について説明しました。ご参考になれば幸いです。